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1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
新人育成編

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52/110

52話 「硬度 10 よ!」


「まずはストレッチからだ。血流を良くすることで筋肉の柔軟性を高めたり、関節の可動域が広くなったりと……怪我を防止できる効果が期待できるぞ。だから……絶対にサボらずに行ってくれ」


 山田さんはルカさんに実演させながら、新人さん達にストレッチについて丁寧に説明しました。こうやって理由を説明するのはいいですね。新人さん達も漠然とストレッチをするのではなく、意味を理解することで……入念に筋肉をほぐしています。




「そうそう、それで首を左右に……斜めに動かすの」


 ルカさんも、お手本を示し終わると……新人さんの練習を補佐する側に回りました。今はサルヴァトーレさんの首に……より負荷をかける為、体重をかけていますね。


「ルカ、ちょっと来てくれ……どう思う?」


 山田さんがルカさんを呼びました。ルカさんは練習の介助をやめると、山田さんに近づき……聞き返します。


「どう思うって……何がよ?」


 その反応を受け、山田さんは真顔のまま……カルラさんを指さしました。どうやら、彼女のストレッチに関して……ルカさんに意見を求めていますね。


「そうね、最初にしては股割りもスムーズだし……柔軟性はある方じゃない?」


「いや…………硬すぎるな」


 山田さんはルカさんの意見と正反対の見解を表明しました。ルカさんは山田さんに怪訝な目つきを送ります。自分の見立てと真逆だったからでしょうね。山田さんは真剣な表情のまま……続けます。


「…………胸が」




 ドカッ!


 カルラさんの断崖、ド鉄板な胸部を揶揄する悪ふざけ。ルカさんは山田さんの顔面にパンチを叩き込むのでした。ありがたいですね。ルカさんのおかげで……山田さんの面倒な発言に、私がツッコまなくてもよくなりました。


「ルカのも…………割と硬い」


 山田さんは前のめりに倒れながら……そう呟きました。その呟きは風に乗り……ルカさんの耳に届きます。激高するルカさん。倒れゆく山田さんの側頭部に見事なハイキックを叩き込むのでした。




 バコッ!




「そんなこと言ったら……イクセントラなんて硬度 10 よ!」 


 ルカさんの怒りを込めた一言は、またも風に乗り……イクセントラさんの耳に届きます。無表情のイクセントラさん。


「勝手に我を巻き込んでおいて…………さらにダイヤモンドパワー呼ばわりとは…………訴訟も辞さない」


 彼女は……そう、宣告するのでした。




 次はランニングですね。ルカさんが先導する形で、新人さん達が後に続きました。そうして何周も墓場付近を周回するのですが……次第にターリアさんが遅れていきます。まあ、あの巨大な胸部ですから……仕方ありませんね。


 スケルトンさん達の声援を受けながら……ランニングが終わりそうです。ルカさん、カルラさん、ヴィクトリアさん、サルヴァトーレさん……大いに遅れてターリアさんの順でゴールしました。ターリアさん、もう立っていられなくて地面に大の字になっています。しかも……息絶え絶えですね。




「我にも…………あれが…………欲しい」


 その荒い呼吸に双丘が揺れているのを、羨望の眼差しでみつめるイクセントラさん。見なかったことにしておきます。


「ワテにも…………あれが…………欲しい」


 更には、スケルトンさん達も羨望の眼差しなんですが……どうやら、こっちは単純にお肉が欲しいって感じでしょう。要は……ないものねだりです。




 次はブリッジと受け身ですね。これは皆、差はあれど許容範囲ですね。山田さん……ルカさん、共に及第点を出していました。


 そしてロープワークの練習は出来ないので……スパーリングに入ります。




 ルカさんの初練習時は山田さんが相手をしてたんですが……今回は偶数名の新人さんの加入です。スパーリングはカルラさんとサルヴァトーレさん。そしてターリアさんとヴィクトリアの組み合わせで行う事になりました。




「喰らうのです!」


 カルラさんは攻撃の手を緩めません。打撃・投げ・パワー・極め・飛び・その他……各種の技を駆使してサルヴァトーレさんを攻め立てています。


 しかし、サルヴァトーレさんは攻撃を受け続けながらも……要所要所、関節を取って反撃しています。


「この圧倒的な劣勢……ヒリつくぜ」


 そして、終了まで数秒を残した時。カルラさんの不用意な投げ技を、サルヴァトーレさんが切り返すと……そのまま腕を極めにかかったところで……残念ですが終了を迎えました。




 そして山田さんとルカさんによる、スパーリングの講評が始まります。


「そうだな……八割カルラ、二割サルヴァトーレって感じかな。ただ、最後の脇固め! あのフジワラ・アームバーは見事だったぞ!」


 興奮しながら讃える山田さん。あ、脇固めとフジワラ・アームバーは同じ技を意味します。簡単に言うと……テコの原理で相手の肘を極めてしまう、なんともエゲつない技のことですね。続けて……ルカさんが口を開きます。


「カルラの万能感が素晴らしいわね。センスがあるって言うのかしら。でも……攻め一辺倒で受けが甘く見えるわ。まだまだね」


 こちらはカルラさんを褒めていますが、良くない点も指摘していますね。それを聞いたカルラさん……悔しそうです。




 次はターリアさんとヴィクトリアさんですね。スパーリング開始です。




「ターリアのパワーボムを喰らいなさーい」


 ターリアさんはヴィクトリアさんを高々と掲げると、勢いよく地面に叩きつけました。その後も……おっとりした声とは真逆の怪力っぷりで、ヴィクトリアさんを追い詰めます。


「私の技も……どこかに当たって、お願い!」


 ヴィクトリアさんは神頼みでドロップキックを放ちました。しかし、それは……不発に終わっています。その後もヴィクトリアさんは基本技中心で反撃を試みますが……どうにも効果的な技を決めることが出来ません。そしてスパーリングは終了しました。




「うーん……俺もパワーレスラーだから人の事は言えんが、細かい部分の荒さが課題だな」


 山田さんのターリアさんへの講評です。山田さんにしては真っ当な事を言いました。


「ヴィクトリアの方は……まだまだ、これからだな。でも……練習次第で何にでもなれるから、頑張ろう」


 次はヴィクトリアさん。まあ、褒めどころが見つからなかったから……濁した講評ですね、これは。


「でも、あんな高角度のパワーボムを喰らっても……ずっと動き続けたのは偉いと思うわ」


 山田さんの講評とは大違いで、ルカさんの講評はしっかりしています。ちゃんと褒める場所を見つけていました。ヴィクトリアさんも……それを聞いて嬉しそうですね。




 これで今日の練習メニューは終了でしょうか。しかし、選手が四名も増えたことで個性も豊かになりましたね。どうか、彼らが無事デビューまで進めるよう……プロレスの神様にお祈りしておきましょう。



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