1話 王子様がホモだった
そろそろ続きを書こう。
「お前は婚約破棄だ」
ここはアース王国のお城、玉座のある部屋。ここに通されるのはこの王国の最重要人物だけ。もちろんこのアース王国の聖女であり、王国の人たちを絶大な魔法力で救ってきた私もその一人。
呼び出されてすぐに、婚約者である王子様が私にそう言った。
よく聞き取れなかったのでもう1度聞いてみる。
「<今夜、クハキ>とは何でしょう?」
今夜、クハキ。クハキっていう単語が何か分かりません。ひょっとしたらエッチな言葉かもしれません。まだ婚約者の立場なのですから、婚前にクハキなどという卑猥な事を要求されても困ります。
「悪いが俺はお前を愛する事は出来ない。婚約を破棄させてくれ」
王子様は私の目を正面から捉えて言いました。
「え?何?冗談ですよね?何をおっしゃっているんですか?」
王子様は照れたように髪をかきあげます。
「俺、好きな子いるんだよ。ちなみにそれはお前の弟さん。これからは、この王国は「同性婚」はありな方向でいくから。お前はもう用済みだ」
はぁ?信じられないような言葉が飛び出てきて私の理解が思考に追いつていきません。思考が理解に追いついてきません。
「言っている意味がよく分かりません」
「はぁーあ。ごめん、俺、ホモなんだわ。そういう事だから」
「え?は?で、私はどうなるんですか?」
「俺の旦那の姉という事になるな」
ええええええええええ??!!!!私は王妃になる予定だったのですよ?どういう事なのでしょう?意味が分かりません。理解不能です。王子様がホモ?弟が相手?
そこへカーテンの裏から隠れていた弟が姿を見せる。最初からソコにいましたの?
取り乱した姉に弟は言う。
「姉さん、ごめん。そういう事だから。僕は王様と一緒にこの国を統治していくよ」
正直、ショックで打ち震えていましたし、今もショックで頭はまわりません。ですが、聖女として、キッと頭を切り替える事にしました。
「そうですか。いえ、よくやりました。よくぞ王子様の御心をつかみました。それでこそ<ハインベルト家>です。貴方はよくやりました。我が血に繁栄をもたらしてください」
自分で言っていてよく分からない。
「でも姉さんは子供の頃から散々、僕をいじめてくれたよね?男らしくないとか、女々しいとか、ハインベルト家の名前を散々持ち出して、毎日、毎日さ…両親にも、僕が同性愛者で変態だから矯正してあげるって言って好きでもない女の子とくっつけようとしたりしてさ。裸にひんむいて無理矢理、いろいろな事を」
「え?それは当たり前の事でしょ。同性愛者は病気なのですよ。治療を、ですね」
それを聞いていた王子様が口を挟む。
「おっと、俺は病気なのかい?お嬢ちゃん」
「お、王子様、そんなことは決して…」
なんでこんな事になっているのしょう?お嬢ちゃん呼ばわりされるなんて。弟!今まで可愛がってあげた恩を忘れてそのような事を!しかしここは怒りをおさめなきゃ、落ち着くのよ。鷹理奈。ここはクール&ホットでいきましょう。
「ごめんなさい。申し訳ないことをしてしまったと心から反省して」
「姉さん、この城から出ていってくれないかな?王子様、僕は姉の国外追放を提言します」
「待って。弟、私たち、家族じゃない??過去の事は水に流して、一緒にこの王国を運営していきましょう。お父さんとお母さんはどう言っているのよ?知ってるの?この事」
カーテンの裏から、お父様とお母様が出てくる。
カーテンの裏って色々な人が隠れられるスペース多すぎ。
「見違えたぞ。我が息子よ。誇らしい姿だ」
「これからの時代は多様性でございましょう」
お父様!!お母様!!
しかしその慈愛に満ちた微笑みは弟だけに向けられます。そしてクルリと私の方を向いて険しい顔をします。
「鷹理奈、お前は我が一族の恥だ。散々、甘やかしてきたが、なんというザマだ。この国の権力を握って何をするつもりだったんだ?どうせ碌な事をしないだろう」
お父様!!
「お前は勘当です。もう二度とハインベルト家の名を口にする事は許されませんよ」
お母様!!
「悪いがそういう事だ。荷物、まとめて出て行ってくれ。お前さんの顔は二度と見たくもない」
「ちょ・・・ちょっと…私、聖女なんですよ。私が魔物を追っ払っているから、この国の平和は守られているんです。その私を追い出したら、この国は滅びますよ。今更戻ってきてくれって言われても『もう遅い』ってなっちゃいますよ!!!破滅の未来が見えているのに、王国の平和を守る判断をしないで、王子がつとまるのでしょうか!」
「その時が来たとしても今この時の判断は揺るがない。鷹理奈、お前は…」
王子様は私の方を見る。
「国外追放だ!!」
ああああああああぁぁぁぁぁああああ!!!!!!
私の絶叫は城中に響き渡り、こうして私は追放されました。
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