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1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
新人育成編

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93話 「議会に卍固め、消費税に延髄斬りしに来ました!」


 さて、実験興行も大盛況のまま成功に終わり……それから数日を経ました。今日はセパラドス議会の開催日らしいです。山田さんは目覚めると、いつものスウェットに着替え……議会へと向かうのでした。


 本日のスウェットには……プロレス LOVE と書かれています。まあ、この言葉が一番……山田さんらしいかなと、そう思いました。




 そして議会を目指して街を往く山田さん。その姿を見つけると……大勢のファンが集まってきます。


〈山田選手、握手してください〉


〈山田選手、ビンタしてください〉


〈山サルLOVEの方が似合ってますよ〉


 色々なファンに囲まれる山田さん。流石の人気ですね。


 山田さんはしばらくの間、ファンの皆様に対応をすると……再び議会へと、歩みを進めるのでした。




【本当に議会なんか行って……大丈夫なんです? 今度こそ死刑になるかもしれませんよ】


 私は周囲にファンがいないのを確認して、山田さんに話しかけました。


「安心しろ、すーさん。俺の世界では……プロレスラーだって政治家になれるんだ! ならば、俺がこの世界で政治家になったっておかしくないだろ? ならば……議会に乱入するくらい、なんてことない!」


【とりあえず理論は滅茶苦茶なんですけど……それより、議会に乱入するって発想からして間違ってます】




 そんなこんながありまして、出来れば山田さんを静止したかったのですが……山田さんは議会まで辿り着いてしまいました。


「お疲れ様でーーーす」


 議会の建物入口を警備する衛兵さんに……さも、当然のように挨拶しながら入館する山田さん。


「この前の実験興行の時の話ですか? 区長なら今は議会に出席しておられますよ」


 どうやら衛兵さん、実験興行の観客だったようですね。あまりにも自然に入ってくる山田さんに不審を感じることすらありませんでした。それどころか、区長の居場所まで教えてくれています。




 議会建物内を闊歩する山田さん。誰も……本当に誰も、山田さんを訝しむ人がいません。魔物が街に……山田が議会に入ってくるセパラドス。この街の今後が危ぶまれます。


 山田さんは遂に……議場への扉の前まで来ました。重量感のある豪華な扉ですね。脇には衛兵さんが立っていますが……やはり、この人もダメです。山田さんに不信感を抱きません。おかしいでしょ、山田さんなんて……どこからどう見たって不審者じゃありませんか。




 ギィッ




 それどころか、衛兵さん。扉を開けてくれました。もう……ダメですね。最悪のケース、死刑を覚悟しておきましょうか。そして山田さんの前には……神聖な議会が開かれていました。




「議会に卍固め、消費税に延髄斬りしに来ました!」




 議場に入るや……山田さんは大声で叫びました。途端に集まる注目。招かざる客の来訪に……議場は混乱しています。




「俺はこのセパラドス議会のど真中に立ったんだぞ、今!」




 更に大声で叫ぶ山田さん。もはや怖いものなしですね。本当に死刑すら恐れてないんじゃないでしょうか。


 さて議員の皆さんはというと、山田さんの意味不明な咆哮に当惑していますね。しかし、何故か……山田さんを咎めるような人は現れません。


「この前の実験興行、見させてもらいましたよ。握手してもらってもよろしいかね?」


 咎めるどころか握手を求める議員さんもいるくらいです。何だかんだ言っても……山田さんって街の有名人ですからね。議員さんも無碍に扱うわけにはいかないのでしょう。これで……なんとか死刑ルートは回避されたのかな?




***




「…………と、そういうワケだ。なので議会の支援を求めたい」




 さも当然にように、演壇で熱弁を振るった山田さん。あまりの大声に議長から注意を受けていました。


 さて、それで山田さんの主張はというと……実験興行の際、区長と約束した内容に期限が切られていない。そういった不備を指摘したのです。それに対して、議員の皆様の反応はというと…………




「それは区長の大失態だ!」


「悪意しかない約束を見逃すわけにはいかない!」


「不信任決議だ! 区長の罷免を求める!」


「いや……それでは生ぬるい。特別背任罪で死刑を求刑すべきである!」


 なんと、山田さんではなく区長の死刑が提案されるとは……流石の私にも見通せませんでしたね。


 しかし、セパラドスって……こんな行政で大丈夫なんでしょうか? 今からでも遅くありませんよ。こんな所を本拠地にするなら……王都に逃げた方が良くありません?




「違う、違うんだ……俺は罷免や死刑なんて求めてやいない!」


 山田さん、またも演壇で熱弁を披露し始めました。しかし、思ったよりも似合ってますね。ひょっとしたら、プロレスラーが政治家になるのって……意外と向いているのかもしれませんね。


「俺は……プロレスを通じて世界平和がしたいだけなんだ! そう……このセパラドスを本拠地として、プロレス興行を……平和の祭典として開催する。それだけが目的なんだ! だから、皆は平和に……仲良くあってくれ!」


 えっと……この発言で王都への脱出が消えました。そして、区長と議員に仲良くあることを求めています。しかし、そんなこと言うなら……まずはルカさんとカルラさんを何とかするべきでしょうに。




〈うおおおおおおおおおお!〉




 しかし……議会からは大歓声が上がるのでした。議員の皆さんは感動し、山田さんの演説を絶賛しています。もうセパラドスはダメかもしれません。いや……既にダメですね。




「それでは……セパラドス郊外の土地、これを年内までに貸与する提案。決を取ります」


 そして、議会では土地貸与の採決が行われました。結果は…………満場一致です。


 こうしてスカイハイはセパラドスを本拠として……会場、道場、寮の用地を確保することが出来ました。




 山田さんは区長や議員の皆さんと握手をすると……議会を後にするのでした。




***




「さて、次は会場建設費用と……もう一個のリング代稼ぎだな」


【どれくらいのキャパシティーの会場にするかはわかりませんが……流石に金貨レベルでお金を用意しないと足りないと思いますよ】


 議会からの帰途……私は山田さんと会話しています。


「金貨か……そうなると魔物狩りだけでは厳しいか?」


【興行の利益とかを入れても……しばらくは時間がかかるでしょうね】


「うーん……となると、他にも金策を考慮しなければいけないが……手っ取り早いのは大型スポンサーが付くことかなぁ」


【そこまでの大きな会社……セパラドスにはありませんよ】


「だよな……。まあ、仕方ない。資金確保は今後の課題として取っておこう」


【そうですね。コツコツいくしかありませんよ】


「まあ、そんなことより……皆と合流するか! 議会にいたせいで……体が鈍っている気がするんだ。体が動かしたくてしょうがない」




 そして山田さんは……皆の待つ墓地へと駆け出すのでした。



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