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冴えないプロレスラーの俺がツッコミの女神に転移させられたのは娯楽のない世界だったので、プロレス団体を設立して人々に娯楽と笑いを届けよう  作者: マスクドぷるこぎ
団体創成編

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21話 「指の角度が違う」


 会場問題、リング問題。解決するものもあればしないものもあったりで、俺のプロレス団体設立への道は半歩前進といったくらいだろう。しかし……まだまだ問題点は山ほどある。


「それでだ……まだ問題があるんだが」


【まだ、あるんですか?】


「いや、ある意味では最大の問題になるんだけど……わかる?」


 俺はすーさんに最大の問題について……逆質問してやった。


【うーん……お金ですか?】


 予想外の答えが返ってきた。言われてみれば、確かにそれも大問題だ。だがしかし……俺のだって大大大問題だ。俺は最大の問題の解答を告げる。




「あのね…………対戦相手が……いないんだ」




「ほら……ぶっちゃけ言うとさ、この世界のプロレスラーって俺とスライムしかいないんだよ」


【スライムをプロレスラー認定したとか……そういえば、ありましたね】


「流石に俺だって観客の前で粘液まみれになるのは避けたいだろ? それこそ……本当に誤解されてしまう」


【山田さんが美女だったら、まだ需要があるかもしれませんが……】


 うーん……俺が女装すれば…………なんとかなるか?


【なりません】




「まあ、女装とかは嘘だ。そんな事よりも俺には……この問題を解決できる腹案がある」


 俺は胸を張ると、自信満々に言い切った。


【して、その腹案とは?】


「実はだな……その案を実行に移すには、すーさんの力が欠かせないんだ。だから……力を貸してくれないか?」


 俺は自慢のキメ顔を輝かせつつ……すーさんに頼んだ。


【貸すかどうかは……聞いてから決めますね】


 すーさんは解答を保留した。俺はキメ顔をやめると、両の手のひらをスリスリし始め……正座の姿勢に変えた。


「頼むっ! 元の世界には俺のレスラー友達が沢山いたんだ。そいつらを殺して、こっちの世界に取り寄せてくれ!」


【そんな邪神みたいなことしたくないです】


 すーさんからは色の良い返事が返ってこない。俺は土下座へと姿勢を改めた。


「ついでに、レフェリーも殺してからのお取り寄せで…………一生のお願いっ!!」


【……ぐうの音もでないほどの畜生ですね。私もドン引きです】


 


 とりあえず……問題点は棚上げにすることにした。どの問題も、すぐに解決するものではないからな。それに俺は頭を使って考えるのは苦手だ。そんなことより体を動かしていた方がいい。


 そういった訳で、翌日から……俺は団体設立の資金を稼ぐため、狩り場へと足を運ぶようになった。




***




【色違いには気をつけてくださいね】


 今日の俺は金欠の文字を胸に、スライムの住処へと足を運んでいた。なぜ、スライムかっていうと……割と単調な作業で倒せるからだ。これがにわとりマンとかスケルトンだと、使う技の種類も多くなるからな。


 だが、同じ相手とばかりでは飽きてしまう。そういうわけで、しばらくは討伐対象をローテーションしていくのがいいだろう。


【頑張ってください】


 おうっ! 俺は片手を挙げる動作を返事代わりとし……スライムを探すため、そこら中を駆け回った。




「喰らえっ! ベアをハッグする俺の必殺技……ベアハッグだ!」


 こうしてスライムを見つけては己の胸で破裂させていく山田さん。周囲の冒険者さん達からは……抱きつき魔の再来だと囁かれています。


 そして冒険者ギルドで怒られながら報酬を得る山田さん。お風呂に向かい、ご飯を食べると……就寝を迎えます。




***




「喰らえっ! 山田をスペシャルする俺の必殺技……山田スペシャルだ!」


 これは昨日も見た光景。山田さんの胸で破裂するスライム。


【あれ……その技ってベアハッグですよね?】


「違う、これは……山田スペシャルだ!」


 断固として、その技はベアハッグではなく山田スペシャルだと言い張る山田さん。


【いやいや、一緒じゃないですか】


「ふふっ……まだまだだな、すーさん」


 得意げに言う山田さん。なんだかムカついてきました。


「いいか、山田スペシャルは……ベアハッグと比べて……………………指の角度が違う!」




 こうして……山田さんはスライムを狩り続けるのでした。


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