53話 「キャッキャウフフしますか?」
本日の練習は終了でしょうか。団体員の皆さんは、山田さんの前に整列しています。
「はーい、今日はお疲れ様ー」
山田さんは皆の前、軽い感じで合同練習の終了を告げました。厳しい練習が終わったのに安堵している新人勢。特にヴィクトリアさんからは疲労困憊した様子が見て取れます。山田さんが言い終わると同時に、真っ先に腰を下ろしてしまいました。
「じゃあ明日からは、俺はお前たちを養うためにもスライムを狩りにいくから……スケさん達とルカの言う事を聞いて練習に励んでくれ」
明日以降の自身の不在を告げる山田さん。まあ、その為にも今日は一緒に練習して……新人さんに色々と教示していたんでしょうね。
しかし……この発言を捻じ曲げて理解する人間がいます。しかも……増えました。まずはルカさんから行きましょう。
「そんな……養うだなんて……私は共働きでもいいって……前に言ったよね……?」
そして次は、何とターリアさん。こういう属性持ちが増えるのは……私が疲れるのでご容赦願います
「養うとかは……結婚してから……というか……その……イザとなったら……私が……養ってあげますから」
「はい、それじゃ帰るよー。家に帰るまでがプロレスだからな……皆さん、ご安全に」
もう慣れたもので、ルカさんとターリアさんは放っておいて……一行は帰途につきます。
***
スカイハイ一同は練習で流した汗や、墓地の土などを落とすためにお風呂に向かいました。山田さんが全員分の料金を支払うと、各自……男女に分かれて入浴です。
「え! それだけ大きいと浮くの!?」
ルカさんの声が男風呂にまで響いて聞こえてきました。山田さんとサルヴァトーレさん、まだまだ平気な様子です。
「触っていい!? いいじゃない……減るもんじゃないし!!」
男どもは興味が出てきたのか……耳を傾け始めました。
「ちょ……何これ!? すっごい柔らかい!!」
「そんなとこ……触らないでください。やめてくださーーーーーい」
ルカさんにターリアさんの乳が揉まれているであろう瞬間。二名の男は全神経を聴覚に集中させています。
「我も…………冥土の土産に…………揉みたい…………あわよくば…………縛りたい」
もう一名、ターリアさんを襲う者が現れたようです。野郎共は今……透視能力に目覚めることを切に願っていました。
そんなキャッキャウフフが収まると、サルヴァトーレさんが山田さんのところに寄ってきます。そして……
「どうします? こっちも…………キャッキャウフフしますか?」
そんな、誰得な提案をするのでした。しかし、その提案を受けとるのは山田さん。想像の斜め下を行く人です。
「いいんだね? やっちゃって」
山田さんはそう言って……了承してしまうのでした。そこからは地獄です。
「山田さんのすげーデカいぜ! こんなの見せられたら……ヒリついちまうぜ!」
「サルヴァトーレこそ……見た目は大きくはないが、よく締まっていて硬さはなかなかのものだな」
と、お互いを褒め合うのでした。もちろん……筋肉のことですよ。
なお、イクセントラさんとヴィクトリアさんは……そういうのも好物みたいです。
「デカいとは…………ナニが…………デカイのか?」
「え? 硬いって……」
二名の女性はお風呂以外の要因で……顔を赤く染めるのでした。
***
お風呂の後は、いつもの食事処です。ルカさんの時と同様に……新人さんの眼前にはにわとりマンステーキ三枚が並べられています。そして食事が始まりました。
せっかくのお風呂の後だというのに……脂汗を流しながらステーキを貪り食う皆さん。それを見ながらガーリックパンを食べている山田さん。ルカさんは、まだ体が完成しているわけではないとの事で……ステーキ二枚に挑まさせられています。ちょっとだけ緩和されましたね。
なお、イクセントラさんは野菜サラダだけを頬張っていました。
しばらくして……ノックアウト気味のカルラ・ターリア・サルヴァトーレさん。彼らは三枚を食べきることが出来ず……胃の膨満感に苦しんでいます。それを横目に……エールを水のように飲み干すヴィクトリアさん。
「あらしの酒がぁ飲めねぇーてーわけー? あん? だらしねーなぁ……筋肉ダルマぁ」
顔を赤くし、呂律が回らっていないヴィクトリアさん。どうやら絡み酒ですね。山田さんにエールを強制的に飲ませています。更には……ノックアウト状態の同期の頭をペチペチ叩いて遊んでました。
しかし、同期は怒れません。ノックアウトしているからだけでなく、食べきれなかったステーキを全部……彼女に食べてもらったからでしょう。怒るどころか……頭が上がらないですね。
なお……ルカさんはずっと他人のフリをして、難を逃れようとしていました。
こうして……ヴィクトリアさんのもたらした狂宴は続くのでした。




