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01 (土へ)おかえりなさい!


 そんなこんなで、隣町近辺にはびこるゾンビ事件を解決し、報告のため詰所を訪れる頃には、衛兵団の面々が返ってきていた。丁度良い機会なので生前の闇魔法知識を総動員し、アンデッドが全般的に好む環境や植生について提言を試みてみる。


「多分この辺りの植生は外からゾンビを招きやすいので、特に注意して見回ってください。特に、ここに載ってるキノコや草は見つけたらすぐに間引きするように……」


 正直なところ、闇魔法の触媒が大量に手に入る環境というのは私のような闇魔法使いにとって天国のような環境なわけだけれど、だからといって放置していれば、今回みたいなことになる。


 だったら衛兵さんの定期巡回ついでに摘んでおいてもらっておいたほうがいいだろうというわけだ。


「本日は本当に……ありがとうございました!!」

「いえいえ。当然のことをしただけですから……」


 一瞬、間引きついでに採集した触媒をお屋敷に送ってもらえないかとも考えたけれど……それを言おうとした瞬間、隣に立っていたフェリクス様が物凄い殺気を送ってきたので控えた私は偉い。誰かこっそり褒めてほしい。


 ともあれそんなやり取りを終えた後、再び外に出てみれば日はすっかり落ちて、迎えの馬車も到着していた。


「お待ちしておりました。お二方とも大変楽しまれたようで、何よりでございます」


 御者さんに遠回しな「予定より遅いですよ」アピールを貰いつつ、馬車に乗り込んでしばらく揺られる。


「あ、もうお屋敷ですね……」


 流石に一仕事終えた後となると疲れてしまって、特にフェリクス様との会話も無くくつろいでいたら、いつの間にか遠くにお屋敷の門が見えていた。


 そんなところで。


「馬車を止めろ!」


 フェリクス様がそう叫んだ直後。

 屋敷へ続く道の中に、数人の人影が現れる。


「待ち伏せですか?」

「わからない。が、それにしちゃ丁寧だ」


 フェリクス様の言う通り、待ち伏せするなら最後まで隠れていればいいはずだ。

 わざわざ姿を現したということは、それなりの要件があるはずだけど……


 なんて、考えていたところで。

 人影の中から、一人の女性が一歩前に出て声を張る。


「その馬車に乗っているのは、騎士フェリクス・アレムガルド。そして、その連れ人に違いありませんね?」


 凛としていてはきはきとした、カリスマ性溢れる美声。

 酷く聞き覚えのある声だ。


「……でしたらこちらの要求は簡潔です」


 もし、私がこの世でたった一人だけ、全面的な信頼を寄せる人物をフェリクス様だとするならば。

 この声の主はきっと、私がこの世でたった一人だけ真なる忠誠を誓った人物に違いない。


「我が名はハンネローネ・ド・ハイロウ」


 それは、かつて私が使えていたお嬢様の名前。

 もし本当にそうだとすれば、またしても念願の再会になる……


 そのはずだったのに。


「ハイロウ公に変わり、フェリクス様を篭絡する邪悪な死者を、死司神しししんテレージアの元へ還しにきました」


 お嬢様の口から発せられたのは「要するに殺す」って意味の言葉だった。


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