66話 「え……男同士の試合ですか」
今日はスカイハイ第二回興行開催日です。早起きした山田さんは会場の設営へと足を運びました。その道中、手伝ってくれる冒険者の方々とも合流します。そして朝の挨拶を交わしながら……中央広場へ辿り着くのでした。
山田さんが到着した頃には、既に設営は開始されています。それもそのはず……新人さん達は山田さんよりも前に会場に到着すると、リングの設置作業に取り掛かっていました。
ルカさんと鍛冶屋のドワーフさんの指示を受けながら、リングを組んでいく新人さん。カルラさんは身の丈よりも遥かに大きな木板を運び、サルヴァトーレさんは金具の取り付けを行っています。ターリアさんは……鉄柱を軽々と運ぶと、ヴィクトリアさんはロープを準備していますね。
こうやって設営に選手の数が増えてくると……スカイハイが大きくなっていくのを感じますね。
「おはようございます」
リングに一礼すると、山田さんも設営に加わりました。マットを敷く作業を手伝っています。選手が怪我をしてはいけませんからね、一枚一枚を丁寧に作業を行っていました。
こうして段々とリングの形が出来上がっていくと、新人さん達は冒険者さん達と会場の椅子の設置作業に移ります。その作業中、新人さん達は『応援してるからな』『今日は何試合目に出るの?』『衣装の露出は多め?』だとか、冒険者さん達に話しかけられています。こうやって話かけられることで……ジワジワとデビューの実感が高まっていくんでしょうね。
こうして旗揚げ興行の時よりも早く、会場の設営は終了しました。
前回より広い……控室という名のテントを張ると、イクセントラさんも合流します。しかし今回は……前回より早く設営が終了したためでしょうね。少しばかり、時間に余裕があります。
山田さんとルカさんはマイペースに時間潰しをしていますね。新人さん達は、それを見習うべきか逡巡していました。そしてヴィクトリアさんが口を開きます。
「あの……デビュー戦に向けての心構えってありますか?」
そう問われた二人。山田さんはその返答をルカさんに託しました。まあ、デビュー戦の心構えですからね……間近に経験したルカさんが語るのが一番でしょう。
「そうね……思ったより緊張しなかったわよ」
軽い口調で語るルカさん。私……知ってますよ。入場の時に左右の手足が同時に出てたこと。
「それに試合が始まれば……緊張どころじゃなくなるから、安心していいわよ」
ルカさんの返答でした。そうですよね、セクハラ攻撃で緊張どころじゃなくなったの……今思えば、懐かしいです。
さて、開場の時間も近づいてきました。山田さんとサルヴァトーレさんは控室を出ます。どうやら、この時間で女性陣が準備をするのでしょうね。手持ち無沙汰の二人は、お客さんの誘導を手伝いに行くのでした。
「衛兵さん、頑張れー」
孤児院の子達に応援されつつ、子供達を最前列の席へと連れて行くサルヴァトーレさん。どうやら彼も衛兵時代に給料を孤児院に寄付していたそうです。なんだか山田さんと似たもの同士みたいですね。だから仲がいいんでしょう。
「今日は男相手か。じゃあ……セクハラは見れないな」
山田さんはお客さんに、そんな事を言われていますね。いったい彼はプロレス興行に何を見に来ているんでしょうか。いや、でも……そんな需要を発掘した山田さんが悪いですね。自業自得みたいなもんです。
「え……男同士の試合ですか! やったぁ!」
第二試合のマッチメイクにこういった反応を示す女性達もいます。なんでしょう……ちょっと腐っている感じがしますね。とは言っても、山田さんとサルヴァトーレさんという地味目なマッチメイクが……思ったよりも期待されているようです。これはこれで嬉しいですね。
さて、そろそろ女性陣の準備も済む時間でしょうか。二人は誘導を冒険者さん達に任せると……控室へ戻るのでした。
「おぉ……女性が五人も衣装に着替えていると…………流石に華やかだな」
「ヒュー……ヒリつくぜ」
衣装を身に纏った女性陣を見ると……山田さん達はそう言いました。サルヴァトーレさんは口笛のおまけ付きです。そして今度は女性陣が控室を去ると……男どもが準備を始めます。
男どもの準備を見ていても……仕方ありません。ここは女性陣の衣装でも見てみましょうか。
えっと……ルカさんの衣装は青のハイネックビキニですね。ラメが入った感じでキラキラしています。カルラさんは真紅のワンピースですが……いかんせん体に凹凸がありません。幼児体型です。
次はヴィクトリアさんですね。緑色のタンキニを着ています。あ、タンキニと言うのはタンクトップとビキニの組み合わせのとこですよ。そしてターリアさん。黄色のビキニですね。ただでさえ大きな胸が膨張色で……より大きく見えています。もはや……圧倒的ですな。
最後にイクセントラさん。前回と同じく白黒の縦縞のレフェリー衣装です。しかしヌーブラが盛りに盛られて……相変わらず縦縞がトリックアートのように歪んでいるのでした。
そろそろ……男性陣も着替え終わったでしょう。イクセントラさんを除いた女性陣は控室に入ります。そしてイクセントラさんは事前のルール説明をするため開場に向かうのでした。




