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1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
新人育成編

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55話 「これが本当のフライング・ヘッド・バット」


 山田さんが先行し、ルカさんが追いかける。その速度のまま……二人は墓地の奥へと侵入しました。


 そして、しばらく駆け抜けると……周囲の雰囲気が変わりました。スカイハイの面々が練習場所にしていた場所を庶民用墓地というなら、こちらは……高級霊園か貴族用の墓地でしょうか。地面を見れば、土よりも石畳の方が広く敷かれています。


 更には、墓石の一つ一つが大きいだけでなく……石棺までもが無数に設置されていました。そして慰霊碑のようなものもあれば、小さな霊廟までもが存在しているのです。そんな厳かな空間。そこに……頭部が浮遊していました。あれがフライング・ヘッドです。




「ケケケケケ……生ケル者ハ…………死ネ!」





 そう言うと……フライング・ヘッドは高速で、山田さん達に向かって飛翔してきました。




「危険が危ないっ!」




 山田さんはルカさんを抱き寄せると……その空いた空間をフライング・ヘッドがものすごい速度で通り抜けていきます。あれが直撃したら……たまったものではありません。


 高速で後方に飛び抜けていったフライング・ヘッドを横目に、山田さんは赤面するルカさんを突き放しました。




「アタシは……危険が危ない関係になってあげても…………全然構わないわよ」




 そんなルカさんを無視すると、フライング・ヘッドを視線で追う山田さん。すると魔物は墓石の裏に隠れてしまうのでした。


 この場所での戦闘は……かなり不利でしょう。墓石だけではなく、ここには霊廟や慰霊の碑など……死角になる場所が多く存在しています。山田さんも一度見失ってからは……フライング・ヘッドを再発見できていません。


 周囲を見回す山田さん。正気を取り戻したルカさんは、その背後を守るようにしています。そして両者、背中を合わせたまま……警戒を続けました。




 すると……山田さんの前方にフライング・ヘッドが現れました。


「こっちだ!」


「こっちよ!」


 背中側のルカさんに呼びかけをした山田さん。それと同時に……山田さんに呼びかけをしたルカさん。


 


 このことが意味すること……フライング・ヘッドは…………二体いたのです。




 二体のフライング・ヘッドに挟まれた山田さんとルカさん。どうやら、互いに前方の魔物を相手とすることにしたようですね。背中合わせの状態から、背中を離していくと……山田さん、ルカさんは互いの相手と対峙しました。


「ケケケケケ……」


 山田さんの前方のフライング・ヘッドは不気味な笑い声を発しています。その隙に間合いを詰める山田さん。じわじわとにじり寄っていった……その時です。フライング・ヘッドは高速で飛んできました。


 


 ガツーン!




 山田さんは……その衝撃を頭部に受けてしまいました。フライング・ヘッドは山田さんの頭部に衝突したのです。凄まじい衝撃を頭部に受け……山田さんは大地に倒れていきます。




「これが……本当のフライング・ヘッド・バットってヤツなんだろうな」




 仰向けのまま呟く山田さん。するとフライング・ヘッドは……まるで小鳥のように、山田さんの頭部に止まりました。そして…………




「痛てててて……噛むな、噛むな! やめろ、ファイブカウント以上噛むな! 反則だぞ!」




 フライング・ヘッドは山田さんの額を噛み始めたのです。額から流血する山田さん。思わずプロレスのルールを持ち出して、相手を何とかしようとしています。




「ワンツースリーフォ……」




 山田さんはカウントを数え始めました。その数がファイブを刻む寸前……フライング・ヘッドは噛むのをやめると、飛翔して離れていきました。


「ケケケ……反則負ケハ面白クナイ。モット人間ヲ虐メタイ……ケケケ」




 フライング・ヘッドの笑い声が辺りに響く中……山田さんはゆっくりと起き上がりました。そして呟きます。


「油断して、いいフライング・ヘッド・バットを貰っちまったが……大丈夫だ。それに……アイツの攻略法も見えてきたぞ」


 これは……きっと私宛ての発言ですね。私はそれに反応します。


【攻略法って……何をするつもりですか?】


「ヤツの攻撃方法は……高速で飛んでくることと噛むことだけだ。それはヤツの姿形からして間違いない」


【まあ、目からビームでも打たない限りは……そうでしょうね】


 山田さんはファイティングポーズを取り、フライング・ヘッドを警戒しながらも……私との会話を続けます。




「ならば、俺は……ヤツの高速飛行に……カウンターでラリアットをぶち込んでやればいい! それだけだ!」


 


 そう言うと、山田さんは右上腕二頭筋を左手でさすり……カウンター狙いに勝負を賭けるのでした。


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