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謎の人影

「どうするかな……」


「ッ! お前か!」


 俺が思案していると、マカが叫んだ。敵襲か。


 上空には黒いマントを羽織った人影が滞空していた。フードを被っていて顔までは見えない。


 あれが術者と考えて間違いないだろう。まだスキルポイントを振り分けてから5分経っていない。今なら俺の力でも倒せる。


「食らえ」


 虚空に向けて、攻撃力1001652の打撃を繰り出す。弾かれた空気が砲弾のようなスピードで相手を捉える。はずだった。


「消えた?」


 死霊術師と思しき影は消えていた。


 代わりに、魔王領全域を覆う褐色の雲が余波で吹き飛び、満天の星空が現れた。


「魔術で投影した幻影だったのかもね」


 マカが分析するが、魔術はからっきしダメなこいつの言うことは当てにならないだろう。


「そうかもな。なんにせよ、取り逃がしちまったわけだ。死霊術師の探索に時間を割いた方が、かえって安全なんじゃないか?」


「確かに。脅威は先に取り除いておくべきね」


「私もそう思います。マカ様」


 合意は取れたようだ。


 辛うじて生き残っていた数名の冒険者と共に会議を開くと、皆納得してくれた。


 死霊術師が見つかるまで寝ずに探索を続けようということになり、一行はひたすら前進した。


「もし行軍できなくなったら、魔力にスキルポイントを極振りして」


 セイラが指示してくる。


「それでどうするんだ?」


「飛行魔法を私が発動するから、私に魔力を流し込んで」


「なるほど。俺の魔力量と、お前の魔術展開を合わせて、大規模飛行魔法を発動。全員を王国に帰還させるというわけか」


「そう」


 今すぐにでもそうしたいが、高位冒険者は文字通り命を懸けて来ている。強制帰還というわけにもいかないだろう。


 しばらく進むと、巨大な壁が見えてきた。


「魔王城の城壁か」


 高さ50mはあろうかという城壁には、ど真ん中に大きな穴が空いていた。


「あれって……」


「あぁ、魔王討伐のときに俺が空けた穴だ」


 素早さと防御力に百万ずつスキルポイントを振っていたので、簡単に通り抜けられた。


「でも結構高い位置にあるし、どうやってくぐり抜ければ……」


「下のダンジョンを通るしかなさそうね」


 城壁の麓には、地下へと続く階段があった。


「明らかに罠でしかないけど」


「まぁ、城壁をぶち抜いた穴まで全員で飛び上がるのは無理だ。ここを通るしかなさそうだな」


 今では7人にまで減ったメンバーの合意を取り、俺たちは地下へと足を踏み入れた。


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