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10/28

【ファンシーピンク】■13日目(6月05日) インタールード その2 〔10/28〕

◆あらすじ◆

 毎日の学校生活を無為に過ごす、やさぐれ少年の楢崎くん。

 ふとした事からブログで一人ファッションショーを公開する、いちご大好き少女・仲原さんの隠された秘密を知ってしまいました。

 お互いの秘密を握り合う間柄になってしまったクラスメイト二人は、ひょんな経緯から渋々ながらブログの写真撮影をすることに。

 日ごと移り変わる仲原さんの華やかな衣装(いちご柄)。

 日陰者である二人が撮影を重ねる果てに、たどり着く終着点とは?


 まるで定点カメラでいちご柄の部屋を観測するかのように贈る、やさぐれ少年&いちご大好き少女、水と油の二人が織り成すポップ&キュートかつストレンジ&キッチュ、あとプチアダルトな放課後の……そして青春の日々。


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■ファンシーピンク■

作品概要


・ここは私、岩男ヨシノリが執筆した小説「ファンシーピンク」を掲載するスペースになります(注:pixivからの転載となります)。


・手慰みのように執筆していたものを、この場を借りて発表することにあいなりました。眠れない夜の暇つぶしにでもしていただければ幸いです。


・基本一日イコール一話というペースで、さながら主人公の日記のように展開していきます。

 そのため時系列的に、日付がたびたび飛びまくることになるのですが(例:03日目→06日目)、エピソードの順序が把握できない場合は後書きのもくじを参照くださいませ(もしくは各エピソードのキャプションに[*/28]との表記を設けておりますので、全体の進捗状況をそちらで確認いただけるようお願いします)。


・ご意見&ご感想、ファンアート、はたまたコラボ企画の提案などはお気軽にどうぞ~

 どこかしらのコミュニティや評価スレッドへの推薦なども、ご自由に。

 できるのであれば事後報告を後に頂ければ幸いです(なくても構いません)。


注)劇中の登場人物の極端な行動は、真似しないほうが賢明です。

  違いのわかる方のみお楽しみください。

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挿絵(By みてみん)

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■13日目(6月05日) インタールード その2■


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「あら、ずいぶんお早い来診ですねえ」

 歯科のドリル大好きな担当医が、予定よりも早い来院に驚いた声をあげる。

 ちょっと嬉しそうな声に聞こえるのは気のせいだろうか。

「すみません、いろいろありまして」

 あの仲原の音速拳を食らって、詰め物が取れたその晩、取りあえず地獄を見た。

 奥歯がうずいて寝ていられない。

 しかも食事すらままならないというこの仕打ち、おかげで昨晩から今日の放課後まで今なお断食続行中である。

 歯が痛い、腹減った、おまけに眠い。

 なんだよこの理不尽極まりない苦行。

 取りあえず手を付けるのは歯の治療ということで、臨時に歯の治療を受けることになったんだが。

「今日も私のドリルが回って唸りますよ~」

 だからますます不安を掻きたてる発言しないでください、頼むから。

 そんな担当医は、今日も血走った目をしながらも、適切な処置を施していく。

 ……痛さをともなって。

 現実逃避モニターの、フィジーの海に落ちる夕日がやけに目に付いた。

「次回の診療の希望日はございますか?」

 そして診察は終わりを告げ、ようやく診療台から開放される。

 あの担当医め、人の歯を容赦なくえぐってくれやがって、若干趣味入ってるだろ?

 ツェー万賭けてもいいぞ。

 相変わらず奥歯はうずくが、空腹はそれに勝るくらい空いているもので、とりあえず口直しも兼ねてコンビニに駆け込む。

 購買物はおにぎり数個とフライドチキン、そして新製品飲料・なごみ茶。

 俺は待ちきれず、チャリンコを漕ぎつつも熱々の骨付きチキンを頬張った。

 カリカリの衣と鶏の旨味が口内に広がり、待ちわびた空腹を満足させてくれる。

 結構スパイシーな味のヤツを選んでみたんだが、味付け以上に空腹が至高の調味料になっていると云えなくもない。

 これでナマ中でもありゃ最高なんだが。


 その歯医者は仲原邸の近くに構えていて。

 具合が悪くなったのも休日の話であり、土日でも診察やってるこの医者を選んだという事情がある。

 自宅からは近いと云いがたく、多分あの撮影に関わることがなかったら、かかることもまずなかっただろう。

 そんなわけで、仲原んちの前にまで来るのも成り行き上仕方がなかったんだが。

 あいもかわらずドミンゴス(仮)はぐうたらしてる……かと思いきや、俺の姿を確認するなりその首を上げた。

 ――あの犬が珍しいな。

 思わずペダルを漕ぐ足を止め、奴の近くに近寄ってみた。

 舌を出して「ハッハッ」とさかんに息をついている犬。

 その視線は、先ほど買ってきたコンビニ袋に注がれていた。

「なんだ、これが欲しいのかドミンゴス(仮)」

 食いさしのフライドチキンの骨を見せると、奴は思わず口からよだれを垂らす。

 もう待ちきれないという感じだ。

 っていうかチャリンコで走ってる俺を見て、どうやったら骨に気がつくんだよ。

 このアホ犬、もしかしたら結構大物なのかもしれんな。

「ほいよ」

 俺はその期待に応え、奴の方に骨を放り投げてやる。

 その時、いつもなにも考えていないような犬の瞳に、野生が宿るのを垣間見た。

 首だけを動かして骨をキャッチする、神業なんだか面倒くさいんだかよくわからない芸を披露したその後、バキボキと物騒な音を立てて噛み砕く。

 食っちゃ寝生活を送る、だらしない姿からは想像できない骨の破砕音。

 ――まさに野獣だ、おお怖え。

 とかなんとか戦慄してると、いきなりの強襲に不意を突かれる羽目になった。

「だから人んちの仔になにやってんのよ!」

 いきなり玄関の扉が開いたかと思うと、仲原がフェンスを飛び越える勢いで跳躍する。

「ストロベリーアサルト!」

 スカートの中の柄が一瞬見えたかと思いきや、顔面に跳び膝蹴りを見舞ってきやがった。

 奇襲は成功、いちごきっくは見事俺の左頬にクリーンヒットする。

 インパクトの瞬間、ゴリュっていったぞ変な音が。

「ふぐぁ!」

 例によって俺はその襲撃にブッ飛び、あえなくダウンする。

 つ、詰め物が! 詰め物がまた取れた!

「なにしやがんだよ、痛ってーな!」

 だからお前はどこの神奈川ナンバーワンPGなんだ、絶対跳び蹴り得意だろ。

 ツェー万かけてもいいぞ。

「変なものあげないでよ! もお!」

 そんな虫歯への気遣いなんぞ皆無の仲原は、凄い剣幕でまくしたててくる。

 なんでも鶏の骨は縦に裂けやすく、とがったそれが猫や犬の胃を傷つけて、胃潰瘍になる恐れがあるらしいんだとか。

 この犬にそんな一般常識が通用するなんて、はなはだ疑わしいけどな。

 満腹になったのか、だらしのない犬は早々と、仰向けで眠りに落ちている。

 この恩知らずめ、フォローはないのかよ。

 あの時のマブの契りは気まぐれか?

「だからって、人の治療箇所に……」

 さらなる追い討ちかけんなよ、とか突っかかろうとしたんだが、仲原の姿を見て思わず、その先の言葉を失った。

 片方しか履いてない靴下、解かれたポニーテール、そして制服姿とは不釣り合いなフリルつきのヘッドドレス。

 あご紐を結んだリボンの下に、割り開かれたシャツから覗く、いちご柄の……

「ひゃああ!」

 変な嬌声をあげて、胸元を押さえる。

 そして半脱ぎの仲原は扉の向こうに隠れ、見えないその先から声がした。

「み、見た? 見たのっ?」

 ……一瞬、ちょっとだけ、歯の痛みを忘れ去るくらいに。

 かなりドキドキでした、なんて思わず云ってしまいそうになるが、治療箇所を容赦なくえぐってきそうなので黙っておこう。

「今ちょっと着替えてて、窓の外から楢崎くんがなんか投げるのが見えたから……ああもう!」

 事情説明してくれたり勝手にかんしゃく起こしたり、つくづくせわしない奴だな。

「あ、明日! 明日からの撮影の服をチェックしてたの! こないだ云ってたアレ、明日から撮るからね!」

 なんて云いたいことを云いきったのか、バタンと扉が閉まる。

 微妙な照れ隠しが若干混ざってる感じだったけど。

 それにしても、上も柄はやはり同じだったのな。

 ブツ自体は二十七枚のついでに確認していたんだが。

 痛みだした歯を紛らわすために、おぼろげな半脱ぎ姿を必死に脳内リプレイしてみる。

 気まぐれに骨をあげて怒られたのも、これはこれで役得だったのかもしれない。

 もっと鮮明に覚えておけば良かったとか後悔するのは、少し後の話になるんだが。


「……もしかして、癖になっちゃいました?」

 再度の臨時来院に、担当医は嬉しそうな声をかける。

 んなわけないだろ、それからこれ見よがしにドリルをキュンキュン云わすのやめれ。

「私のドリルは天を突くドリルなのですよ~」

 誰かなんとかしてくれこの歯科医!

 現実逃避モニターの、バリ島の海に落ちる夕日はわけもなく綺麗だった。




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【→】 14日目(6月06日) ファニーピンク [2013/6/21 更新予定]

    13日目(6月05日) インタールード その2

【←】 12日目(6月04日) 君をおかわりしたい

ファンシーピンク

次回予告

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「うん、ばっちり」

 なんて云って彼女は、全身鏡の前でさまざまな角度の姿を確認する。

 くるくると回るその度に、パニエを入れて膨らませたスカートが揺れた。

 可憐に着飾ったその姿を見て、実に嬉しそうな仲原。

 ロリータ、ロリィタでも表記はなんでも良いが、今日の衣装はいつもよりもそんな甘々なテイスト満載でお送りって感じである。

 無論、それはいちご味で決まりだろう。

 昨日見た、いちごの編みぐるみがアクセントのヘッドドレス。

 半袖の袖口にくっついたリボン、スカートにあしらわれたいちごショートケーキのアップリケが目をひくワンピース。

 鈴なりのいちごがプリントされたハイソックス、クロスストラップとつま先のリボンが映えるティーパーティーシューズ。

 そして籠バッグとか、いちごがプリントされたアンブレラとオプションも充実してる徹底振りである。

 ファンシーピンクの地に、フリルとレースが織りなす甘いハーモニー。

 こないだの名作劇場風エプロンドレスといい、かねてよりそっち方面の趣味が窺えたもんだが、いよいよ直球で来やがったか。

「ね、ね? 可愛いかなコレ?」

 可憐な衣装のお披露目に、笑顔が押さえきれないという様子だ。

 前々から目をつけていたらしいが、この間の日曜に、満を持して購入に踏み切ったらしい。

 ……休みに偶然見かけたあの時か。

 結果的に雨に祟られなかったから良かったが、降られたらどうする気だったんだ。

 にしても人が金欠だってのに、親に買ってもらいました、なんて嫌味のつもりかよ。

 うちの親は携帯壊しても「自分でなんとかしろ」とか云ってくるんだぜ?

「ねえ、楢崎くんってば!」

 もう褒めて褒めてモア! って感じで、俺に感想を求めてくる。

 率直に云って、合格ラインを軽く超える勢いで可愛い。

 思わず見惚れるくらいに、っていうか似合いすぎだろ正直。

 もともと小学生に間違われても仕方のない童顔ちびっこの仲原だ、思う存分ロリの特権を生かした勝利といえる。

 ――ただ、ならばこそ軽く同意するのも気が引けるよな。

「ああ可愛い可愛い、ちょっといけない気を起こしそうなくらいにな」


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■14日目(6月06日) ファニーピンク

[2013/6/21 更新予定]






◆もくじ◆ [全28回予定]



●00日目(5月23日) 始まりは唐突に 〔水〕


●01日目(5月24日) 知りすぎた人 〔木〕


●02日目(5月25日) 君んちへ行こう 〔金〕


 ○03日目(5月26日) ※欠番 〔土〕


 ○04日目(5月27日) ※欠番 〔日〕


●05日目(5月28日) なにげないきっかけ、その後 〔月〕


●06日目(5月29日) ガーリィステップ 〔火〕


 ○07日目(5月30日) ※欠番 〔水〕


 ○08日目(5月31日) ※欠番 〔木〕


●09日目(6月01日) ストレンジストロベリー 〔金〕


●10日目(6月02日) ストレンジストロベリーモア 〔土〕


●11日目(6月03日) インタールード 〔日〕


●12日目(6月04日) 君をおかわりしたい 〔月〕


●13日目(6月05日) インタールード その2 〔火〕


●14日目(6月06日) ファニーピンク 〔水〕


 ○15日目(6月07日) ※欠番 〔木〕


●16日目(6月08日) ファンシーパンク 〔金〕


 ○17日目(6月09日) ※欠番 〔土〕


 ○18日目(6月10日) ※欠番 〔日〕


●19日目(6月11日) 勝手にしやがれ 〔月〕


 ○20日目(6月12日) ※欠番 〔火〕


●21日目(6月13日) ままならぬふたり 〔水〕


●22日目(6月14日) 俺なりの意思を持って 〔木〕


 ○23日目(6月15日) ※欠番 〔金〕


●24日目(6月16日) 艶姿の映える土曜の宵 〔土〕


 ○25日目(6月17日) ※欠番 〔日〕


●26日目(6月18日) ??? 〔月〕


●27日目(6月19日) ??? 〔火〕


●28日目(6月20日) ??? 〔水〕


●29日目(6月21日) ??? 〔木〕


●30日目(6月22日) ??? 〔金〕


●31日目(6月23日) ??? 〔土〕


●33日目(6月25日) ??? 〔月〕


●??? 〔土〕


●??? 〔土〕


●??? 〔月〕


●??? 〔火〕


●???

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