61話 「ターリアスペシャル」
惨劇の舞台、墓地を後にしたスカイハイの一団。次の目的地は……スライムさんの生息地でした。
「まあ、わかると思うが……ここでの対戦相手はスライム師匠だ」
対戦相手を発表する山田さん。まあ、みんな予想が着いていたと思いますけどね。
さて、ここまでの実践練習で魔物との対戦がないのは……カルラさんとターリアさんですね。ターリアさんは、自分が指名されるのではないかと……憂わしげな顔を見せています。カルラさんは余裕そうですね。
「山田……待っていたスラよ。その後ろの面々が……わしの後輩スラね?」
あ、スライムさんが出てきました。スライムさんは山田さんと挨拶しています。もはや魔物が喋ることには驚かない新人さん達。しかし、自身が後輩と言われることには……なんとも納得しがたい顔になっています。
「ああ、この世界において……プロレスラー二号はスライム師匠なんだ。みんな……ちゃんと敬うようにな」
そんな注意が新人さん達にされました。もちろん、そこにはルカさんも含まれています。しかしルカさんを除いた四名は、その説明を飲み込めませんでした。四名の新人さん達は頭にクエスチョンマークを浮かべています。そもそも……そんな理屈を飲み込めという方が無茶なんですから、気にしなくていいですよ。
「じゃあ、師匠と戦うのは…………ターリア、君に決めた!」
スライムさんとの実践練習には、ターリアさんが指名されました。不安そうに前へと歩を進めるターリアさん。さあ、試合開始です。
「垂直落下式ブレーンバスターで……死んじゃってくださーーーい!」
垂直に地面に叩きつけられバウンドするスライムさん。当然、無傷です。
「垂直落下式DDTで……潰れちゃってくださーーーい!」
垂直に地面に叩きつけられバウンドするスライムさん。今回も無傷です。
「垂直落下式バックドロップで……爆散しちゃってくださーーーい!」
垂直に地面に叩きつけられバウンドするスライムさん。重ねて無傷です。
「頭から落とすだけがプロレスじゃないスラ」
学習能力のないターリアさんにプロレスを教えてくれる優しいスライムさん。それにしても……ターリアさんは垂直落下式が好き過ぎますね。やはり、良くも悪くも……ガチなタイプのレスラーなんでしょう。
「次はこっちの番スラ! 体当たりを喰らうスラ!」
ぽよんっ
スライムさんはターリアさんの上半身……胸部へと体当たりをぶちかましました。すると、柔らかな音と共に跳ね返されます。そしてターリアさんのおっぱいは、その衝撃に……ぷるんぷるんしていました。
「ん……こ、これは!」
山田さんは……その動きに目が奪われています。これだから男ってヤツは……。ルカさんは山田さんに殺意を向け、カルラさんとヴィクトリアさんはターリアさんのおっぱいに羨望を向けていました。
「わしと同じような肉の塊に弾き返されてしまったスラ……。ならば、次は……呼吸を封じるスラ!」
ターリアさんの顔面に飛びかかるスライムさん。そして彼女の頭部をすっぽりと覆ってしまいました。これは……山田さんが死にかけた技ですね。
「ん……苦しいっ…………息が…………出来ないっ」
もがくターリアさん。顔面のスライムさんを必死に引き剥がしていますが……なかなか取れません。呼吸が封じられた苦しさに悶え苦しんでいます。
「ふむ。こういう需要も……あるかもしれんな」
山田さんの呟きでした。
「師匠を倒すなら……ベア・ハッグがいいぞ。ベア・ハッグと言うのはだな…………」
山田さんがターリアさんに、ベア・ハッグの動作を口頭で教えています。そして、ある程度教え終わると……スライム師匠に目配せするのでした。
「オーケースラ!」
するとスライムさんは、ターリアさんの胸元に飛び込みました。それにしても……なんだか嬉しそうに飛び込んでいったように見えますね。
「それで……後は締めるだけだ。ターリアスペシャルと名付けてもいいぞ。その場合は小指の角度を変えておいてね」
ターリアさんは指示通り、スライムを自慢の胸部で締め上げました。胸の谷間でスライムさんは……双丘どころか双山に挟まれ、締められています。もう、何と言いますか……全てがぷるんぷるんとしています。
「わしの人生に……喰いなし!」
ぷちっ
決して人間ではないスライム師匠……にも関わらず人生を終えました。ターリアさんの胸部は……粘液まみれです。こういう需要は間違いなく存在していますね。
「ふむ……何か…………新しい可能性を感じる」
山田さんはターリアさんを見ながら……そんな事を言うのでした。
こうして実践練習の三戦目も終了しました。残りはカルラさんだけですね。彼女は何の魔物と戦うんでしょうか。今のところ、山田さんと交友があって出番がないのはフライング・ヘッドさんと……デュラハンさんでしたね。
うーん……流石にデビュー前だというのに、デュラハンさんと対戦するのは無謀に思えますが……はたして、どうなるのでしょう。




