02 永遠の盟友
とは言え、まるっきり状況がわからないわけじゃない。
私が死んではいるのは確かだし、結果的にフェリクス様を街へ連れ出すことになったのも事実だ。
マルレーン以外の使用人さんたちに話を通せていないことを考えると、「邪悪な死者がフェリクス様を騙した」と思われてしまっても仕方が無いこと……かもしれない。
「お嬢様、誤解なんです。私はただ――」
「黙りなさい! その声で私を呼ぶことは許しません!」
凄まじい気迫のこもった声。
思わず説明を途切れさせてしまったけれど、これで確信した。
私の声を「その声」と呼ぶということは、やっぱりお嬢様は誤解しているんだ。
「私はエルカ。と言っても、信じてくださいませんか」
「無論。確かにその声とその身体は間違いなくエルカのものでしょうが……」
「邪悪な死者の魂が、私の身体を操っている可能性もあると」
「……その通り」
思った通りだ。お嬢様は「エルカ」を嫌っているわけではない。
あくまで私が「エルカ」を騙る邪悪な死者であると断定して、高圧的な態度を取っているだけ。
「エルカは私にとって永遠の盟友です。彼女の名を騙ることは、それだけで万死に値します」
「なんて……勿体無いお言葉です」
「……黙りなさい」
嬉しさが先走って、思わず呟いてしまったけれど、状況はあまりよろしくない。この分だと、ただ説得するだけじゃ聞き入れてくれなさそうだ。
私がエルカであるという、確実な証拠を見せる必要がある。
……あるいは。
「フェリクス様」
「却下だ」
「話くらい聞いてくださいよ……」
横目でアイコンタクトを送りつつ、協力を仰いでみたけれど、フェリクス様から帰って来たのはそんな言葉。
こんな状況なんだし助けてくれてもいいと思うけど……彼らしいと言えば彼らしい。
「黙りなさいと言ったはずです」
その声を受けて見てみれば、前方から近づく人影が見えた。
同時に広がる従者たちのどよめき。
「それ以上――私の友を冒涜するなッ!!」
お嬢様が直剣を手に、私の元へ突っ込んでくる。
だったら私がやるべきことは、一つだ。




