80話 「このフォークに賭けて……誓う!」
実験興行開催が確定してから、団体メンバーは興行の宣伝のため、街の人の不安を解消するため、街の人々に話しかけています。
「スライムさんと試合をするので……応援しにきてくださーーーい」
ターリアさんは試合衣装を身に纏って、街行く人に来場をお願いしています。その効果は男性に即効性がありました。また一人……ターリアさんのキワドイ衣装に目を惹かれて……チケットが売れていきます。
「皆さんの応援で……ターリアがセパラドスを守っちゃいまーーーす」
ターリアさんに街を守ってもらいたいという建前と……おっぱいが見たいという本音に、男性陣がチケットを競い合うように購入するのでした。
「私は止めたんですけど、パパ……区長が試合を強行しろって……そうでなきゃ死刑だって脅したんです」
こちらでは、ヴィクトリアさんが……女性達にパパの非道を訴えています。しかし、この内容は……捏造です。
「だからパパの企みを阻止するためにも……皆さん、当日に応援に来てください。沢山の人が応援してくれたら……パパだって考え直すはずです」
嘘泣きをフル活用し、パパの尊厳を地に落とし……こちらもチケットを捌いていきます。
「大丈夫だ、何かあったら俺がこのフォークで倒してやる! だから、当日は応援に来てくれよな!」
山田さんはフォーク片手に……子供達に当日の来場を訴えかけています。
「安心しろ! 俺はスライム退治は慣れているからな! このフォークに賭けて……誓う!」
この山田さんのアピールに子供達は大喜び。当日、親御さんに連れてきてもらえるといいですね。しかし一部では、刺殺魔再来か……などと不安を感じる人もいたそうです。
そんな感じで営業を続けた結果、どうやら……次の実験興行も満員になりそうですね。
***
さあ、観客動員の心配はなくなりました。そうなると、次に取り組むべきは……練習ですよね。
実験興行まで、残りわずかとなった中でも……新人四名は練習に励んでいます。特に技の習得に熱心ですね。これも第二回興行の反省なんでしょう。出せる技が多くなれば、それだけ試合を魅せることが出来ますからね。
そういった面で力不足を実感した新人さん達は……各自、新しい技に挑戦するのでした。
「ターリアには……ゴリラプレスなんかがいいんじゃないか?」
山田さんのアドバイスは悪口に聞こえますね。ですが、これはれっきとした忠告です。山田さんはカルラさんを呼びました。そして、ゴリラプレスの実演を見せます。
「まず……相手を重量挙げのバーベルのように両腕で持ち上げます。その時になるべく高い方が……お客さんは喜ぶぞ。そして、そのまま……どっかに投げ捨てろ。それだけだ」
山田さんはカルラさんを軽々と掲げあげると……適当に投げ捨てました。カルラさんは持ち前の軽業でしっかりと受け身を取っていますね。しかし、その立ち上がりを狙う者……ターリアさんは起き上がり際のカルラさんを掴むと…………
「えーっと……こんな感じですかーーー?」
容易く頭上まで持ち上げるのでした
「それで……投げ捨てまーーーす!」
「ちょ、ちょっと待つのです!」
ドーーーン!
カルラさん、遥か遠くまで投げ捨てられました。うん……これは絵になりますね。試合でも盛り上がること間違いないでしょう。
こうして、ターリアさんは新技……ゴリラプレスを習得したのでした。
「ゴリラプレスって名前もアレだから……ターリアプレスにしといた方がいいぞ」
前言撤回、ターリアプレスを習得したのでした。
次に山田さんは……遥か遠くまで吹っ飛んでいったカルラさんに歩み寄ります。流石のカルラさんも、ターリアプレスには受け身を失敗したようで……痛々しい姿を見せていました。
山田さん、そんなカルラさんを肩に担ぎ上げます。専門的に言えばファイヤーマンズキャリーという姿勢ですね。うーん言い換えるなら……御米様抱っこを両肩で背負うようにした感じです。
「カルラも技……覚えたいよな? じゃあ……身を持って覚えるといい。これがカミカゼだ!」
「ちょ、ちょっと待つのです!」
山田さんはカルラさんを担ぎながら、前方に走ると……前転をするようにして回転しました。カルラさんは前転の際の衝撃全てを……己の背中に受けるのです。しかも、山田さんの体重のおまけ付きで。
ドーーーン!
初めて喰らう技に甚大なダメージを負うカルラさん。少しピクピクしてますね。これ……大丈夫でしょうか?
しかし、これで新技……カミカゼ習得です。
こうして、二名が実験興行に向けて新技を習得しました。他の二名は……どんな技を教わるんでしょうね。




