第十八話 雨中、避難小屋完成
今回、徒に長い後書きが控えております。
避難場所での三日目。雨。
仮小屋の屋根から滴り落ちる雨水が、周囲の溝に溜まり、土塁に切った隙間から外の堀へ流れ出て行く。
小屋の外の立ち木の柱二本の間に張られっぱなしの皮がびしょびしょに濡れている。アンドルーが皮の傍で蓑笠姿で雨に濡れながら作業をしていた。
遅れての朝食後、壁作りの仕事に参加する。
既にピーターが先行して作業中だ。
尖端を炙った杭をピーターから借りて、石で地面に打ち込んで穴を開ける。
石だと作業効率が宜しくない。
今晩はハンマーを作るか。
その穴に細めの棒切れを差し込んで、土で穴の隙間を埋める。
少し間を空けて同様に細めの棒を立て並べて行く。
高さは胸の下くらい。
壁一枚分並ぶまで続ける。
一枚分出来上がると、蔓紐で棒同士を互いに緩く結わえる。
棒と棒の間の隙間に、拠点の隅で廃材の山を成していた樹皮を挿し込んで、埋める。
それを壁の芯にして、灰混土で肉盛りする。
壁の両側から盛った土を突き叩いて固め、小屋の風上側の腰壁を一つ作りあげる。
既に風上側の壁を一枚、ピーターが作り終えていた。
休む間もなく、風下側の壁作りに取り掛かる。
風下側には一箇所、出入り口となる開口部を残して置く。
開口部に敷居を設ける。
途中で一休み入れた後、足りない材料を採りに雨中に蓑笠で出る。
昨日同様、明るいうちにできるだけ採って来るが、雨だと無駄に疲れる。
蛇や百足との遭遇も頻発する。
草鞋だけでなく靴、せめて藁沓が欲しい、が稲藁は無い。
今処理してる鹿皮で靴を作らないのか、後で訊いてみよう。
足許が滑りやすくて斜面が危ないので、小川には余程必要でないと近寄らない。
手がドロドロでも洗わず、焚き火で乾かして、固まった泥がぱらぱら落ちるのを待つだけ。
増水で小川の水質が落ちているので、静置して泥を沈殿させる時間が必要。
今のうちに最低限必要な水だけは汲んでおく。
昼頃に避難小屋の壁ができあがった。
寝台に腰掛けて休み、戸口から外を見遣るが、丁度なんにも大したものは見えない方向だ。
立ち上がれば、壁の上の隙間から四方が見渡せる。
今までより煙たいが、防虫効果は高まった。
肺癌リスクもだが、幻覚から醒めれば関係ないので無視できるリスクと言えよう。
簡単に昼飯をとり、火の傍で身体を温めて休む。
午後はまた雨の中へ出て行って材木や土などを採り、拠点の隅に堆く積上げておく。
濡れた衣服は脱いで絞り、吊るして乾す。
泥草鞋と破れパンツ一丁だけの姿になり、すぅすぅする虫除けを全身に擦りこみ、炉で暖をとる。
夕方に雨が止んだ。
雨の中の仕事は疲れた。
死んだように寝台に寝そべると、忽ち意識が消えた。
ふと目覚めると、昨夜のように、長老が子供たちに寝物語を聞かせてやっている。
「……猟師の小屋があった。
そこより森の奥に行って、帰ってきた猟師がいなかった。
それだから、麓の村の猟師連中は、その先に何があるか分らぬ儘に
『ああ、この小屋より先で狩りをしちゃならん』と思って、
小屋より村に近いところでだけ、狩りをしていた。
麓の村に、猟師の兄弟が居て、兄の方が、高く積もった雪の中で
番小屋に来て数日、狩りをしていた。
幾らか獲物も獲れて、どうやら無駄足じゃあなかった、明日は弟が
来る番だから入れ替わりに麓の家に帰る、という日の夜……」
鍋から椀に汁をよそって一人で食い、見張りの早番を引き受ける。
夜更けにまた降ってきた雨で砥石を濡らして刃を研ぎながら見張りをする。
見張りを交代してもらってハンマーを作る。
雨が降ったり止んだりするうちに、見張りを代わってもらって寝る。
拙い作文を御読み戴き、有難うございます。
書いて居たらあまりにも長くなりすぎて、こちらがそうと分らなくなりはせぬか、と怖れましたので一言申し上げます。
こちら、後書き、でございます。
しばらく更新凍結致します。
【理由】
本日25/Sep/2022に、なかなかイイ感じの自宅ダンジョンものの作品に出会ってしまい、とても読みたくなってしまいました。
しかし、読めば必ず拙作(二番目に書き始めたローファンの方、以下『押ダン』)が影響を受けてしまいます。
影響を受けて真似をしてしまえば、それはリアルにおけるチート(ずる)になります。
ですから、読めません。でも私は早く読みたい。素敵な作品っぽいのです。
早く読むには、押ダンが影響を受ける心配を失くさなくてはなりません。
ですので、押ダン一本に集中してなるべく早く書き上げたいのです。
まあ、その、一本に集中したところで早く終えられるかわかりませんが……拙作を読めば如実に伝わっている事でありましょうが、何事もやってみなくては分らない頭の悪い私なので、とりあえずしてみます。
悪しからず。
拙作二本とも、見切り発車してしまいましたし。
本当は未発表の別作品が一本あり、そちらはきちっと粗筋から一段一段落として都度設定作っていましたので、ちゃんと完成して推敲してから、私の初作品として発表しようと思っていたのですが、私は結局「とりあえずやってみ」てしまう生物なので。
ちなみにこちらの作品(以下、『いせたん』)を後で再開した場合には、こちらには影響が出てしまうかもしれませんが、自分の中ではそれは許容できますので、気にして居りません。
同じように拙いわたくしの駄文ですが、押ダンは或る意味で相当本気で(決して作家志望とかそういう方面の意味ではなく)書いてますが、いせたんは単なる自由な妄想のメモ的なものなので、違いは一応あるのです。
いせたんで最も気にしている事は、一つは無論、主人公が当面どれだけ圧倒的にリアルな感覚に抗いきれずに飲み込まれていても、決して心の奥底ではこれを現実だとは認めていない、現実とは只一つという信念の彼の人物像ですが、もう一つは、映像の形で夢や妄想に浮んだものをどうにかしてテクスト化して、映像の最も伝えたい内容が或る程度他者に伝わるように努力する、という創作上の一般的な事です。
え、全然感じられませんけど? と思われたならば、そこは私にとって重要な部分じゃなかった、ということです。
なんでこんな部分をこんなに詳細に? と思われたならば、まさにそこが私が上述の苦心をした箇所、ということです。
それ以外の一般的に物語文を綴るうえで気にすべき事柄については、幾つかの例外を除き、あまり気にしていません。 例えば筋書きなどはその最たるものです。
以上、後書き、という名の言い訳でございました。
それでは皆様、またいつかいせたんでお会いしましょう。
その日まで、さようなら。




