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9.転校生



 ――翌朝のホームルーム。

 女性担任教師は、ある女子生徒を引き連れて教室の中へやってきた。


「みんな〜、席に座って。転校生を紹介するからね」


 教師がチョークで黒板に名前を書き始めると、男子生徒が「おぉ、かわいいな」とか、「ちょちょちょ……、いいんじゃね?」など小さな噂が飛び交いにぎわいを見せる。

 彼女は清楚系で胸より下の長い巻き髪に平行眉でぱっちり二重の顔だちをしている美女。

 男子の目線が貼りつくのも納得するほど。


 すると、彼女は自己紹介前になにかに気づいたのか、ある一箇所に目線を置く。


「藍〜!!」


 明るい声で手をふると、気付いた藍は「どうしてひまりがここに……」とつぶやく。

 お互い下の名前で呼び合ってるから知り合いかなと、気になる。


「あら。このクラスに知り合いがいたのね」

「あっ、はい」

「じゃあ心強いわね。自己紹介をお願いします」

「はい。……川嶋ひまりです。入学から少しズレた時期になってしまいましたが、みなさんと仲良くしたいのでよろしくお願いします」


 パチパチパチパチ……。

 軽い拍手が起こった後は軽い足取りで一番後ろの窓際の空席につく。

 入学してから4ヶ月目の転校なんて珍しいなと思いつつ前を向いた。



 ――次の休み時間、彼女は席を立って藍の横へ。


「偶然。同じクラスになれたね!」


 弾むような口調で言うが、彼は目線を合わせない。

 遠目から様子を伺っているが、無関心な様子が目に映される。


「お前がどうしてここに?」

「もちろん、藍に会いたかったから! しばらく見ない間に別人のようになってたからちょっと驚いたけど」

「そーゆーの迷惑だからやめてくんない」

「藍!」


 藍は荒々しい態度で席を立つと、教室を出ていった。

 あんなに不機嫌な様子を見たのは初めて。

 次第に二人の間になにかあったのではないかと思うように。


 しかし、彼女の接近はここが入口だった。



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