86話 「俺……何かに目覚めたかもしれん」
ついに始まりました。魔物プロレスです。この結果如何によって……魔物が受け入れられるか、山田さんに死刑が宣告されるのかが決まります。なんだか……お客さんも緊張してるみたいですね。
「皆さーーーん、安心してくださーーーい。ターリアが魔物を倒しちゃいまーーーす」
試合開始早々、観客の皆さんにアピールするターリアさん。
〈勝ってくれー!〉
〈頑張れー!〉
〈こっち見てくれー!〉
アピールの結果、お客さんの声援が大きくなりましたね。どうやらお客さんの緊張も解れたようです。
「スライムさーーーん、行きますよーーー!」
アピールを終えると、一直線にスライムさんに突っ込むターリアさん。スライムさんはターリアさんに捕獲されてしまいます。そしてターリアさんはスライムさんを両腕で……高々と掲げ上げました。
「これが……ゴリラプレスならぬ、ターリアプレスでーーーす! 死んじゃってくださーーーい!」
そう言うと……スライムさんをマットに叩きつけます。
ぽよーん ぽよーん ぽよーん
〈ん?〉
マットに叩きつけられたスライムさん。バウンドしてますね。一回……二回……三回ほど弾むと、落ち着きました。
「まだ行きますよーーー!」
ターリアさん、攻撃の手を緩めません。今度もスライムさんを掴むと空高く掲げあげます。
「垂直落下式ブレーンバスターで……死んじゃってくださーーーい!」
ぽよーん ぽよーん ぽよーん
〈あれって効いてる?〉
再びバウンドするスライムさん。今回も……三回のバウンドですね。
「まだまだ行きますよーーー!」
ターリアさん、まだ攻撃の手を緩めません。今度もスライムさんを掴むと天高く掲げあげます。
「垂直落下式バックドロップで……死んじゃってくださーーーい!」
ぽよーん ぽよーん ぽよーん
〈どう見ても……無傷だよな〉
再々度バウンドするスライムさん。決まったかのように三回バウンドするのでした。
〈おいおい、ターリアの攻撃がまったく効いてないぞ〉
〈どうなってんだ、この試合〉
〈ケケケ……これが魔物の実力ケケケ〉
お客さんは困惑しています。スライムさんも困惑しています。私も困惑しています。その中で……スライムさんが真っ先に正気を取り戻しました。
「これ……わし、バウンドしてるだけじゃないかスラ! そろそろ反撃と行くスラよ!」
スライムさん、遂に動き始めました。ターリアさんに凄まじい速度で這い寄ると……飛び跳ねました。
「これがスライムの必殺技! 『体当たり』スラっ!」
ターリアさんの上半身目掛け……高威力の体当たりを狙っています!
ぷよーん
〈うおおおおおおおおおおおおおおおおおお!〉
スライムさんの体当たりは……ターリアさんのおっぱいに直撃しました。ぷよぷよと弾むターリアさんのおっぱいとスライムさん、どちらもが同じような震え方をしています。
スライムさんはおっぱいに弾き返されると、マットに落下しました。そして…………
「この娘…………わしらスライムの感触とまったく同じスラ!」
そう叫ぶのでした。
「体当たりでは跳ね返されてしまうスラ。ここは……スリーパーホールドで行くスラよ!」
スライムさんは高く跳び上がると……ターリアさんの頭部に着地しました。そしてスリーパーホールドとは名ばかりの、窒息を狙って顔面を覆う技を試みます。
「……ん…………苦しい」
スライムさんに顔面を覆われ、呼吸が出来なくなったターリアさん。両手をジタバタとさせながら、もがき苦しんでいます。
〈やべぇ……なんか…………すごくいい〉
「んぁ……はぁはぁはぁはぁ」
なんとかスライムさんを振り払ったターリアさん。苦悶の表情で呼吸をしていますね。
〈俺……何かに目覚めたかもしれん〉
〈スライムさーん、もっとお願いしまーす〉
〈体当たり、アンコール! アンコール!〉
あれ……なんだかお客さんがスライムさん寄りになってきてませんか?




