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異世界転生ですって?馬鹿馬鹿しいですわ!  作者: 細蟹かなめ
悪役令嬢溺愛物疑惑☆編
59/70

43.お兄様の婚約者とご対面?

お久しぶりです。連載再開です。



「本日は、おまねきありがとうございます。トゥインクル侯爵令嬢」


「ようこそお越しくださいました。光栄ですわ、オブ=ナイト公爵令嬢」



 本日は、初の、わたくし単独でのお茶会出席です!


 ……まあ、そうは言いましても、成人式デビューを終えたばかりの十二歳の令嬢が初めて主催する、子供だけのお茶会。ここまで同伴してくださったお母様はお母様で、夫人とお茶会されるそうです。

 要は、ご令嬢の実績作りのお付き合いですわ。

 正直、そのような席にわたくしを使うなと言いたいところですが、今回ばかりは仕方がありません。


 何しろ、主催者がお兄様の婚約者だというのですから。



「――では、わたくしの娘を頼みますね。ステラ嬢」

「はい!」


 微笑んで立ち去るお母様をお見送りしたい気持ちを堪え、トゥインクル家の使用人の案内を受けて、奥へと向かいます。


 今日は雨を警戒してか、温室での茶会のようです。

 クリーム色やピンクの花が咲いている、どうにも可愛らしい一角に設けられた席は、やや寂びた藤色を基調としていて、まあまあ見られる程度に雰囲気を落ち着かせています。

 ……でも、趣味が合いそうにないですわぁ。

 あの方が我が家に来たら、家の中がパステルカラーな感じになるのかしら?イヤですわね。


 ――え?“星花”の展開を考えると破談になるんじゃないかって?

 お兄様のルートは話が超展開過ぎますのよ!

 なんですの、公爵家唯一の令息が男爵家に婿入りって。お母様がこれから、相当優秀な次男を身籠られるとでも?

 ……ああそう。あなた、要するにあの方がお兄様と結婚するのが気に入らないだけですのね。


 内心では庶民女と兄嫁候補の品定めをしながら、淑女の仮面を崩さず、完璧な姿勢で、侍従が引いた椅子に腰掛けます。


 決まりましたわ!

 わたくしを盗み見ていた出席者が、感心した空気を滲ませたのを感じます。ふふふ。


 ――え?どうして全員わたくしが座るのを見守っていたのかって?


 わたくし、主賓ですから☆

 皆様、わたくしが席に着くまで座れないので、お待ちかねでしたのよ。ごめんあそばせ?

 ……酷くありません!!そういうマナーですの!!

 わたくし、待たせずまっすぐ、ちゃんと時間通りに来たじゃあありませんの!


 相変わらず的外れな批判をする庶民女をあしらいながら、誰がわたくしの隣に座るかでもめる“お友達”の中から、シュタードラー先生の姪である令嬢を手招きします。

 お母様のフォローがない以上、必ず彼女を側に置け……というのが、お母様のご指示ですの。


「お会いしたかったですわ、オブ=ナイト公爵令嬢!お呼びいただけるなんて、感激です☆」


 ……ええ。先生に似ず、大分雛鳥感がありますけれど。


「あちら、ご覧になりまして?ミサの新しいご当主の従妹にあたるご令嬢ですわよ」

「あら、本当」


 これです。

 情報通でお喋り。もしも同い年なら、確実に“星花”のサポートキャラに収まってましたわね。


「まあ、大変。トゥインクル侯爵令嬢ったら、よくお招きになりましたわね」

「グレート=ミサで一番のご令嬢ですもの。お招きしない訳にはいかないでしょう?」

「平日にすればよろしかったのよ。ミサのご令嬢は学生でしょう?」

「却って失礼になるのではなくて?」


「――何のお話かしら?」


 知った風に囀ずる“お友達”に、僅かに不快感を示すと、シュタードラー伯爵令嬢が耳打ちしてきます。

「トゥインクル侯爵令嬢は、かのご令嬢とは仲がよろしくありませんの。あちらが一方的に敵視していると申し上げてもよろしいのですけれど……トゥインクル侯爵令嬢も、それをよくご存知の筈なのですわ」

「あらまあ」


 それはよろしくありません。

 トゥインクル侯爵家自体は、コルプス派の家の一つでしかありません。けれども、ステラ・トゥインクル侯爵令嬢の父方の曾祖父は、先々代のコルプス公爵家当主。曾祖母は降嫁した王女。母方の祖父は先々代ミサ公爵家当主の実弟であり、その母である彼女の曾祖母は、我がオブ=ナイト公爵家から嫁いだ方……。

 ――え?訳がわからない?

 つまり、三大公爵家と王家の血をも受け継ぐ、血統の良い令嬢という事ですわよ。お母様が「次期公爵夫人に相応しい」とおっしゃる程の方なの。それでいいでしょう!?

 とにかく!

 コルプス公爵家には女児がいない為、彼女は、コルプス派の中で、最も格の高い令嬢なのですわ。

 それがグレート=ミサ派のトップの令嬢と不仲とは……。

 ヴォルフガング王家を支える三大公爵家としてあるまじき事です。無論、オブ=ナイト公爵家の次期公爵夫人としてもよろしくありません。


「困った方ね」


 少し首を傾けてみせると、集った“お友達”は我勝ちに、これまでの茶会での二人のあれこれを言い立てます。

 まあ、他愛ない舌戦程度。寧ろ、ミサの令嬢が一方的に突っかかっているだけとも取れますが……。

 ミサのご令嬢、分別とかありませんの?

 学園に入学されたばかりって、それ、この国では立派な成人ですわよね?


「それで、トゥインクル侯爵令嬢が早々に成人デビューされてしまったでしょう?これから夜会がどうなるかと言われていて、わたくし達てっきり、ここで味方を作るものだとばかり……」


「――ご歓談中失礼いたします。お楽しみいただけておりますか?」


 花が咲くような微笑みを浮かべて現れたトゥインクル侯爵令嬢に、シュタードラー伯爵令嬢が、かちんとお口を閉じます。

 それにしても、お楽しみいただけているかって……あなたを待っていたから、まだお茶の一杯もいただいていないのですけれど?


「あなたとお話できるのを楽しみにしておりましたわ。トゥインクル侯爵令嬢(訳・まだ全然もてなされてないぞオイ)」

「あら。どうかステラとお呼びくださいませ、オブ=ナイト公爵令嬢。わたくし達、義理の姉妹になる仲ではありませんか」

「…………」


 毒気、ゼロ。


 え?何ですのこの方?嫌味返しにしては、空気がのほほんとし過ぎですわよ!?

 やっと振る舞われた紅茶に口をつけながら、脳内フル回転で状況を整理します。

 ……令嬢としては幾らか笑い過ぎの、にこにことした表情。雰囲気はおっとり。各パーツは高貴かつ美しく整っているのですが、太ってもいないのに、何故か全体的にぽってりとして、微妙に美少女とは呼べない惜しい容姿……。

 まあ、さらさらとした繊細かつ光沢のある黒髪だけは、群を抜いて美しいですけれど。

 のほほんと言えばアウエルンハンマー先生ですが、あの真綿の中に見え隠れする鋭い刃がありません。ちょっと突き飛ばしたら、転んで泣いてしまいそうです。

 ……え?まさか、温室育ちのお花畑?


「わたくしずっと、オブ=ナイト公爵令嬢とゆっくりお話したかったのです。今日は本当に嬉しいですわ」

「そう゛ですの゛……」


 はにかんだ様子で手を合わせ、にっこり。

 どこぞのヒロインを彷彿とさせる無垢オーラに、頬が引き攣りそうです。


 ちょっと!?お母様、ちゃんとこの方ご覧になりました!?

 これが次期オブ=ナイト公爵夫人て!!


 ……王太子にかち合わせたら、攫ってもらえますかしら。


 ――え?絵的にない?

 問題ありませんわよ。攻略対象は、内面の美しさを基準にヒロインを選ぶのでしょう?

 でも、そうなると、正妃になる姫君がしっかりした方でないとまずい事になりそうですわね。

 いえ。側室なら何人いても……。


 あら!?ちょっと待って!

 国王陛下が公務を任せられる王太子妃を見つけないと、わたくしいつまでも側室候補だったりします!!?


 ……わたくしがそのような事を考えているなどとは知る由もなく。


「是非、ジュピター様についてお聞かせくださいまし。わたくし、デビューの会でエスコートいただけるものと思っていて……。先走ってしまいましたわ。まさか、ジュピター様が今年は参加されないだなんて」


 ぺらぺらとしゃべり倒したトゥインクル侯爵令嬢は、「知っていたら自分も延期したのに」と、物憂げに溜息をつきます。


 愚痴るんじゃあありません。

 主催なら、わたくし達を楽しませるべきでしょう?


 怒っていいかしらと思いますが、トゥインクル侯爵令嬢は、熱心に続けます。


「わたくし、ジュピター様とは一度ご挨拶しただけで、きちんとお話をした事がございませんの。どうかお話を聞かせてくださいまし」


 貴族の結婚は家のもの。本人同士が結婚して初めて顔を合わせるケースも多いのです。

 わがままを言うなと言いたい所ですが……。


「あら、わたくしもお聞きしたいですわ」

「わたくしも」

「お優しそうで、紳士的で、さぞかし素敵なお兄様なのでしょうね」

「あんなに格好いいお方、他におりませんわ!」


 この裏切り者ども!!!


 周りの“お友達”が、あっさり寝返り、一緒になってわたくしにお兄様のお話をせがみます。


 ――は?女子がイケメンで盛り上がるのは、万国共通?異世界の壁をも超える?

 どうでもいいですわよ!!

 というか、なんですの!お優しそうだの紳士だの!顔で全てを補正するんじゃあありません!!


 それにしても、これは……。


 主賓を立てて場の主役に持って行き、同席者を楽しませる話題を振ったという事。


 くっ、意外と適正!?

 わたくしの怒りのやり場は!!?

ヒロインもどき登場。

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