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第四話 不安
さて……気に入らない。
実に、気に入らないが、どうもこの幻覚はかなり長引きそうだ。下手すると、この幻覚を最後に、俺は此の世とおさらばするのかもしれない。
だが、それにしても、俺が幻覚内で下手に大きく動くことで、リアルで致命的なことになる可能性もまだ残っている。それは最初から変わらない。だから、俺はこの場から動けない。
幻覚の方で、勝手に動きは生じる。俺は、動かない。腹が減る?渇いて死にそう?それも幻覚だ。恐らくリアルの状態悪化の反映だろう。だが、醒めないうちは俺にはどうすることもできない。むしろ、もしも反映であるならば、時間経過を推測できるし、もしもそれだけ時間が経過したのなら、家族に俺の異常をを見つけて貰える可能性がある。希望をもって待てばよい。
日が暮れるまでに、そうなってほしい。
少し、頼りなく感じてきたから。
もしかしたら、幻覚じゃないんじゃないかって。そう考えると死にそうになるから、やめてほしい。