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冴えないプロレスラーの俺がツッコミの女神に転移させられたのは娯楽のない世界だったので、プロレス団体を設立して人々に娯楽と笑いを届けよう  作者: マスクドぷるこぎ
団体創成編

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32話 「俺は嘘つきじゃ。だがな……嘘つきで何が悪い」


 すったもんだがありまして、山田さんの団体の所属レスラーは二名になりました。


 山田さんとルカさんは冒険者ギルドで本日の討伐報酬を受け取ると、明日の集合時刻と場所を決めてから別れます。その後、山田さんは恒例のお風呂とご飯屋さんへ行き……本日も安宿に泊まるのでした。




 そして翌日になりました。刺殺魔とかかれたスウェットを着た山田さんは、昨日と同じ場所。つまりはスライムの生息地に足を運びます。そこに到着すると、ルカさんが待っていました。どうやら……ここが集合場所みたいですね。




「さて、これからルカにはプロレスラーとしての練習法を学んでもらうと思う」


 今後の方針を語る山田さん。今日のルカさんは……動きやすそうなスポーツウェアを纏っていますね。どうやら、山田さんが昨日のうちに伝えておいたんでしょう。


「もちろんっ! 望むところよ!! それで……何からすればいいわけ?」


 ルカさんは自信満々に答えました。やる気に満ちあふれています。さて……いつまで持つんでしょうね。


「そうだな、まず最初はストレッチとランニングだ。俺のやる動きを真似てみてくれ」


 そう言うと山田さんは地面に座り込みました。そして両手を頭の裏で組みます。そして両手の重量を利用しながら……首を右へ左へと斜めに倒しました。


「レスラーにとって首の筋肉は最重要だからな。しっかりと時間をかけてほぐすんだ」


 ルカさんも見様見真似、その動作を行いました。しかし、こうして見ると一目瞭然ですね。山田さんの可動域にくらべてルカさんのは狭く見えます。




 その後、山田さんは各種筋肉をほぐすべく……上半身から下半身へとストレッチを続けていきました。ストレッチを楽々と進めていく山田さんに比べると、ルカさんは体も硬く……痛そうな表情も見えますね。


「次はランニングだ。体を暖めるぞ」


 そう言うと、山田さんはゆっくりと走り出しました。遅れて続くルカさん。


「どうだ? 辛いか?」


 山田さんがルカさんに、そう尋ねました。


「平気よ…………これくらい…………なんてことないわ…………」


 全然、平気そうじゃない声を返したルカさん。比べれば、走りながらも余裕で話しかける山田さん。対照的ですね。


「辛くても、ストレッチとランニングは手を抜いてはいけないんだ。とにかくレスラーは怪我しないのが一番だからな」


 ルカさんは返答をしません。どうやら……その余力すら残っていないみたいですね。




 ようやくランニングが終わると、ルカさんは大の字に倒れました。呼吸は荒れ、肩で息をする有り様です。


「仕方ないな…………少し休んでから、筋トレに移るか」




***




 ルカさんは呼吸が落ち着くと、ついに立ち上がりました。その表情からは疲労が窺えますが……眼光は元気そうです。まだまだ、強い意思を示していました。


「じゃあ……筋トレを始めるか。まずは腕立て、腹筋、背筋、スクワットから行くぞ」


「それくらい楽勝よ! で、回数はどれくらいなの? アタシ、三十回は出来るわよ!!」


 威勢よく答えるルカさん。さあ……その威勢はいつまで保てるでしょうか。


「少なすぎ」


 ルカさんの出した数字を速攻で否定した山田さん。それに対してルカさんは反抗的ですね、何か言いたそうです。


「だったら百回でもやってやろーじゃないの!」


 先程の三倍以上の数字を提示したルカさん。しかし、それでも山田さんは不満そうです。そもそも山田さんは 1+1=200 が成立してしまう人ですから……何百倍の回数を出してくるんでしょうね。




「じゃあ……一時間ぶっ続けで」




「は? 嘘でしょ?」




「俺は嘘つきじゃ。だがな……嘘つきで何が悪い」




 山田さんの発言の意味がよくわからないルカさん。呆然としていました。そして……山田さんは語り始めます。


「ごめん。ちょっと言ってみたかっただけだ。でも、俺が若手の頃なんて……こんな感じだったんだけどな。だが最近は科学的トレーニングが発展してきて、バカみたいな回数の筋トレは淘汰されちまったんだ。だから、そうだな……五十回をワンセットで、それを十セットにしとくか」


 ルカさんの顔からはやる気が消失していきました。しかし、眼は死んでいません。なんとか耐えきったみたいです。


「最初だからな、どれだけ時間がかかってもいいぞ……その間、俺はスライムを狩って金を稼いでおく」


 山田さんが語り終えました。しかし、その内容に不満でもあるのでしょうか、今度はルカさんが山田さんに声をかけます。


「筋トレは……一緒にしないの?」


 ああ、なるほど。各種の筋トレ五百回に異論があるのかと思いましたが……どうやら山田さんが筋トレを共にしてくれないのが不満なんですね。


「俺の筋肉は既に完成してるからな。筋肉の維持だけならば、そこまでの回数は必要ない。それに……ルカの筋トレを何時間も監督してるなんて、暇だからな」


「なんか……冷たくない?」


 抗議の意味を込めた表情で山田さんを見つめたルカさん。それを受けてか……山田さんは語り始めます。


「だってさ、ルカの練習なんか見ててもつまんないし……」


 配慮、気配り、思いやり。そんな人間性を筋肉に捧げてしまった山田さんの返答がこれでした。


「スクワットでおっぱいが揺れるんなら……俺だって監督するんだけど……」


 デリカシーも筋肉に吸収されてたみたいですね、この人。




「ちょっとは揺れるわよ!」




 反論するのはそこではないでしょうに……。今は山田さんの人間性を責めるべき時です。


 とにかく……ルカさんは異議を唱えましたが、山田さんは聞く耳を持たず……まだ語ります。


「そういう事で……俺はこの団体の長だからな。団体員を食わせていく為にも……稼がなくてはいけないんだ!」


 そういう事がどういう事かはわかりませんが、山田さんは一応……筋が通った発言をしました。


「それなら、アタシも手伝うわよ! どうせフォークで刺すだけでしょ?」


 筋が通った硬い肉にはフォークを刺すのが一番です。筋が通った発言にもフォークを刺せば図星でしょう。山田さんはそれに返答します。


「それはダメだ。ルカの練習時間を奪うわけにはいかない! 安心しろ……ちゃんと養ってやるからな!」


 さらに筋を通してきた発言。ここまで筋だらけでは仕方ないでしょう。ルカさんも反論が出来ません。無言です。そして……なぜか顔を赤らめていました。そして……




「そんな……養うだなんて…………私は共働きだって構わないわよ」




 と、チョロイン発言をするのでした。



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