第五話 暑さと疲労
そうして、何もしてないのにへとへとになった頃、日が暮れだした。
疲れているけれど、一度寝た所為か、だるいくせに、あれからは寝ることができていない。
暑いし。
午後の陽でじりじりと灼かれ続けたように感じていたこともあって、俺はへばっている。
疲労なんて、夢では感じたことが無かったのに。
こんなに疲れてるように感じるなんて、これは本当に幻覚なのか?
ずっと暑く感じ続けていたのは、体温上昇で、疲労は消耗から来る錯覚とかなのか?
とにかくずっと暑かった。
だから光が落ちてきたのは嬉しい。
幻覚ならもっと俺に都合よく早くそうなってくれりゃよかったのに。
目覚める直前の浅い夢なら自分の思い通りになったりするが、今はまるで悪夢みたいに儘ならない。
待つしかない。
だが、醒めない幻覚の中で無駄に虫に突かれたり、暑熱に炙られたり、疲れたり、飢渇を感じたり、尻が痛み出したりしていて、不安は増すばかり。
どうすれバインダー……ダー……ダー……
HAHAHA、何が異世界転移だよ、何が異世界転生だよ!
ブァカかってのっ!!
ふざけんなっ!
下らねえラノベ中毒者どもがッ!
何が異世界だ、現実逃避すんなッ!!
現実と戦え!
幻覚の牢獄からいつまで経っても脱け出せないことで不安になってゆく主人公さん