表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/18

5億1630万3253のスキルポイント

「はぁ、もう終わっちゃったのね」


 同郷の幼馴染、マカ・ルーラオムの声がする。苗字が一緒だが、家族ではない。ルーラオム村出身の者は皆ルーラオム姓を名乗る。


 青色の髪をたなびかせる彼女は、【人類最強】の名をほしいままにする伝説級の冒険者。全てのステータスが9999でカンストしている全冒険者の憧れの存在だ。


「ま、本来の実力の5%も使っていないんだがな」


「それでも私を超えるって、どんだけよ……」


 マカには人類最強としてそれなりのプライドがあるらしく、悔しげな表情をした。


 そう。


 俺のスキルポイントは、何もしなくても勝手に増える。その増加率は、一日あたり5%だ。初めてモンスターを倒したとき、―といってもスライム二匹だが―俺はレベルアップし、スキルポイントが10手に入った。


 攻撃力に極振りするか、はたまた体力や防御力に振って命を大事にするか。もしくは幸運というステータスに投資し、商売でも始めるか……などと考えているうちに、翌日になってしまったのを覚えている。興奮していたのだから仕方ない。


 ステータスを確認すると、10あったスキルポイントが10.5になっていた。0.5ポイント増えたところでな……などと思っていたが、驚くべきことに、そのさらに翌日のスキルポイントは11.025になっていた。


 そこで俺は確信した。


 どんなからくりかは知らないが、俺のスキルポイントは複利で増加していると。なので、俺はスキルポイントが一定以上になる日を待った。


 待ち続けて一年が経ったある日、魔王軍がルーラオム村を襲った。その時点でのスキルポイントは5億1630万3253ポイント。機が熟すのを待つ間に、俺は人類最強のステータスを優に超えられる量のスキルポイントを保有するに至っていたのだ。


 俺はスキルポイントを素早さに極振りし、3分で魔王領を踏破した。


 だが、5分経つと素早さはもとの6に戻っていた。


 どうやら、複利のスキルポイントで増やした分のステータスは、5分でリセットされてしまうらしかった。


「つくづくチートよね。私の努力はなんだったのか……」


 そんなことを俺に言われてもな。複利のからくりは俺にも分からないのでどうしようもない。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ