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冴えないプロレスラーの俺がツッコミの女神に転移させられたのは娯楽のない世界だったので、プロレス団体を設立して人々に娯楽と笑いを届けよう  作者: マスクドぷるこぎ
団体創成編

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9話 「順調にスライムさんがお金もちになってるようで幸いです」

 俺とスライムの名勝負は中盤戦に差し掛かったであろうか。激しい闘いからは熱狂が生じる。そしてその熱狂は周囲を満たすのだ。


 いつの間にだろう……気づけば俺とスライムの周辺を冒険者達が囲っていた。そして彼らは俺達に目が釘付けとなっている。ふっ……彼らにも、この闘いの価値が理解できたらしい。俺とスライムは羨望の眼差しを全身に浴びる。


【羨望というより……呆れ果て達観した眼差しですね、これは】




「おい……あの筋肉男、武器も持たずにスライムと戦ってやがるぜ」


「武器を買う金すらないのか? 誰か恵んでやれよ、可哀想だろ」




 周囲の冒険者達からは、俺とスライムの好勝負への見解が聞こえてくる。その意見、図星と思うだろ? だが、全然違う! プロレスラーの俺にとって……鍛え上げた筋肉こそが、最強の武器なのだ! だから武器も持たずという意見は……この俺には当てはまらない。


【まあ、それは百歩譲って認めますけど……武器を買うお金がないのは図星ですからね】


 


 また、先程の冒険者達以外からの視線も感じる。どうやらそちらは女性冒険者達の集団のようだ。ある者は恥ずかしそうにしながら、チラチラとこちらを見ている。また、ある者は……俺の下半身を凝視していた。きっと俺の鍛え上げられた大腿筋に見惚れているのだろう。その後、彼女達はヒソヒソと噂話を始めた。




「あの人、何で防具を着てないんだろ。可哀想……」


「パンツ一枚とか……恥ずかしくないのかな?」


「そういう趣味なのかもね。わからなくはないわ」




【こんな噂が、これから七十四日は続きますよ。良かったですね】


 どうやら彼女達は、俺が防具を着用していないことに驚愕していたらしい。しかし武器同様、俺にとっては鍛え上げた筋肉こそが最強の防具なのだ。敢えて、筋肉の上に何かを着ける必要性を感じない。


 いや……だからと言って、俺は服を着たレスラーなんかを否定しているわけじゃないぞ。実際、ファングッズとして試合着用と同デザインのTシャツなんか、人気グッズとして売れに売れたりするしな。まあ、それでも俺がオーソドックススタイルなのは……衣装にこだわるくらいなら、筋トレばかりしていたからだ。


【ところで山田さん。最強の武器である筋肉と最強の防具である筋肉が戦ったら……どっちが勝つんです?】


 すーさんが故事成語、矛盾の例を用いて俺にツッコミを入れてきた。


 ふふっ……そう来ると思っていたぞ! 俺はそのツッコミに、完璧な言葉を用意して待ち構えていた。


「筋肉が勝つに決まってるだろ」




【どっちのだよ】




***




 すーさんとの矛盾をはらんだ筋肉問答は激論の果て……引き分けで終えることにした。でも、本当は攻めの方がちょっと強いんじゃないかなと思ったりしている。ほら、やっぱり……攻めてる時の方が気分がいいからな。


 というわけで、俺は攻めることにした。


 俺はスライムとの間合いを詰めると、ヤツの全身を両腕で抱えあげ……俺の頭上、遥か高くに掲げ上げた。そのまま俺は後方へと倒れ込む。この技こそがスライムのブレーンをバスターする……必殺のブレーンバスターだ!


【ブレーンをバスターするって説明、必要でした?】

 

 バターン!


 俺とスライムが大地に叩きつけられる音が周囲に響いた。俺は背中で受け身が取れているが、スライムは俺より高所からの落下だ……無傷なはずがない。


【無傷ですね】


 馬鹿な! 俺は地面に叩きつけたはずのスライムを見やるが、確かに無傷だった。どういう事だ……そうか、そういう事か! 俺は再びスライムを掴むと、手近の木に登り始める。そして太い枝に仁王立ちをすると……スライムを掲げ上げ、再びブレーンバスターを敢行するのだ!


 ふははっ……これぞ、普通より高い場所からブレーンをバスターする……必殺の雪崩式ブレーンバスターだ!


 ドシーン!


 いつもより長く重力加速を得たブレーンバスターは……先程以上の轟音を響かせた。砂煙も舞っている。そのせいか視界が悪い。


 ふふっ……これだけの威力の雪崩式ブレーンバスターだ。スライムのヤツめ、今度は無事であるはずがない。俺はスライムがボロボロになっている姿を確認するため、視界が開けるのを待つ。


 


 ようやく砂煙が落ち着いてきた……俺の視界が鮮明になる。




【無傷ですね】 


 すーさんの発言と同じくして、落下地点で元気そうに飛び跳ねているスライムの姿が見えた。バカな……ブレーンがバスターされていないだと! それならば!




「喰らえっ! スライムのバックをドロップする……必殺のバックドロップだ!」


【無傷ですね】 


「ならば、普通より高い場所からバックをドロップする……必殺の雪崩式バックドロップだ!」


【無傷ですね】 


「喰らえっ! スライムの水車を落としする……必殺の水車落としだ!」


【スライムの水車って……地主か何かですか?】


「喰らえっ! スライムのダイヤモンドをカッターする……必殺のダイヤモンドカッターだ!」


【順調にスライムさんがお金もちになってるようで幸いです】




 そんな感じで山田さんの猛攻が続いています。しかしスライムさんには一切のダメージを与えられていません。落下ダメージというか、投げ技でダメージを与えられる敵じゃないのは……見ればわかると思うんですけどね。




 まあ、面白いから忠告せずに……楽しませてもらいましょう。


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