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1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
新人育成編

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92話 「俺が議会に行こう」


 無事、実験興行を終えたスカイハイ。一同は控室に集まっていました。


「はい……今日の実験興行はお疲れ様。皆の頑張りもあって……無事にスライム師匠は受け入れられ、俺が死刑を宣告されることもなくなった訳だ。本当にありがとう」


 そう言うと、山田さんはスカイハイ一同とスライムさんに頭を下げるのでした。

 



「それで今回は実験興行ということで、入場料を半額でやってみたんだが……やはり、この金額だと経費を除けばトントンくらいになっちまうな」


 その発言に頷くヴィクトリアさん。どうやら、山田さん……今回の実験興行の勘定をヴィクトリアさんに算出してもらっていたようですね。


「そんな事……見ればわかるのです。今回は前回と違って銅貨の山がありませんのです」


 カルラさんは、さも当然のように言いました。しかし…………


「今回は前売りでチケットが捌けてたんだから、当たり前じゃない。アンタ……馬鹿じゃないの?」


 そう、ルカさんに嫌味を言われるのでした。カルラさんはルカさんを、殺意を込めて睨んでいます。


「ああ、そうか。カルラ……いいことに気づいたな。会場内での現金収入があれば……ここに銅貨の山が積まれててもおかしくないもんな。となると……グッズや飲食、そんなところだろうか。いずれは、そういった事業にも手を伸ばしてもいいかもしれんな」




 この発言で……なんとカルラさんは復権を果たしました。今度はルカさんが……山田さんを睨みつけていますね。でも、それは八つ当たりです。




「それでは今回の実験興行 MVP を発表するぞ。今回の MVP は…………スライム師匠だ!」


 まあ、至極当然の結果に……異議は出ません。皆が拍手でスライムさんの栄誉を称えています。


「いやいや、これもターリアと…………山田のおかげスラ!」


 謙遜するスライムさん。もはや団体の一員みたいになっていますね。


「じゃあ、師匠……ご褒美だ。何か欲しいものあるか?」




「うーん……困ったスラね…………そうだ、ガーリックパンとスライムゼリーを……ルカ、買ってこいスラ!」


 なんとスライムさん、ご褒美にガーリックパンとスライムゼリーをご所望のようですね。


 これ……私、覚えていますよ。ルカさんが団体に加わった時に……ルカさんに買い出しを命じた時のメニューですね。




「わかりました。じゃ……カルラ。買ってきなさい」


 ルカさんは買い出しをカルラさんに命じました。先輩から後輩へ……そして後輩から更に後輩へと、注文がリレーされていきます。その命令を受けたカルラさんは…………


「あっ……ハイ。今すぐ…………行かせていただくのです!」


 そう言うと、控室を後にしようとするのですが…………




「なんて、言うわけないのです!」


 スライムさんへと猛ダッシュするカルラさん。そしてスライムさんを蹴り上げました。高く高く、何処までも飛んでいくスライム先輩。その姿は……青空に向かって、段々と小さくなり……そして、見えなくなりました。




 こうしてスライム師匠は天空に輝く星となり……スカイハイを見守ってくれる事でしょう。




 ちなみにカルラさんはスライムさんを蹴っ飛ばした後、ルカさんにもビンタを入れています。そして……二人の控室大乱闘が始まるのでした。




***




 さて、控室内ではルカさんとカルラさんの大立ち回りが行われています。それ以外のメンバーは……その被害を避けるため、控室から避難しています。


「あの、山田さん……少し良いですか?」


 そして控室前、ヴィクトリアさんが山田さんに話しかけていますね。


「ああ、いいぞ。アイツらの怒号を聞いているよりは百倍マシだ」


 そうですよね。私もそう思います。だって、控室からは……『なんだコラ!』『いつでもやってやるのですコラ!』『吐いた言葉飲み込むなよアンタ?』『噛みつくんならしっかり噛みついてくるのですコラ!』……こんな声が聞こえてくるんです。ここはヴィクトリアさんとの会話で現実逃避しましょう。




「今までの興行なんですが……旗揚げ戦、第一回興行、そして実験興行の全てが満員でしたよね?」


「そうだな。ありがたいことに、立ち見まで出るほどだ」


「しかし、逆の見方をすれば……それは観客数に伸びしろがないということですよね」


 ヴィクトリアさん、今回は試合もありませんでしたからね。着替え等をする必要もありませんし……どうやら経営について考えていたくれていたようです。




「例えばですね……入場料が銅貨五枚だとトントンじゃないですか。十枚だと多少の利益がでます。しかしですね、今後の団体の成長を考えると……銅貨十枚では不足してしまいますよね。ですから……今後は入場料を値上げせざるを得なくなるかもしれませんね」




 ヴィクトリアさん、プロレスラーより経理が似合っていますね。もしくは経営コンサルタントでしょうか。山田さんに今後、値上げが必須になることを説明しました。


「その話は、会場のキャパが今のまま……つまりセパラドスの中央広場の時の計算だよな?」


「はい……そうですね」


「だが、その話は……区長がなんとかしてくれる話だろ? なら……値上げしなくても大丈夫じゃないか?」


 その話は、私も覚えてますよ。興行の最後に区長が約束してくれましたよね。土地を何とかしてくれるとか言ってたと思います。


 しかしヴィクトリアさん……渋い顔で語り始めます。




「その件なんですが……よく思い出してみてください。パパは……いつまでっていう期限を切りませんでしたよね。つまり……議会は説得するが、いつまでに説得するとは言っていない。こういう手法だと思います」


 あー、なるほど。そういう事ですか。山田さんのにわとりマン頭では思い出せないと思いますので、私が振り返りますと…………区長は『私が土地の問題に関して………………………………議会を説得しよう! どーですか、お客さん!』と、そう言ったんですね。


 確かに、発言の間が異常に長いなと思ったんですけど……本来なら、そこで期限を言うつもりだったんでしょう。しかし、それを濁したという事は……怪しいですね。それどころか、即座にお客さんを煽ることで……それに気づきにくくさせていますからね。


 まったく……流石は政治家さんですね。油断禁物です。




「なるほどな。だが、安心しろ……ヴィクトリア! それなら……俺が議会に行こう。そして説得してやる。任せておけ!」



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