第4話
二人同時に足を踏み込んだ。その瞬間、ラインハルトの指から光が反射した。渚はラインハルトの指を見て彼の指輪が自分の指輪と色以外すべて同じことに気づいた。だがそんなことお構いなしに、ラインハルトは近づき木刀を振ってくる。渚は少し遅れたが木刀で守り、その状態から攻撃へ移る。
「うまいね。君」
ラインハルトが上から目線で喋りながら渚の攻撃を防いだ。渚は彼なら80%くらい出しても良いのではないかと思った。防がれた木刀を構え直し、もう一度振りかざす。しかし力のこもった一撃も防がれた。
「でもそのくらいじゃ俺には勝てない」
ラインハルトの指輪から青の光が出、木刀に移る。渚はこの動きを見たとき嫌な予感がした。
「氷極烈剣・一式・氷華連舞」
ラインハルトの木刀から氷が出、それをまとった木刀が渚めがけて斬りかかる。渚は本気を出さなくては負ける、そう思った。だが、
「お前は強い。それは認めよう」
渚がこの戦闘が始まってから初めて口を開く。
「だが、俺も負けるわけには行かないんだ」
渚の木刀に赤の光が溜まっていく。そしてスケルトンとの戦いと同じ構えを取る。
「灼烈龍剣・三式・灼円龍一閃」
渚が地面を蹴り上げラインハルトの木刀から出た氷を吹き飛ばしながら突撃する。そして二人の木刀が衝突した。その衝撃はこの戦闘を見ていた少女を吹き飛ばし、木の葉をすべて落とすほどのものだった。二人は歯を食いしばって力を込めるが、負けたのは木だった。ラインハルトの木刀が折れ、その瞬間にラインハルトの氷はすべて渚の炎に燃やされた。ラインハルトは驚いていたが、すぐに負けを認めた。
「どうやら俺の負けみたいだ。面白かったよ。君、名前はなんと言うのだい?」
ラインハルトの上から目線に少し嫌な感情を抱いたが、渚は質問に答えた
「日神山渚だ。強いな。ラインハルト」
渚は思ったことを素直に言った。
「ありがとう。これだけでも今まで二人で練習してきたかいがあったというものだ」
「そういえばラインハルトは家族はいないのか?」
ラインハルトは少し顔を苦くした。渚は嫌なことを思い出させてしまったのかと思ったが、ラインハルトが口を開いた。
「失礼。両親は……殺された。魔族に。この叶奏もそうだ。同じ魔族に殺された。だから東の〈マグナ・ドレイン〉からここまで逃げてきた」
渚は叶奏に目線をやる。
「あっ…漆山叶奏です。はじめまして!」
「叶奏さん、よろしく」
元気な声に空気が少し明るくなる。
「さて…俺たちはここから明日〈マグナ・ドレイン〉に出発しようと思ってるんだ。だから少し手荒な真似で腕試ししたかったんだ」
「そうか…なら俺についてこないか?俺たちも明日〈マグナ・ドレイン〉へ行くんだ」
渚が提案する。ラインハルトと叶奏は二つ返事で了承した。その時、大きな衝撃に驚かされたイルネミアが走って様子を見に来た。公園近所の人も驚いて外へ出てきたようだった。
「お〜い渚!料理冷めるから早くもどれ!」
イルネミアが渚を呼ぶ。
「今行く! お前たちも来いよ〜」
ラインハルトと叶奏は渚について行ってイルネミアと合流した。
「イルネミア!この二人も明日〈マグナ・ドレイン〉に行くらしいから宿この二人分も用意しといて〜」
「は?まあいいけど大丈夫なのか2人とも」
イルネミアがラインハルトと叶奏に聞く。
「お願いします!!」
2人がお辞儀をしてお願いする。
「わかった。まずは宿に戻って飯食べるぞ!」
4人は宿屋へ向かい走っていった。