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営業成績最下位の俺がバブル時代の商社にタイムスリップしたら、昭和の気合営業に現代マーケティングを持ち込んだら出世してしまった  作者: かーすけ


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第4話 六本木ディスコ事件

 夜の六本木は、昼間とはまるで別の街だった。

 ネオンが空を染めている。

 スーツ姿の男たち。

 派手な服の女性たち。

 タクシーが列を作っていた。


「すげえ……」

 恒一は思わずつぶやいた。

 山本が笑う。

「これがバブルだよ新人」

 そして指差した。

 巨大なビルの地下。

 派手なネオン看板。

 MAHARAJA


 恒一は固まった。

(マジか……)

 テレビで見たことがある。

 バブル時代の象徴。

 ディスコ。

 山本は腕を回した。

「行くぞ!」


 店のドアが開いた瞬間、爆音が身体を揺らした。

 ドン、ドン、ドン。

 床が震える。

 ライトが回る。

 フロアには人がぎっしり詰まっていた。

 男たちはブランドスーツ。

 女たちはボディコン。

 そして――中央には、円形のステージ。

 その上で女性たちが踊っていた。

 お立ち台だ。


 恒一は呆然とした。

「……すげえ」

 山本は笑った。

「最高だろ?」

 そして手を叩く。

「飲むぞ!」


 30分後。

 恒一はすでに世界が少し回っていた。

 酒が強いわけではない。

 だがこの空気がすごい。

 音楽。

 笑い声。

 金の匂い。


 麻美がグラスを持ってきた。

「坂本さん」

「はい?」

「営業成功おめでとうございます」

 乾杯!

 グラスが鳴る。

 恒一は言った。

「でも、こんなところ初めてです」

 麻美は笑った。

「私も最初はびっくりしました」

 そしてステージを指差す。

「でも慣れると楽しいですよ」


 そのとき。

 近くのテーブルがざわついた。

「神谷さん!」

 男たちが立ち上がる。

 恒一が振り向く。

 そこにいたのは――

 背の高い男だった。

 長身。

 整った顔。

 高級スーツ。

 まるで雑誌のモデルみたいだ。

 山本が小さく言った。

「来たな」

「?」

「神谷」

「?」

「営業トップ」

 恒一は思った。

(この人がライバルか……)


 神谷は笑顔で握手を交わしていた。

「いやいや」

「たまたまですよ」

 余裕のある声。

 そしてふと、こちらを見た。

 麻美に気づく。

「あれ?」

 神谷が近づいてきた。

「麻美ちゃん」

「こんばんは神谷さん」

「久しぶり」

 そして恒一を見た。

「新人?」

 山本が言った。

「坂本」

「今日100本売った」

 神谷の眉が少し動いた。

「100本?」

 恒一を見つめる。

 そして笑った。

「面白い新人だね」


 そのときだった。

 突然、店の奥で怒鳴り声が上がった。

「触るなよ!」

 酔った男が、女性の腕を掴んでいた。

 女性が嫌がっている。

 フロアがざわつく。

 男は酔っていた。

「一緒に飲もうぜ!」

 女性が腕を振り払う。

 その瞬間。

 バランスを崩した。

 ステージの階段から落ちそうになる。

「危ない!」

 恒一がとっさに動いた。

 腕を伸ばす。

 女性の身体を支えた。

 倒れる寸前で止まった。

 音楽が鳴る中、二人の視線が合った。

 女性が言った。

「……ありがとう」

 恒一は息を止めた。

 それは――麻美だった。

 さっきステージに上がっていたのだ。

 恒一は言った。

「大丈夫ですか?」

 麻美は少し顔を赤くしていた。

「はい……」

 そのとき。

 後ろから声がした。

「ナイス」

 神谷だった。

 腕を組んでいる。

「ヒーローじゃないか」

 恒一は少し照れた。

「いや……」

 神谷は笑った。

「坂本くん」

 肩を叩く。

「営業もできるし、度胸もある」

 そして少しだけ声を低くした。

「面白い」

 ニヤリと笑う。

「ライバルになりそうだ」


 山本が横で笑った。

「新人、大物に気に入られたぞ」

 恒一は苦笑した。

 だがそのとき。

 麻美が小さく言った。

「坂本さん」

「はい?」

「……ありがとう」

 少しだけ照れている。

 その笑顔を見て。

 恒一は思った。

(この人……)

(好きになるかもしれない)

 しかし――

 この恋が。

 未来でどんな運命につながるのか。

 まだ誰も知らなかった。

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