81話 「サルヴァトーレ、来い。縛ってやる」
さて、ターリアさんとカルラさんに新技を伝授した山田さん。次は……サルヴァトーレさんを発見しました。いそいそと近づいていきます。
「えっと……サルヴァトーレには、何の技がいいかな」
山田さんは何の技を伝えるべきか、思案中のようですね。間抜けな表情で宙を眺めています。
「この前、ルカ先輩にも言われたんですが……どうも俺はヒリつかないというか、地味なもんで……派手目の技ってないもんですかね?」
サルヴァトーレさんはどうやら派手な技を望んでいるようですね。しかし、そのリクエストを聞くと……山田さんの顔は曇るのです。
「お前は……そもそも職人技タイプだろ。それなのに派手って言われてもだな…………」
今度は目を伏せ思案する山田さん。
そんな時です。珍しく……イクセントラさんが練習の見学に来ました。
「…………来た」
イクセントラさんの来訪に気づかないほど黙考している山田さん。イクセントラさんはそれを見ると…………
「山田とサルヴァトーレは…………どうした? 縛り方でも…………考えてるのか? それなら…………天狗縛りが…………オススメ」
いつもの発想で、いつもの発言をするイクセントラさん。それを聞くと、山田さんは目を見開きました。そして…………
「そうだ……縛りたい。イクセントラ、ロープの準備って出来るか?」
この発言に、サルヴァトーレさんは……半端なくヒリついた表情を浮かべるのでした。
何故だか知りませんが、イクセントラさんは日常的に持ち歩いているロープを用いて……墓場に簡易的なロープを設置しました。山田さんはロープに体を預けたりして……使用感を確かめていますね。
「少し細いが……大丈夫だろう。よし…………サルヴァトーレ、来い。縛ってやる」
ヒリつくサルヴァトーレさんとムラつくイクセントラさん。しかし、山田さんの命令には逆らえません。サルヴァトーレさん、意を決して……ロープへと向かいました。
「ちょっと、このロープの間から頭出してくれない?」
ロープを挟んで、山田さんの向かい側に立たされたサルヴァトーレさん。トップロープとセカンドロープの間から頭部を山田さん側へと突き出します。すると、山田さんは……サルヴァトーレさんの頭部を下へと持っていきました。『く』の字のようにセカンドロープ上でぶら下がるサルヴァトーレさん。
そして山田さんはサルヴァトーレさんの脇に、自身の足をフックさせると……トップロープを鉄棒の前回りのようにして、くるりと回りました。すると……その位置にはサルヴァトーレさんの両足があるではありませんか。山田さんは両腕で、その両足を絡め取ります。すると、サルヴァトーレさんは山田さんとロープによって……身動きが取れなくなってしまいました!
「これはタランチュラと言ってだな、ロープを使って相手を磔にしてしまう技だ。例えば、俺がこうやって体を揺すると……負荷が強くなるだろ?」
山田さんが体を揺すると、サルヴァトーレさんのダメージが増しているように見えますね。その表情を見ていたイクセントラさん。目をキラキラさせながら、苦しそうなサルヴァトーレさんを……恍惚の表情で鑑賞するのでした。
「しかし、この技には問題があってだな。ロープに接触していることもあって……ファイブカウントまでに解除しないと反則負けになってしまうのが玉にキズだ」
タランチュラを解除しながら、この技の問題点を語った山田さん。サルヴァトーレさんは拘束状態から……ようやく自由の身を取り戻しました。拘束が解かれたことに残念そうなイクセントラさん……口を開きます。
「タランチュラなら…………ロープに触れていても…………反則負けなし…………さらにギブアップを認めよう…………ダメ?」
タランチュラが余程お気に入りなのでしょう。イクセントラさんは無茶な提案をしたのですが…………
「俺はいいと思うぞ。レフェリーなりに個性があるのも……プロレス的だ」
そんな感じで、あっさりと受け入れられるのでした。
その後、攻守を反転して……サルヴァトーレさんが山田さんにタランチュラを仕掛けています。陶酔状態のイクセントラさん。えっと……鼻血が出てますよ。
こうして、筋肉男が磔にされながら……サルヴァトーレさんは新技、タランチュラを習得するのでした。




