表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
冴えないプロレスラーの俺がツッコミの女神に転移させられたのは娯楽のない世界だったので、プロレス団体を設立して人々に娯楽と笑いを届けよう  作者: マスクドぷるこぎ
団体創成編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/41

23話 「相手の力を 9 引き出して 10 の力で勝つ」




「面白い技ですね……」


 デュラハンは俺の目前まで迫ると右腕を振り上げた。そして体重を乗せながら……手のひらを俺の大胸筋に打ち込むと…………振り抜く!




 バシーン!




「これが山田チョップという技ですか。面白いです」


 俺の大胸筋に鋭い痛みが刻まれた。


 やるじゃないか、これほどの逆水平は……元の世界でもなかなか味わったことがない。


 俺は大胸筋だけでなく、魂までもが震えるのを感じた。こいつとの闘いは……面白い! 俺に対してプロレス勝負を挑んできやがるだなんてな。


 デュラハンは次に右脚を、俺の腹部に向けて振り上げ……下ろす。




 ドスッ!




「そして……これが山田キックですね」


 俺の腹部にヤツの右脚が深くめりこむ。鎧のせいもあるだろうが……とんでもない破壊力だ。俺も思わず片膝をついてしまった。


 ヤツはキック動作を終えると、俺から少し距離を取る。その隙に、は呼吸を落ち着かせると……立ち上がった。


 こいつ……逆水平チョップからキックを放ってきたが……ひょっとして俺の真似をしているのか?


【そんな感じがしますね、どうも山田さんの技に……興味津々なようです】


 なるほど。だからコイツは俺の技を受けると、それを模倣してやり返しているって訳か。そしてネタ切れだから距離を取ったと……つくづく面白いヤツだな、コイツ。


「もっと他に、プロレス技はないのだろうか?」


 単なる疑問か挑発か……デュラハンは俺に質問を飛ばしてきた。


 いいだろう。疑問があるならば、他の技を見せてやればいい。挑発ならば、他の技で叩き潰せばいい。どちらにせよ、俺のやるべきことは……次の技を繰り出すことだ!


 俺は次の技を考える。


 そうだな……あいつの鎧相手に打撃技はミスマッチだろう。だが、その鎧が弱点になるとしたら……どうだ? デュラハンの野郎は自重だけでなく鎧の重量も背負っているのだ。それならば…………!


 俺はヤツの左腕と腰に腕を巻き付けると、頭上高く持ち上げる。ヤツは抵抗しようと足をジタバタさせていた。




「あまり動くと……危険が危ないぞ」




 俺はヤツに囁く。すると抵抗が止まった。そして俺は腰を落とすようにして……ヤツの脳天を地面へ叩き落とす! 


 いや……ヤツの脳天は普通の位置にはないからな。実際には肩から首の付け根のラインを、地面へ叩き落とすって言うのが正解だろう。


「喰らえっ! ブレーンバスターを垂直落下する……垂直落下式ブレーンバスターだ!」




 ズドーン!




 ヤツの両肩が地面を貫く。辺りには轟音が響いた。そこに金属鎧の音がカチャリと混じる。耳障りだな。


 しかし……あれほどの衝撃音だ。ヤツも無事ではあるまい。俺は迅速に立ち上がると、デュラハンを見やった。そこには……脳天、いや肩天とでも言うのだろうか。上半身から地面に突き刺さっているヤツの姿が見える。


 なんと見事なダメージの受け方と表現力だ。魔物が羨ましくも思えてきた。奴等の身体能力や特性が発揮されれば……プロレスにも新境地が訪れるのかもしれない。そんな事を考えている間にも、デュラハンはジタバタと地面から抜け出そうともがいている。


 可哀想だから、俺はヤツの両脚を抱え込むと……抜いてやった。




「威力は……それほどでも……ありませんが……やはり……面白いです」


 フラフラと覚束ない足取りでデュラハンの頭部が口を開いた。コイツ、思ったより虚勢を張るタイプなんだな。武士は食わねど高楊枝とは言うが、この場合は騎士は食わねど…………何がいいだろう。


【宝くじでどうです?】


 ふむ……武士は食わねど高楊枝、騎士は食わねど宝くじか。いいじゃないか、韻が踏まれていてリズムを感じる。


 と、そんな事を考えていたら、俺はデュラハンに組み付かれていた。そして……抱えあげられる。


「垂直落下式ブレーンバスター、行きますよ」


 しまった! 本当にバカな事を考えていたせいか……ヤツの接近を許すだけでなく、大技をやり返されてしまうとは。俺は高々と担ぎ上げられてしまう。


 こうなっては観念するしかない。だが……俺はヤツとの違いを見せてやることにした。


 俺は脳天を下に抱え上げられている。しかし脚部は自由だ。ここがプロレスラーの真価を発揮する時だろう。


 俺は両の足先を天に向け……高く、高く伸ばした。すると、俺の体勢はキレイな一直線を描いている。ヤツは足を伸ばすことなく、ジタバタさせていたからな。どうだ、見ろ! これがプロレスラーの受け身ってヤツだ!




 ズドーン!




 俺は脳天から落ちるところを……首を丸めるようにして受け身を取る。そして背中全体を使って大地からの衝撃を受け止めた。どうだ……音は派手だが、ダメージは少ないだろ? これが受け身ってヤツだ! そして俺は身を起こす。


「なるほど……垂直落下式ブレーンバスターを受ける時は足を伸ばすのですね。面白い!」


 なんだ、コイツ。思った以上に学習能力高いな。ひょっとしてプロレスラー適正も高いんじゃないのか?


「ふふっ、気付いたようだな。だが……受け身の素晴らしさにも気付けるといいぞ」


 俺は他にも気づいてほしかった事を口に出した。


「なんと、そのような奥の深い防御法があるとは……プロレスとは、かくも面白いものなのですね」


 素直に感心するデュラハン。俺も共鳴する。


「その通り。相手の力を 9 引き出して 10 の力で勝つ。だから、プロレスは……面白いんだ!」





 試合続行だ。俺は再びデュラハンと組み合う。さあ、次は何の技を見せてやろうか。俺はそれを考えるのであった。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ