88話 「サル山下克上こそ至高」
スライムさんの退場に時間がかかりましたが、場内はようやく平静を取り戻しました。そして第二試合の開始です。
「第二試合は初のタッグマッチとなるので、簡単に説明する。リング上では基本的に、試合権利を持つ者同士が一対一で戦う。それぞれのパートナーは各コーナーで待機している。そして、コーナーに設置されたタッチロープを持ったまま……試合権利保持者の体に触れることで、タッチが正式に認められ試合権利が移動される」
うわ、言葉にすると……思ったより長いですね。タッグマッチのルールって、結構しっかりしてるみたいです。
「とは言え……見てみたほうが早い。よって…………第二試合、ルカ・カルラ組 VS 山田・サルヴァトーレ組を開始しようと思う。観客の皆さんは……細かいことを考えず楽しむといい」
イクセントラさん、ルールの説明を切り上げました。
まあ、ルールなんて細かいことを気にしてはプロレスが楽しめません。一番優先されるべきは…………面白いことなんです!
「青コーナーより…………ルカ・カルラ組の入場」
イクセントラさんの紹介により、花道に登場したルカ・カルラ組。お客さんは沸き立ちます。そして……入場曲はルカさんのものが使用されていますね。まあルカさんの方が先輩ですから、そういうものなんでしょう。
リングへ向かう二人組、お客さんに応えながら……リングへ向かいます。しかし、少し気になりますね。えっと、カルラさんなんですが……あまりルカさんを視線に入れないようにしている気がします。まあ、後輩だから控え気味にしていると……そう考えておきましょうか。
そして二人はリングインします。リング上で大きな歓声を受けている二人を脇に……イクセントラさんは赤コーナ側の選手を呼び出します。
「赤コーナーより…………山田・サルヴァトーレ組の入場」
次は山田さん達の入場ですね。流れる音楽は山田さんの音楽です。相変わらず、何とも言えない曲調に……お客さんは戸惑い、サルヴァトーレさんも戸惑っていました。そんな微妙な空気の中……二人はリングインします。
〈わーわーわーわー〉
〈こうして見ると……やっぱ山田ってデケーわ〉
そう言えば……リング上に選手が四名立つのは初めてでしょうか。その光景だけでもお客さんは興奮気味ですね。
「青コーナー…………体重は卵二つ分くらい…………カルーーーーーラーーーーー」
「同じく体重は秘密…………ルーーーーーカーーーーーー」
〈男タッグになんて負けるなよー!〉
〈お前ら、喧嘩すんなよー!〉
青コーナー側、ルカ・カルラ組のコールが行われると、それに合わせて声援も送られています。
「赤コーナー……198パウンド…………サルヴァーーーーートーーーレーーー」
「同じく……286パウンド…………やまーーーーーだーーーーー」
〈山サルコンビ尊い!〉
〈サル山下克上こそ至高!〉
こちら、赤コーナーには特定の支持者がファンとして付いていますね。最初は地味タッグだと思ったんですが、案外……受けがよろしいようで何よりです。
さあ、両軍はそれぞれのコーナーへと下がり……どちらが先鋒で出るかを相談しています。
「まあ、タッグマッチは初めてだからな……俺が先に出る」
山田さんは自分が先手を務めると伝えました。それに反論する事もなくエプロンに控えるサルヴァトーレさん。対して青コーナーは…………
「ボクが出るのです。ルカは引っ込んでろなのです!」
「何言ってんのよアンタ! アンタが引っ込めばいいじゃない!! 次の出番は試合後だけどね!!!」
ルカ・カルラ組……取っ組み合いが始まりました。互いに相手の髪の毛を引っ張っていますね。
「どっちでもいいから……来いや!」
いつまでも小競り合いを続ける青コーナーにしびれを切らしたのか、山田さんはリング中央まで行くと手招きしています。その挑発を受け、山田さんに飛びかかろうとするカルラさん。しかし、その髪の毛を掴み……引き戻すルカさん。もう……どうしようもありません。
結局、青コーナー側にはイクセントラさんから注意・警告が与えられました。
そして……先鋒はルカさんのようですね。カルラさんは頬を膨らせながら、エプロンへと引くのでした。
さあ、ようやく試合開始です。イクセントラさんはゴングを要請しました。
カーーーーーン!




