96話 「また……死刑でも宣告されたんじゃない?」
セパラドスから道場・会場用の土地の貸与が認められたスカイハイ。しかし困ったことに、いくら土地があろうが……そこに建物や設備を用意する資金が不足しています。
山田さんはフライング・ヘッドに泥パック施術を行い、お金を稼ぐのですが……団体員も増加しましたからね、お金が貯まる量、速度のどちらもが停滞気味でした。
そういった訳で、今の積金は……必要と思われる金貨量に比べれば微々たるものです。
【それで……資金調達はどうしますか?】
私は山田さんに今後の方針を問うことにしました。多分……何も考えてないと思います。
「そうだな、とりあえず……どうしたらいいかわからん事だけはわかっている」
ほら、それっぽく誤魔化してますが……結局は何も考えてませんよね。もう長い付き合いですからね、これくらいは分かっちゃいます。
【それなら……皆さんに相談すればいいんじゃないですか?】
「まあ、それが最善だろうな。なら、善は急げだ、相談しようそうしよう!」
こうして山田さんはスカイハイ関係者を集めるのでした。
こうして墓地に集うスカイハイの面々とスケルトンさん。集合の理由が説明されていない事もあってか……山田さんの目的を推察してる人もいますね。
「ひょっとして、次は……ワテらのスカイハイデビュー戦が実施されたりするスケ?」
「何か……抱きつき魔みたいに、変な称号でも増えたのかもしれませんね。例えば巨悪とか害悪とか意地悪とか……」
「どうせ、また……死刑でも宣告されたんじゃない?」
スケルトンさん、ヴィクトリアさん、ルカさんの案が出ていますね。私的には、どの案が正解だったとしても驚かないですが……強いて言えば、ルカさんの案が私好みです。
「はい、皆……注目。今日、集まってもらったのは……別に俺が死刑になったからじゃないぞ。普通に資金調達の話題だ。」
山田さんは皆に、スカイハイの今後について語りました。常設会場や道場……そして寮の建設には金貨が十枚単位で必要になること。今の稼ぎのままでは、とても時間がかかってしまうこと。ヴィクトリアさんの飲食費で利益が圧縮されていること。サルヴァトーレさんがギャンブルで負けた分を前借りしていくこと。
山田さんは思いつくまま、お金が貯まらない理由を列挙するのでした。
「それで、皆に聞きたいんだけど……どうやって資金調達すればいいと思う?」
そして、金策手段を……関係者一同に丸投げしたのでした。
「そりゃもう、プロレス団体なんだから……興行をして稼ぐしかないじゃない!」
ルカさんは正攻法。興行収益をもって金策とする方針を掲げましたね。王道でしょう。
「いや、山田さんの欲してる金額を考えれば……興行では追いつかねえ。ここは……ギャンブルで一発勝負ってのはどうですかい? 今なら……競ユニコーンがヒリつくぜ!」
こちらの案はサルヴァトーレさんですね。まあ、彼らしい発想です。でも……邪道ですね。
「うーん、レスラーがギャンブルすると……身を崩す例が多いからな。その案は却下で」
山田さん……毎回ギャンブルだけは避けますね。元の世界で何かあったんでしょうか。
「それなら、冒険者ギルドで……もっと報酬金の高い魔物を探しますか?」
こちらはヴィクトリアさんの意見です。元々は冒険者ギルドの受付さんですからね。普通の意見だと思います。
「ターリア的にはーーーヴィクトリアさんのーーーパパから借りればいいと思いまーーーす」
うーん……既に土地貸与をしてもらっているので、これ以上はセパラドスには頼れないでしょうね。それに区長個人に借りるとしても……流石に金貨は貸してくれないと思いますよ。ちょっと無茶な提案かな。
「それなら、ターリアの衣装をオークションしてみるのです。きっといい値が付くのです!」
カルラさんの提案。これはブルセラですね。流石にそんなお金で会場を建設した日には……ブルセラ会場、ブルセラ道場、ブルセラ寮と呼ばれてしまいそうです。こんな外道な提案は通らないでしょうし、通してはいけません。
これで選手の皆さんからの提案が終わりました。続いて……イクセントラさんからも案が出されます。
「山田とサルヴァトーレの…………薄い本を作って…………頒布する…………これで荒稼ぎが可能」
まあ、ブルセラの真逆ルートですね。真逆の道を辿ってはいますが……目的地は一緒でしょう。BL 会場、 BL 道場、 BL 寮が完成するだけです。しかし…… BL 寮には、ちょっと興味が惹かれますね。とは言え、これも非道な案には違いありません。
「ワテらの魔石を寄付してもいいスケど……残念ながら安いスケよ」
最も人道的な提案をしてくれるスケルトンさん。ひょっとして性善説、善性というのは……骨に宿るのかもしれませんね。それが肉で覆われてしまうと……きっと悪性になるのでしょう。人間族の皆さん、もっと頑張ってください。骨に人間性が負けていますよ。
「じゃあ、多数決してみるか。誰の意見が一番良かったか……指をさして教えてくれ。行くぞ……せーのっ!」
えっと、確認しますね。最大得票は……イクセントラさんです。なんと……山田さんとサルヴァトーレさん以外、全員の支持を集めています。
「え……流石に嘘ですよね。こんなヒリつかねえ案は却下でしょうに」
サルヴァトーレさん、顔を青くしながら……多数決の結果を否定しています。しかし…………
「ダメ…………採決は絶対」
このように、イクセントラさんは退路を塞ぐのでした。ですが、サルヴァトーレさんの退路を封じたとして……もう一人が突き破ってくるんです。
「ふふっ……採決は絶対。確かにそれはそうだ! しかし、忘れちゃいねえか? 俺は団体のトップだぜ。だからこそ、ここで……拒否権発動! これによって自動的にイクセントラの案は廃案となる!」
暴虐非道。山田さんは常任理事国のように……採決そのものを無かったことにしてしまうのでした。
「それじゃ、ヴィクトリアの案を採用ってことで……はーい、解散! 俺は冒険者ギルド行ってくるから……皆、練習頑張ってねー」
常任理事国は自身の意見をゴリ押しして通すと……冒険者ギルドに向かうのでした。だったら、最初から相談するなと……私はそう思いますね。
あれ? 何だか二人ほど……山田さんの後ろに付いていっていますね。




