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冴えないプロレスラーの俺がツッコミの女神に転移させられたのは娯楽のない世界だったので、プロレス団体を設立して人々に娯楽と笑いを届けよう  作者: マスクドぷるこぎ
団体創成編

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36話 「それは…………縛るため」


 いくら半鐘がうるさかったとはいえ、音を立てることもなくぬるりと現れた女性。


「我が…………イクセントラ」


 彼女はそう名乗りました。その後、ちょっとした沈黙の時間が続くと……その沈黙を破ったのは山田さん。


「本日はお忙しい中、お時間を頂きありがとうございます。心ばかりの品ですがお納めください。お口に合えば幸いです」


 懇切丁寧に挨拶を述べると、山田さんは深々と頭を下げました。そして菓子折りを渡します。常識外れのようにみえて、こういうとこ……なんだかしっかりしてるんですよね。


「あ…………どうも…………」


 口下手なんでしょうか、何度も口ごもりながら菓子折りを受け取ったイクセントラさん。ここで少し彼女を観察してみましょうか。えっと……髪の毛は黒のウルフカットですね。あまり外出しないんでしょうか、手入れはされていません。


 容姿は磨けば光る逸材といった感じ。手入れ次第では化けるでしょう。逆に言えば……今は手入れ不足です。ほら、肌も荒れてますよね。体格は小柄です。よって……胸部もかなり控えめかな。


 服装も……おしゃれとはかけ離れたガードルを腰付近で締めてるだけですね。




「ところで伺いたいんですが、この鐘が爆音になってるいるのは…………」


 山田さんは、まだまだ丁寧な態度でイクセントラさんに質問を投げかけました。イクセントラさんは億劫そうに汚いソファーに腰掛けます。そして山田さんとルカさんにも、向かいのソファーを勧めました。二人は汚いソファーに腰をおろします。


「それは…………にわとりマンの声の魔力が…………鐘に封印されているから」


 言葉の間が長いイクセントラさん。最後まで喋り終えると、なんだか興奮している様子の山田さんが口を挟みます。




「ということは、これを利用したら……ゴングが作れるんじゃないのか!?」




 大きな声になる山田さん。イクセントラさんは少しビビっちゃってます。


「ゴングというのが…………何かわからない」


 そりゃそうでしょう。ルカさんにロープが伝わらなかったのと同じです。イクセントラさんはゴングという謎の言葉に困惑を隠せません。


「これは失礼、ゴングというのは、この鐘よりは薄い金属製で……より透き通った金属音を響かせる道具の事です」


 山田さんがゴングについて説明を行いました。それを聞いて、イクセントラさんの困惑も解消されたようです。


「にわとりマンの魔石なら…………入手が楽だから…………作るのは簡単」


 そう発言したイクセントラさん。それを聞いて、笑顔を見せる山田さん。どうやら問題が一つ解決したみたいですね。




 本来より大きな音が鳴らせるゴングが作れることで上機嫌な山田さん。しばらくはイクセントラさんと歓談して親交を深めます。そして……そろそろ本題に入るようですね。




「それで……イクセントラがロープを持っていると聞いたんだが…………」


 いつの間にか、呼び捨てでイクセントラさんを呼ぶ山田さん。彼女は、先程からずっと無表情だったのですが……それが

変化しないということは、呼び捨てを不快に思っていないようですね。


「それなら…………もうある」


 そう言うとイクセントラさんは部屋を離れました。しばらくして戻ってくると……何本かのロープを、引きずって持ってきたのです。


「おお、凄いな。これ……触っていい?」


「別に…………構わない」




 了承を得た山田さんはロープに触れてみました。表面の感覚を確かめたり、引っ張って丈夫さを検証したりしています。


「素晴らしい……。弾力性といい、耐久性といい……俺の望むロープに対して、これが満点の解答だ」


 ロープを手で弄り回しながら、山田さんは言いました。そして続けます。


「イクセントラは……こんな見事なロープを、どうして作ろうと思ったんだ?」


 自分が思った以上のロープを目の当たりにしたからでしょう。このロープが生まれるに至った経緯を尋ねた山田さん。イクセントラさんが返答に口を開きます。




「それは…………縛るため。主に女体を美しく縛るのが…………目的。柔肌を傷つけないように弾力をもたせ…………どれほどの激しいプレイにも耐える…………耐久性にも工夫を凝らした」




 山田さんの顔が硬直しています。思考も停止しているでしょう。そんな山田さんに……ルカさんが口を開きました。


「だから言ったでしょ……こういう物を作っているからド変態なのよ」


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