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1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
新人育成編

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73話 「誰か一人だけの人気で興行が成立するような団体なんて危うすぎる」


【それにしても……第二回興行では、山田さんの試合が一番盛り上がらない感じになってしまいましたね】




 すーさんの言葉が頭に響いてくる。まあ……それは事実だ。第一試合のヴィクトリアの大暴れとメインイベントのルカ・カルラの因縁発生に比べれば、俺とサルヴァトーレの試合が地味だったことは否めない。とは言っても……それはいい事なんだけどな。


「いや、俺は団体員の試合が盛り上がったのなら……それで構わないぞ」


 俺は本心をすーさんに語る。そりゃそうだろう。自分だけが良ければいいみたいなエゴイストでは、団体経営なんて不可能に決まっている。いや……ないわけではないだろうが、不幸な結果になった例しか存在しない。俺は続ける。


「それに……誰か一人だけの人気で興行が成立するような団体なんて危うすぎる。そう考えれば、皆に人気が出ていくことこそが……理想なんだと思うぞ」


【おお、何だか真面目なこと言ってますね。でも……良かったじゃないですか。今回の試合で山田さんとサルヴァトーレさんには……新たな固定客が着いたのは間違いないですからね】


 それを聞いて……顔が曇る俺。いや、俺にはそういう気の趣味はないんだ。でも……元の世界にはそういう系統のレスラーもいたからさ。どういう試合が客に受けるかとか……多少は知ってるだけなんだ。




***




 さて、興行も終わり、一段落着いた頃……山田さんは選手全員を控室に呼びました。




「はい、まだ撤収は残っていると思うが……本日はお疲れ様でした」


 山田さんはそう言うと……深々と頭を下げます。すると、選手の皆さんも同じように礼をするのでした。


「それで、こうやって全員を集めたワケなんだが……見てくれ、この袋を!」


 発言と共に、山田さんは後方の……サンタさんが背負っているような大袋を指さしました。全員の視線は、その袋に集まります。さて、サンタさんの袋ならプレゼントが入っているんでしょうが……この袋の中身は何なのでしょうね。




「この袋、中身は全部…………銅貨だ」




 選手の皆さんは目が点になっています。まあ、普通に生きてたら……こんなに大量の銅貨を見ることはありませんよね。使い勝手を考えれば、銀貨に換金するのが普通でしょう。


「これ……何枚くらいあるんですか?」


 ヴィクトリアさんから質問が上がりました。山田さんは首を傾げながら答えます。


「会場のキャパシティと入場料から考えれば……五千枚くらいになるのか?」


「すると……銀貨五十枚分ですね」


 ヴィクトリアさん、受付時代のスキルを活かしてでしょうか……銀貨換算の数字を出してくれました。そういえば……銅貨と銀貨の交換比率だとかを教えてくれたのもヴィクトリアさんでしたね。きっと彼女の中では……山田さんはその説明を覚えていないと判断したのでしょう。




「この袋……ターリア、持ってみるか?」


 山田さんは袋の重さを実感させるためにでしょうか……怪力無双ターリアさんを指名すると、袋を持たせるようです。ターリアさんは袋に歩み寄ると、縛られた口の部分を掴みました。そして…………


「行きますよぉーーー」


 ターリアさんは両腕で袋を持ち上げました。すると……ジャラジャラと音を立てて、袋の底から銅貨が抜け落ちていきます。


「え……ええーーー!?」


 持ち上げるほどに軽くなる袋。それに戸惑うターリアさん。よく見てみれば……なんと袋の底が抜けていたのです。


「ふふっ……実はその袋、既に穴が空いているんだ。何故なら…………さっき俺が持ち上げようとして、破いちまったからだ!」


 いらん事を自慢気に語る山田さん。その得意げな顔は……普通の顔に、そして……哀愁ただよう顔へと変貌していくと…………




「ねえ、この銅貨……どうしたらいい?」




 地に山のように積まれた、圧倒的な量の銅貨。そして、それを運ぶべき袋は……底抜けです。


 山田さんは弱々しい声で……皆さんに尋ねたのでした。




【銅貨だけに……どうかしないといけませんね】


「その発想……俺はどうかと思うぞ」


【運動会みたいに……みんなでリレーで運びます?】


「それで運び切ることができるかどうか……俺にはわからないな」


 皆さんから答えが返ってこないので……私と山田さんは銅貨ダジャレで遊ぶのでした。




 そんな時です。控室にイクセントラさんが入ってくると…………




「その銅貨…………どうかしたのか?」




 そう言いました。




「イクセントラ様。この大量の銅貨を……どうか……助けてください!」




 山田さんは……そう言ってイクセントラさんに懇願するのでした。


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