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夢想の創造 〜幻想世界に生きる〜  作者: 龍の使い
第二章 鋼の内、瞑想から幻想へ
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雷鳴神威

 

『あれが彼女の悪夢復古ナイトメアテラーの伝承領域ですか。恐らく相手の思考の制限とちょっとした予知と言った能力でしょう。そこまで大きな影響はないようですが時間が経つごとに強くなっている様子……それに彼女の技量をプラスされると………まあ厄介なものですね』


 〈コシンプ〉と〈カンナカムイ〉から遠く離れた地点の遥か上空、雲を視界の上に捉えれるほどの高さから二人の戦いを眺めていた一人の男―エディがそう呟いた。



 伝承領域でんしょうりょういき


 それは悪夢復古ナイトメアテラー発動によって自身の周囲に展開される空間のこと


 何故全ての伝承の力を悪夢復古ナイトメアテラーとして純獣ピュアに渡させるのか……それは単に負担がかなり大きいからだ。


 その最たる理由が伝承領域の存在


 寓話獣の力の根源である“畏怖”や“恐怖”の込められたその存在について語られる伝承


 その内容はその存在の過去や容姿、能力などが挙げられるが、何よりもその者がいる事によって〈環境に与える影響〉についても挙げられる


 この〈環境に与える影響〉の力は世界に与える影響力も大きく、幻獣ファントムの場合、持っていないことが多く、持っていたとしても伝承の内容と比べて弱体化されていた



『〈シンボル〉なんかは弱体化されている例ですね。純獣ピュアへと進化すると制御する事も十分可能だと認められたからなのか、環境に与える影響力が悪夢復古ナイトメアテラーとして与えられるのでしょう。それにしても、危機でもないのに悪夢復古ナイトメアテラーを使っている人なんているんですね』



 寓話獣フィクートは伝承が形を為した存在


 悪夢復古ナイトメアテラーを発動させる事による伝承領域もまた、寓話獣にとっては身体となるのだ。


 つまり、自身の体そのものを周りの領域へと拡大し、周囲を自身の伝承の世界そのものに作り変えることこそが悪夢復古ナイトメアテラーの本質


 悪夢復古ナイトメアテラーこそが寓話獣の本来の姿と言えるようなもの


 ではなぜその力を純獣ピュアは積極的に使わないのか


 先ほど述べたようにこの力は寓話獣にとって負担や消耗がかなり激しいからだ。


 それこそ、発動して寓話獣によっては数分でガス欠になるレベルで消耗が激しい


『私が最後に悪夢復古ナイトメアテラーを使ったのはいつでしょうか。記憶に残らないほど昔でしょうね。彼女が悪夢テラーではなく悪夢復古ナイトメアテラーを発動させたのには何か理由があると思うのですが……やっぱり伝承領域の能力が必要だったからなのですかね』


 なら純獣ピュア悪夢復古ナイトメアテラーを使わないのか


 それはある意味で違う


悪夢復古ナイトメアテラーは消耗が激しいことを除けばかなり強力。だからこそ、殆どの純獣ピュアはこの力をどうにか使いやすいように、消耗の少ないように簡略化した悪夢テラーとして使っている。だけど、彼女は長い間悪夢復古(ナイトメアテラー)を発動しているのに消耗した気配が全くない。なにかカラクリがありますね……まあ十中八九彼絡みでしょう………と〈カンナカムイ〉も動きますね………これはこれは!確かに自身に向かう相手の領域の力を無効化することを考えれば確実ですが……そうしますか。やはり面白いですねえ!私の出番もありそうです』



 〜〜〜〜〜



 〈カンナカムイ〉とエディは〈コシンプ〉の伝承領域の能力を思考の制限とちょっとした予知と考えているが、それは少し違う


 《対者悪導の道標ウェンぺ・ラン・モシリ


 それが〈コシンプ〉の領域の名前


 コシンプには人間に憑いて様々な悪事を働き、これらに憑かれると、どんな者でも何年かのうちに必ず死んでしまうが、好きな男の憑いた時、その男を良い運命へと導くという伝承をもつ。


 そこから転じて生まれたこの領域は、領域内に存在し、かつ〈コシンプ〉が敵と認識したものにたいしては都合の悪いように、逆に自分には都合の良いように周りの環境を改変する事ができる能力を持っている。


 相手を死なせるなどのあまり大きな変化を齎す事はできないが、彼女の領域内に長時間いればいるほど自分に有利になるように物事を動かすことができる非常に強力な領域だ。


 だが、〈コシンプ〉自身の認識としては少し異なっており、相手に対してはある特定の物事に対して認識や意識を薄れさせたり逸させたりし、自分に対しては勘が鋭くなるものだと彼女自身は認識しており、特に伝承領域に向けられる認識を薄れさせることは領域内での見た目の変化が起きない〈コシンプ〉の伝承領域との相性が抜群であった。


 もちろん弱点もある


 領域内であっても〈コシンプ〉が認識していなかったら相手の認識や意識を薄れさせることが出来ないし、彼女が認識できていたとしても相手の存在力が高い場合、効きづらくなるというものであり、一度認識を逸らされていた後にそれを解除されると逸らされていたものに対して強烈に意識を向けるようになる、結果的に相手の対して再び認識や意識を薄れさせたら逸らさせたりすることがかなり難しくなる。


 もちろん〈コシンプ〉自身その弱点は把握しているが、いかんせん彼女自身の存在力はそこまで高いわけではなくことからうまく行っていなかったが、それらが無くなったからといって自身の未来予知とも言えるような勘の鋭さは依然残っており、領域を展開している時はそれを使っての自分優位の戦えることには変わりなかった。


 相手の伝承領域を解除、ないし自身への影響を無くす手段はいくつか存在するが、純獣ピュア以上の寓話獣にとって言えば自身への相手の伝承領域の能力を確実に無効化する手段を持っていた。




 自分も悪夢復古ナイトメアテラーを発動すればいいのだ。



 〜〜〜〜〜




悪夢復古ナイトメアテラー雷鳴神威カンナカムイ〉』


『っ!ちっ!』


 相手の伝承領域から抜け出す方法、それは自身も悪夢復古ナイトメアテラーによる伝承領域を展開すればいい。


 〈カンナカムイ〉の周りには常時雷が帯電しており、頭についていた角はより厳つく、全身にはびっしりと龍鱗がつき、龍の要素をより強くした姿に変わっていた。


 悪夢復古ナイトメアテラーを使わせるのは不味いと頭の中で激しく警鐘を鳴らしながら、ほぼ反射的に〈カンナカムイ〉へと攻撃を仕掛ける〈コシンプ〉


 だが、少し遅かったようだ


 その場から姿を消した彼を見た〈コシンプ〉が彼の動いた先、上空に視線を向けるとそこには雷をバリバリと帯電させたいる右手の掌を彼女に向けている彼の姿があった


『俺の伝承領域の能力を教えようか。俺の伝承領域内で俺より下にいる者に対して自らの夢幻ヴィジョンの存在力を上昇させる能力だ』


 その言葉に聞いた〈コシンプ〉はいまだに頭の中で激しく鳴り続ける警鐘と全身から感じる強烈な悪寒からそれが嘘じゃないという確信を持つ。


『纏え!』


 その場に膝をついて両手を地面へと触れ、そこから地面に流し込んだ透夢幻ステルスヴィジョンを操作することで地面を盛り上がらせで自身を守る鎧とした。


 〈コシンプ〉が土の鎧を纏ったのと同じく


『《下り雷豪》』


 けたたましい音と眩いほどの光を撒き散らしながら、彼女に向かって雷が落ちた。


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