プロローグ
えっと、御久し振りです
いろいろあって新しく登校しました
温かな気持ちで見てくれると幸いです
白銀の綿が世界を包み、ふきのとうが大空の青を夢見る。
温かい風は白銀の綿を溶かし、新緑の大地が顔を出す。
ふきのとうは待ちわびた顔を覗かせ、蕾を開かせる。
その温かい風は、地球を暖め、桜達は心震え、踊りだす。
新しい出会いの季節が来た。そう春が・・・・。
白銀の綿が世界を包み、ふきのとうが大空の青を夢見る。温かい風は白銀の綿を溶かし、新緑の大地が顔を出す。ふきのとうは待ちわびた顔を覗かせ、蕾を開かせる。
その温かい風は、地球を暖め、桜達は心震え、踊りだす。新しい出会いの季節が来た。そう春が・・・・。
「来たぁーーーー!!!」
「うっさい!!!」
「ほぶぅ!!」
そんな御神酒町の一角で、襟や裾には皺一つない新しい制服を身に纏い、麗しく、可憐な少女は目の前にいる少年を蹴り飛ばした。
「逝ってぇな! 危うく痛くところだったろ!!」
「おーおー漢字が違うぞ漢字が。逆だ逆」
「うるさいわね~。あんたがあんたらしくないセリフを冒頭で言うからでしょうが!!」
「おい。急がないと遅刻するぞ。新年度早々遅刻はまずいだろ。俺ら2年生がよ」
少女はその一言で、身体が反応し、これにまでない目の輝きを放っていた。自分の鞄を胸に抱き、とても短く今にも見えそうなスカートをひらつかせ、回りだす。その余所から見れば変人そのものを目の前にしている2人は呆れている。
「流石は帝!! そう!2年生なのよ!! 期待と不安を胸に抱いて入学してくる新入生をやさしく包み込んで先輩の誇りを見せるのよ!! 1年間学校で過ごした私たちだからできることよ!!」
自分が上級生になったと、目を輝かせ風と舞い、花弁と踊る。そこには少女の可憐な姿は妖精が舞うかの如く、見るもの全てを魅了しただろう。
「・・・・・いや、俺らより先輩のほうが知ってるだろ。第一、俺ら2年が3年に勝てるわけねぇだろ」
「解らないじゃない! もしかしたら!!」
「夢、幻だ。少しは現実を見ろよ」
「なによ、もう。あんたこそ少しは夢みなさいよね。帝は小さい頃からそうじゃない。なんでこんな可愛げのない子にそだったのかしらねぇ」
手を頬に置き、溜息と一緒に吐き出した。
「なんとでもいえ。先に行くぞ」
目線を合わせずに、大地をしっかり踏みしめ、青年は勢い良く駆けだす。
「なんでよ」
「馬鹿野郎!! で遅刻するぞ!!!」
「遅刻遅刻ってまだそんな時間じゃ・・・」
腕時計の指し示す時刻は8時。登校時間終了まであと10分。
「ちょっと!嘘でしょ!!あと10分しかないじゃない!!なんでよ!」
「浮かれすぎた」
「馬鹿!!」
「いてぇぇぇえ!!」
春の暖かな風を受けて髪をなびかせ、学校までの道を踏みしめる3人。
銀色の綿が溶け、新緑の季節に3人はどのような運命や出会いがあるのだろうか。
そう、殺人や自殺など暗いニュースが多いこのご時世だが、学生にとってはまだまだ解らないそんなことは実感出来やしない。そう、それは穏やかでどこにでもあるそんな少年少女の物語