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冴えないプロレスラーの俺がツッコミの女神に転移させられたのは娯楽のない世界だったので、プロレス団体を設立して人々に娯楽と笑いを届けよう  作者: マスクドぷるこぎ
団体創成編

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28話 「お前となら年間ベストバウトも夢じゃないスラ」


「刺殺マンさん、今日の報酬……銅貨百三十二枚です。お収めください」




 しばらく俺はスライム退治に籠もった。何故かといえば……効率がいいからだ。いや、金銭効率だけをみれば他の魔物を倒したほうがいいのかもしれない。しかし、スライムを倒すのはなんというか……他より圧倒的に楽なのだ。


 スライムを見つけ、掴む。フォークを刺す。なんと、これで仕事が完了する。この手順に匹敵するほど楽なのは……きっと刺身の上にタンポポを置くことぐらいだろう。




 まあ、そんなわけで……俺は毎日のようにスライムの生息地に足を運んだ。


 とある日は……


「刺殺マンさん、今日の報酬……銅貨百二十八枚です。お収めください」


 またある日は……


「刺殺マンさん、今日の報酬……銅貨百三十四枚です。お収めください」


 このようにして、毎日のように討伐報酬を稼ぐと……団体設立費用として貯めていったのだ。




***




「ふぅ……今日も沢山のスライムを破裂させてやったな」


 俺は額の汗と粘液を拭う。フォークで刺すという新戦法のおかげで粘液の量は少ない。それは簡単に拭い取れた。今日の稼ぎも上々だろう。しかし……何か物足りなさを覚える。


「うーん」


 腕を組み、手を顎に当て……物足りなさの正体を考える俺。


【どうかしましたか?】


「何でだろうな……物足りない気がするんだ」


 考えても物足りなさの原因が思いつかない。なんだろう……こう、喉元まで来てるんだけどなぁ。


【物足りないですか……なら、海鮮丼を大盛りにすればいいんですよ】


「食い物の話ではない。まったく……すーさんは食い意地が張っているな」


 俺はすーさんに軽口を叩きながら考える。大盛りか……。今のフォークを刺すだけの運動量なら、大盛りにしなくても平気だ。下手したら太っちまう。そんなことになれば大変だ。俺のプロレスラーとしての筋肉美が汚れてしまうからな。

 

 ん……そうか、わかったぞ。物足りなさの原因が!




「今の俺には……プロレスラー成分が足りない」




【ちょっとよくわからないです。説明してもらえますか?】


 ふっ……すーさんも察しが悪いな。仕方ない、俺は説明してやることにする。


「いや、ここ最近はフォークでスライムを倒してただろ? 確かにその手法は楽なんだが、そんな闘い方を繰り返したせいで…………俺のレスラースタイルがブレてきてる気がするんだよな」


【うーん……ブレてきてるどころか、凶器攻撃を得意にしたヒールレスラーの方が向いて見えましたけどね】


 まあ……それは仕方がない。俺だって元の世界では、それなりにレスラー経験を積んできたからな。顔にペイントをして、ヒールを演じたことだってある。でも……やっぱり本質はベビーフェイスの正統派レスラーだと思うんだよ。


「というわけでだ……折角、スライムの狩り場にいることだし………」


【うわ……何かロクでもないことを言い出す予感がします】




「一日の最後くらい…………フォーク無しで、普通のプロレスをしようと思うんだ!」




 俺は決意をすーさんに告げた。


【まあ、いいんじゃないんですか。私が痛い思いするわけじゃないですし】


「大丈夫だ、もうスライム相手に……俺が痛い目に遭うこともないからな。安心して見ているがいい!」


 こうして、俺はスライムを探しに走り出した。




***




 アタシの名前はルカ。セパラドスで女冒険者をやっています。今日もスライムを倒して帰ろうとしたんだけど……変な光景を見てしまいました。その光景はというと……ヤバそうな男が、ヤバそうな筋肉をして、ヤバそうな半裸で…………スライムに襲いかかっていました。




 アタシは足を止めると……その様子を眺めたんです。


「さあ、スライム! プロレスをしようじゃないか!」


 筋肉男がスライムに、意味のわからないことを叫びました。プロレスって何よ?


「純潔を散らされていった仲間の無念! 今、晴らさせてもらうスラ!」


 スライムがそれに返事をしました。スライムって喋るんだ……。アタシも冒険者してたけど、流石に知らなかったわ。




 スライムと会話する筋肉男。そんな奇妙な光景に……アタシは釘付けになってしまいます。




「喰らえっ、必殺の…………山田チョップだ!」


 筋肉男は片腕をスライムに叩きつけると……何と連打しました。でもスライムには何のダメージもありません。当たり前よね。


「喰らうスラっ! これが……体当たりスラー!!」


 スライムの体当たりを喰らって、筋肉男は苦しそうにしています。でも……スライムの攻撃を喰らう冒険者なんて、久しぶりに見たわ。




「流石はスライム師匠だ……一進一退のプロレスムーブを理解しているな」


 筋肉男はスライムに師匠という敬称をつけ始めています。正気かしら? 頭……おかしいんじゃないの?


「山田も流石スラね。王道のプロレスを体現できているスラ。お前となら年間ベストバウトも夢じゃないスラ」


 スライムが筋肉男に語りました。ツッコミ所が多すぎて困っちゃう。とりあえず……年間ベストバウトって何よ!?




 筋肉男とスライムの戦いは、その後も続きました。アタシ……もう一生分のツッコミをした気がします。


「スライム師匠とのプロレスは……やっぱり楽しいな!」


 筋肉男がスライムに向けて言いました。なんだか、アタシも……楽しくなってきたかも。師匠……がんばれー!


「だが……そろそろ試合を決める時間だ! スライム師匠、この勝負……頂きます!」


 筋肉男のテンションが上がりました。そして筋肉男はスライムを掴み上げます。師匠……がんばってー!


「喰らえっ……必殺…………」


 そして筋肉男は掴み上げたスライムを木に投げつけました。師匠……耐えてー!


「ボディをスラムする……ボディスラムだ!」




 ぶちっ




 木のささくれだった表皮に激突すると……スライムは破裂しました。それを見てアタシ、最初は悲しかったわ。だって師匠を応援していたんだもん。


 でも……そのうちに笑いが止まらなくなったわ。だって、あの筋肉男……スライムを師匠とか呼んでおいて、挙げ句……その師匠を木に投げ捨ててるのよ。意味がわからないじゃない。




「師匠……! 俺……やりました! 相手の力を九引き出して十の力で勝つプロレス……体現できました!」




 右腕を高く掲げる筋肉男。アタシはそれを見て……………………興味を持ったわ。


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