表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1+1は200の奇跡!異世界レスラー山田、プロレス愛で団体設立。10倍だぞ、10倍!  作者: マスクドぷるこぎ
団体創成編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

43/111

43話 「師匠のことは……忘れてませんよ…………はい、覚えてますとも…………」


 リングシューズの紐を硬く締める山田さん。準備万端ですね。そんな時です……来客がありました。その方は帽子を深く被り、全身をコートに覆ったまま……控室に入ってきます。いかにも怪しい風貌ですね。


【この人……お知り合いですか?】


 私の質問に首を振って答える山田さん。じゃあ……ルカさんかイクセントラさんの知り合いでしょうか。山田さんは二人にも、それを尋ねるのですが……二人ともが知らないと返します。そこで……来客は帽子とコートを脱ぐのでした。




 すると、そこには……人間の形状をした液体がいました。それを見て驚愕する三人。その驚きを受けてでしょう、人の形をした液体は……その姿を変化させました。




 その姿こそ……私達のよく知るスライムだったのです。




「わしだスラ」




 発声器官が何処なのか知りませんが……スライムは語り始めました。


「わしの好敵手である山田が団体を設立すると聞いて、居ても立っても居られなく……来てしまったスラ」


 スライム師匠の意外な訪問を受け、山田さんとルカさんが反応します。


「師匠! よく来てくれましたね!」


「師匠のことは……忘れてませんよ…………はい、覚えてますとも…………」


 感動して涙を浮かべる山田さん。明らかにスライム師匠を覚えていないルカさん。それとは対照的にイクセントラさんは無反応です。いや、何か……言おうとしてますね。


「スライムを…………師匠と呼ぶのは構わない」


 そこを即座に納得できるのは、流石は変人といったところでしょう。イクセントラさんは続けます。


「しかし何故…………スライムが街の中に入ってこれた?」


 治安に関わる、至極当然かつ重要な疑問が投げかけられました。さて、スライムさんの返答は……


「その為に変身して、変装したスラ。案外、人の形をしてさえいれば……服次第でバレないものスラ」


 割とザルだったセパラドスの治安維持。その気になれば……魔物が平然と街中に入り込めることが判明しました。とは言え……大量に魔物が入り込んでくることはないでしょう。流石に人間だって気付くはずです。


「それで、今日は他にも友達の魔物も連れてきたスラ」


 スライムさんは控室の外の集団を呼びました。そして入ってくる人の形をした何か達。


 各自、身を隠すための服を脱ぎ捨てると……にわとりマンさん、スケルトンさん達、そしてデュラハンさんもいるではありませんか。いったい、この世界の治安はどうなっているのでしょう。




「コケー! 山田の応援に来たコケー!」


「ワテら、あれから必死にプロレスの練習をしているスケ……今日は参考に見に来たスケ」


 必死にという言葉を用いるスケルトンさん。彼らにとっては……必死な状態こそが通常営業なんじゃないでしょうか。




「スカイハイという団体…………面白い」


 続いて、デュラハンさん。自身の首を体に乗せただけで、悠々と街中へ侵入してきたようです。


「お前も来てくれたのか……首、落とさないよう気をつけてくれよ」


 山田さんはデュラハンさんの来訪を喜ぶと同時に、注意を喚起しました。流石に首が取れたらバレてしまいますからね。大騒動になってしまいます。


「この首は、簡単に落ちないよう……ご飯粒でくっつけてきたから安心するといい」


 まったく安心できない返答。しかし、そんな事を山田さんは気にしていません。久しぶりの再会に、他の魔物も含めて輪になって喜んでいます。




 そんな歓喜の輪を見つめるルカさんとイクセントラさん。目を疑うような光景に……放心状態になっています。




「それじゃあ、わしらは会場で見させてもらうスラ。楽しみにしてるスラ」


 そう言うと、スライムさんは再びコートで全身を覆い……他の魔物も連れて控室を後にしました。急に団体客がいなくなってしまった控室は、少し寂しそうにも見えますね。




 そんな時です……ルカさんが急に笑い出しました。爆笑というくらいの大きな笑い声です。

 

「アハハハハハハッ!」


 急に笑い出したルカさんを見る山田さん。イクセントラさんは、ルカさんが正気を失ったのかと訝しんだ視線を向けています。


「だって……おかしいじゃない。魔物がプロレスを見に来てて……しかも、その魔物と輪になって喜びあったりとか……。これを笑わなくて、何で笑うのよ!」


 発した言葉は、いまだに笑いで震えていました。そうですね、言う通りです。あのような光景を見たなら……笑わないと損でしょう。遂にはイクセントラさんも吹き出すように笑いを発しました。そして二人は……笑い続けるのです。




「あー。面白かった。笑いすぎて……さっきまでの緊張がどっか行っちゃったわ」


 ルカさんの言葉に頷くイクセントラさん。良かったですね。先程までガチガチだった二人が、今では笑顔です。それもこれも……山田さんの魔物すら集める人望のおかげですね。




 二人の緊張がほぐれ、笑い声を挙げていた時。山田さんは一人……何かを熟考しているようでした。


【何か考えているんです?】


 その様子を疑問に思い、私は尋ねました。


「いや……師匠とかにわとりマンとかが変身して街に入ってきただろ? ってことは……魔物でもプロレスラーとしてリングに立てるんじゃないか?」


【街の人に受け入れられるかはわかりませんけど……可能性はゼロではないでしょうね】


「プロレスの表現の可能性を増すためにも、魔物の優れた身体能力を活用出来れば……素晴らしいな!」


【もう一度言いますが、人々に受け入れられるかが……大問題ですね】


「ならば……今日の興行は絶対に失敗するわけにはいかないな! 魔物プロレスに可能性を感じた以上……その前段階としてプロレスが受け入れられなければならない。そうすることで、次は魔物が受け入れられる下地になるんだ」


 今日の興行への覚悟を決めた山田さん。すごいですね……今日が旗揚げだというのに、もう次の事まで考えているなんて。




 そして、遂に……絶対に失敗できない旗揚げ戦が始まるのでした。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ