105話 「面倒だし、アウトでいいんじゃない?」
「さあ、にわとりマンが退場した後もバトルロイヤルは続いています。あちらでは……スケルトン一号が集中攻撃を浴びているぞ! スライムの体当たりで……一号の脛骨が折れています!」
ポキッ
「ワテの脛骨が折れたスケー」
「ケケケ……それなら上腕骨を頂くケケケ」
ポキッ
次はフライングヘッドさん……空中から急降下体当たりでスケルトンさんの上腕骨を折りました。
「ワテの上腕骨がー!」
〈ワッハッハッハッハ!〉
「この反応……面白い」
さあ、今度はデュラハンさんの番でしょうか。デュラハンさんはスケルトンさんの肋骨を一本引き抜くと、それをお客さんによく見えるように高く掲げてから……力強くへし折ります。
ポキッ
「ワテの肋骨がー!」
〈げらげらげらげら〉
「デュラハン様……観客の反応がいいスケ。もっと……折っちゃってくださいスケ」
お客さんにバレないように小さく……そう呟くスケルトンさん。
どうやらスケルトン一号さんは、骨が折れまくるというネタを武器に……会場を盛り上げる方針に打って出たようですね。それを受け、デュラハンさんは一本、また一本と肋骨を折っていくのでした。
「ワテの肋骨が……無くなってしまったスケー!」
〈ぎゃははははははは!〉
スケルトンさんの骨が折れていく渾身のネタに、会場は爆笑の渦です。まあ、こんなネタ……人間には不可能ですからね。まさに粉骨砕身。会場の盛り上がりに命を賭けています。スケルトンに命があるかは、知りませんが……。
「さあ、スケルトン一号。全魔物に骨を折られ続け……遂に頭蓋骨だけになってしまいました。どうですか、ルカさん?」
「骨の名前の勉強くらいにはなりますね」
「さあ、最後の頭蓋骨。それを掴むのは……デュラハンだ! デュラハンは右手にスケルトン一号の頭蓋骨を掴むと、大きく振りかぶり……場外に投げ捨てたー! これでスケルトン一号も脱落になります! これでデュラハンは二枚抜きですね。どうでしょう、ルカさん?」
「実力通りですね」
「さあ、ルカさんの塩反応は放っておくとして……これで残るは五名。次は誰が脱落してしまうのでしょうか!」
さて、リング上では……スライムさん、フライング・ヘッドさん、スケルトン二号さんとクモ男さんが……何やら相談しているみたいです。
「やはりデュラハンがヤバいスラ! アイツを何とかしなければいけないスラよ!」
「一号は無惨な姿にさせられてしまったスケ……」
「ここは合力せねば、デュラハンには勝つること能わず……クモ」
「ケケケ……それなら考えがあるケケケ」
どうやらフライング・ヘッドさん……何かデュラハンさん対策があるようですね。フライング・ヘッドさんはその作戦を他の魔物に伝えています。
「三人にはデュラハン相手に乱戦を演じてほしいケケケ。そうなった隙に、俺がデュラハンの頭部と入れ替わるケケケ。後は……ヤツの頭部を投げ捨てれば勝ちケケケ」
ああ、なるほど。そういう事ですか。フライング・ヘッドさんとデュラハンさんの頭部って似てますからね。乱戦の隙に入れ替わってしまおうと……そういう狙いみたいです。
「お、ここで……スライム、スケルトン二号、クモ男がデュラハンに飛びかかったぞ!」
〈行けー! やっちまえー!〉
「デュラハンの足元にはスライムが絡みつき、スケルトン二号とクモ男がデュラハンの上半身に組み付いた! デュラハン動きが取れない! 必死にもがいて……引き離そうとしているぞ! この動き……どう見ますか? 解説のルカさん」
「今更って感じですね」
さあ、リング上は大乱戦です。フライング・ヘッドさんの作戦はどうなっているのでしょう。どうやら、スケルトン二号さんが右腕に……クモ男さんが左腕に組み付いているので、肝心のデュラハンさんの頭部は乱戦の中……何処にあるのかわかりません。
デュラハンさん、やっと魔物達を引き剥がしました。これで自由の身ですね。そしてデュラハンさんは頭部を拾い上げます。しかし、その頭部……果たして自分の物でしょうか。
「まさか、私の頭部でないとは……面白い」
〈入れ替えトリックとはやるじゃねえか!〉
〈頭脳派プレイだな! フライング・ヘッド!〉
〈頭脳派というか、まんま頭じゃねえか!〉
「なんと自分の頭部を拾ったと思われたデュラハン! その頭部……実はフライング・ヘッドだあああ!」
「ケケケ……残念だったなケケケ」
〈おいおい、それじゃあ本物のデュラハンの頭部は何処行ったんだよ!?〉
「デュラハン様の頭部は……ワテが持っているスケ!」
まさかのスケルトン二号さん、あの乱戦の中……デュラハンさんの頭部を確保していました! それを高々と掲げています。これは一号さんの仇討ちでしょうか? 今度はスケルトン二号さん、大きく振りかぶると……デュラハンさんの頭部を
トップロープ越しに……場外へと投げ捨てました!
ボトッ
「これは……スライム・スケルトン二号・クモ男とフライング・ヘッドの連携プレーが決まったあああ! 優勝候補筆頭のデュラハン、まさかのここでの脱落だ!」
「なるほど、力が不足しているのを数で補うとは……面白い」
どうやらデュラハンさん、敗退を認めると……リングアウトするようですね。
「ケケケちょっと待てケケケ! 俺はリング内へ置いてけケケケ!」
デュラハンさん、入れ替わりで頭部を演じていたフライング・ヘッドさんを持ったまま……場外へ出てしまいました。
「おーっと、なんと入れ替わりの代償か……フライング・ヘッド! デュラハンの小脇に抱えられたまま、場外に出てしまいました! この場合……どうなるんでしょうか!? どうします、解説のルカさん?」
「面倒だし、アウトでいいんじゃない?」
「アウトおおおおお! ルカさんの裁定により……フライング・ヘッド、ここでの脱落となります!」
〈うおおおおおおおおお!〉
〈なんか、一気に試合が動いたぞ!〉
「なんという事でしょう。フライング・ヘッドの策で頭部を入れ替えた両者の脱落で……リング内の状況は大きく変化しました! 残るは三体です。どうですか、ルカさん。ここまでの展開は?」
「バカ試合よね」
遂に残りはスケルトン二号さん、スライムさん……そしてクモ男さんだけになってしまいました。
こうなると実力的には……クモ男さんが一枚上でしょうか。しかし勝負は下駄を履くまでわかりません。
さあ、この佳境を迎えた魔物バトルロイヤルの勝者は……いったい誰になるんでしょう。




