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1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
新人育成編

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63話 「これが必殺……すーさんアイだ!」


 実践練習からしばらく経ちました。あれ以降、新人の皆さんは目の色を変えて練習に取り組んでいます。特に課題が見つかった人は、その克服に全力を注いでいます。


 特にカルラさんは……食事量を増やして、少しでも体重を増そうと頑張っていますね。




 そんな感じで、日々を過ごしていたところ……山田さんが言うのです。


「流石に……ずっと墓場ってわけにもいかないよな、雨が降ると困るし」


 どうやら勝手に練習場扱いしているにも関わらず、墓地に不満があるようです。


【でも、自分で決めた場所ですよね】


 私は、その会話に乗ることにしました。


「いや……そうなんだけどさ。ここも悪くはないんだ。スケさん達が手伝ってくれるからな。でも受け身の練習とか……墓石が転がってて危ないじゃないか」


【まあ、それは墓地だから当たり前ですよ】


「こうなると、いっその事……寮を併設していたりとか屋根付きの道場とか、それと常設の会場も欲しいな。設営の手間が省けるのはありがたいし……」


【土地の問題が厄介そうですね。まあ……将来的にそういった拡張が出来るように頑張っていきましょう】


 私は山田さんと脳内会話をしていました。しかし……その会話は聞かれていたのです。


「あの……その件でしたら、私が力になれるかもしれません」


 そう言って割り込んできたのは……ヴィクトリアさんでした。




「実は私……セパラドスの区長の…………娘なんですよ」




 まさかの事実判明に、山田さんは仰天としています。私だって驚きました。


「なので……宜しければ、その話……私からパパに話してみましょうか?」


 ひょっとしたら……土地問題や建物問題、そして常設会場問題の解決になるかもしれないヴィクトリアさんの提案。山田さんは目を輝かせて、それを了解するのでした。


 まあ、そんなに上手くいくとは思えませんが。




***




 翌日、ヴィクトリアさんが父の執務室へ行くのに……私も着いていきました。いや、実際には視点だけ着いていきます。

これが必殺……すーさんアイだ! 




 やってみて……恥ずかしくなりますね、これ。




 コンコン




 ヴィクトリアさんのノックに……区長執務室の重そうな扉が開かれます。彼女を迎える中年から初老くらいの口ひげを蓄えた男性。こちらの方がパパなんでしょうね。


「おお、ヴィクトリア……珍しいじゃないか、ここに来るのは」


 ヴィクトリアさんは室内へ入ると、豪華なソファに招かれました。腰を下ろすヴィクトリアさん。


「それで……今日の来訪の目的は何かね?」


 ヴィクトリアさんにお茶を煎れ、取って置きのケーキを差し出すパパ。ヴィクトリアさんの対面に座りました。


「今日は……パパにお願いがあるんだけど」


 そう切り出したヴィクトリアさん。それを受けたパパはというと……


「いいともいいとも、ヴィクトリアの望みだったら……何でも買ってやるぞー。何でも……言ってみなさい」


 喜色満面で……そう語るパパ。あ……この人、娘にとにかく甘いタイプの父親ですね。ダメ親父です。


「いいの? それなら、セパラドスの郊外に……道場と寮を作れるだけの広い土地と、セパラドスの中央広場…………買って?」


「え……?」


 言葉を失うパパ。更にヴィクトリアさんの追撃が入ります。


「あ、それと……道場と寮の建設費用もほしいなぁ。あ、そうだそうだ! それにリングも……もう一基あるといいかも」


 流石はヴィクトリアさん、やり手ですね。スカイハイが望んでいる物を全て……パパに要求しています。




「あ……えーと、ヴィクトリア? 何でも買ってやるとは言ったが……パパにも限界があってね」


 絶句状態から立ち直ったパパ。上手く拒否しようと……必死に立ち回っています。


「いったい……いくらになると思ってるんだ。しかも中央広場は……公共の場所だから、買えるわけないだろう」


 その発言に……涙を浮かべるヴィクトリアさん。あれ……嘘泣きですよ。


「パパ……私ね…………デビューが近いの」


 ヴィクトリアさん、ここでも追撃を見舞います。ハッキリ言って……プロレスよりも上手いです。


「そうなのか……いや、しかし…………」


 そう言うと、パパは長い時間……何かを検討していました。その間も……ヴィクトリアさんは涙を枯らしません。これぞプロの泣き落としです。




「買ってやるのは無理だが……便宜を図るくらいは出来るかもしれない。ただ、その為には……議会を通さなくてはならないんだ、わかるだろ……ヴィクトリア?」


 ヴィクトリアさんは無言でパパをみつめています。その瞳には……そんなことくらい知ってる……そう書いてありますね。しかし、パパにはそれは読み取れません。


「だから、お前の所属するプロレス団体が……旗揚げ興行のように、もっと興行を成功させ、実績を重ねれば……議会を通すことだって出来るだろう。だから、まずは興行を成功させるように…………頑張りなさい」


 ヴィクトリアさんの表情からは……儚げな美少女感が消失していきました。そして……最近見たことのある表情へと変化していきます。私、この顔知ってますよ。実践練習でスケルトンさん達にブチ切れていた時の顔です。




「じゃかしーんじゃぁボケぇ! 黙って買うたらええねん! このクソオヤジがぁ!」


 区長執務室で大暴れのヴィクトリアさん。パパはただ……ヴィクトリアさんに殴られる事しか出来ませんでした。




「デビュー戦は……見に行くぞ。楽しみにしてるからな」


 暴れ尽くし、区長執務室を去るヴィクトリアさんに……床にダウン中のパパはそう声をかけるのでした。


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