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1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
王都外征編

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97話 「不要になったら燃えるゴミとして捨てておいてくださいね」


 どうやら山田さんに付いてきたのはルカさんとカルラさんでした。二人が言うには…………


「ボクだって冒険者だったのです。手伝ってあげるのです!」


「報酬金が高い魔物を狙うんでしょ? それって山田だけで倒せるの? アタシが付いてあげなきゃ……危ないじゃない」


 と、そんな感じで……山田さんにルカさん、カルラさんが合流すると、一行は冒険者ギルドに向かうのでした。




***




「何か……フライング・ヘッド以上に報酬が出る魔物っていないだろうか? 最近のフライング・ヘッドはイケメン化が進みすぎて……泥パックの施術時間が長くなりすぎたからな。はっきり言って……効率が悪い」


「泥パック?」


 受付二号さんに相談を持ちかけた山田さん。当然……微妙な反応をされていますね。


「泥パックなら、ヴィクトリアさんにしたらいいんじゃないですか? あの人の荒れた肌も……少しはマシになるかもしれません」


 えっと、ヴィクトリアさんと二号さんの間に……変な因縁が発生しているみたいです。しかし、こちらも……そんな事には構っていられません。こちらだってルカ・カルラという因縁持ちは抱えてますからね。これ以上抱え込むのはキャパシティオーバーです。


「とりあえず……新しい討伐依頼を確認してくるので、少々お待ち下さい」


 そう言うと、受付二号さんは奥の方へ下がるのでした。




「えっと、今ですと……こちらの方が報酬金はお高めになっております」


 奥から戻ってきた二号さんは、発言と共に討伐依頼書を見せてくれました。それを覗き込む一同。


 まず、魔物の名前は……クモ男ですね。報酬は一匹あたり銀貨六枚と……フライング・ヘッドさんよりも高く設定されています。そして……肝心の魔物の容姿が描かれていました。ちょっと見てみます。




 うわ……キモ。これ、どこから説明したらいいでしょう。えっと、体は人型なんですが……全身、蜘蛛っぽい短めの体毛で覆われていますね。そして顔が……そのまんま蜘蛛です。顔には小さな目が一つと……大きな牙が二本生えていますね。この生物……下手なホラーよりも怖いんじゃないでしょうか。




「ふーん……これでいいんじゃないか?」


【山田さん、本気ですか? こんな怪奇生物とプロレスするつもりです?】


 思わず山田さんに話かけてしまいました。でも、それくらいクモ男のインパクトがヤバかったんです。本当ですよ。


「いや、人型ならプロレス技も出しやすいし……戦いやすいと思うんだが」


【山田さんっ怖いとか気持ち悪いとか……そういう感情、ないんですか?】


「そうだな、強いて言えば…………怪我が怖い。それと、たまに……ヴィクトリアも怖いな」


 山田さんの発したその言葉は、受付二号さんにも届いてしまいました。


「そうですよね、あの人って意味不明に怖いんですよ。本当にそちらに引き取ってもらって良かったです。あ……返品不可ですので、不要になったら燃えるゴミとして捨てておいてくださいね」


 またも因縁の匂いがします。変に燃え移っては堪りません。山田さんは依頼書を受け取ると……そそくさと冒険者ギルドを後にするのでした。




***




 冒険者ギルドを後にした一行は、雑草や低木の生い茂る荒れ地にやってきました。どうやら、ここに……クモ男が生息しているようですね。


 三人は各自、クモ男を探し始めました。やはり人間にとって蜘蛛の存在を感じるのは……巣を発見した時でしょう。三人は蜘蛛の巣を探しています。そのため、木々の枝付近……高い場所を中心に見て回っていますね。




 しかし……探せど探せど、なかなか見つかりません。




 そろそろ……小一時間ほど経過したでしょうか。疲れてきたのでしょう、山田さんは切り株に腰掛けました。


「ふぅ……何処に隠れてやがるんだ」


 山田さんは視線を落とすと……地蜘蛛が見つからないことへの愚痴をもらしました。その時です。


「あ……ひょっとして、これか?」


 山田さんは何かを見つけたようです。山田さんは地面に四つん這いになると……先程まで座っていた切り株の根本に注目していますね。




【何を見てるんですか?】


「これはだな……蜘蛛の巣なんだよ。俺もガキの頃には、よくジグモを堀ったもんだ」


 山田さんは切り株に目立たないように貼りつけられた、円筒型の袋のような物を手に取りました。そして……慎重に引き上げていきます。


「これ……あんまり焦ると……逃げられちまうんだよ」


 円筒型の袋をゆっくりと引き上げる山田さん。その円筒形の袋は……みるみる内に大きくなっていきます。


「この重量は……多分、当たりだな」


 山田さんは両手で袋を握ると、一気に引き上げます。すると地面が割れ……巨大な蜘蛛の巣が地上に吊り上げられました。これが、クモ男の巣みたいですね。




 そして、その中から姿を見せたのは……討伐対象、クモ男です。




 その見た目は依頼書通り。顔は蜘蛛で目は一つ。口からは牙が二本生えていて、体は人型……体毛は蜘蛛。はっきり言って、人を選ぶ見た目をした生物ですね。私も多少の苦手感があります。




「餌かと思えば、人間クモか。小生は人間と生死を賭けて争うつもりはないクモ。帰ってくれクモ」




 クモ男は大きな牙二本を動かしながら、そんな発言をしました。なんだか思ったより知的というか……好戦的ではないみたいですね。


 しかし、山田さんの狙いは討伐です。帰るわけにはいきません。山田さんは口を開くと…………



「俺も生死を賭けてまで戦う必要は感じない。だから……クモ男よ! 俺と…………プロレスしようぜ!」




 そんな事を言うのでした。いったい金策は何処にいってしまったのでしょうね。



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