第2話 戦い
二人が合図とともに突入する。その瞬間〈スケルトン〉が気付き、振り向きながら弓矢を放ってきた。
「気づくの早いな!」
渚が剣で放たれた矢を弾く。そして、この音に気づいた〈スケルトン〉達が戦闘態勢に入る。そのうちの2体が剣を持ち、3体が弓を持ち、そしてリーダー格の〈スケルトン〉が指示を出しながらフレイム・ロッドを持つ。
「そうか…あいつは、ボルケーノスケルトン。っていうことは炎属性…なら!」
イルネミアがリーダー格のスケルトンを見ながら分析する。そして、イルネミアの杖〈世界樹の雫〉に透明な青色の魔力が溜まっていく。そして、杖に色が完全についた瞬間全体にその魔力が広がる。
「喰らえっブルースター・ブリザード!!」
この上級の氷魔法が放たれた瞬間スケルトン達の周囲に無数の氷の吹雪が舞い、動きを鈍らせ、ボルケーノスケルトンの溜めていた炎の魔力を打ち消す。
「今だ!渚!」
「吹雪が舞ってる状態だと炎が打ち消されるからな…龍剣・二式・龍の舞!」
渚の剣から無属性の龍が出て、目の前の剣を持った2体のスケルトンに4連撃を与える。この攻撃で目の前の二体が泡に包まれて消えた。
「よし、あと4体!」
渚が構えようとしたとき、目の前の無数の氷が一瞬で溶けた。これは効果切れでも、渚やイルネミアが消したわけでもなかった。つまり…
「ボルケーノスケルトンが炎で氷を消した…」
驚くのも無理はなかった。いくらイルネミアの専門ではないとはいえ上級の氷魔法の効果を、いとも簡単に炎属性のモンスターが消したのだ。その驚きもつかの間、ボルケーノスケルトンが炎の魔法壁を作り、更に炎の魔力を溜める。その瞬間、渚の顔つきが変わった。髪色はルビーのような赤に、目は相手を鋭く刺すような目に、まるで獲物を狩る獣のような気迫をイルネミアは感じた。
「まだこんなところで終われないのでね!」
渚が剣の魔力を溜める。その間、イルネミアはなんとかして攻撃力上昇の魔法を渚に放つ。ボルケーノスケルトンの魔力が溜まるより先に渚の剣に炎が宿る。
「灼烈龍剣・三式・灼円龍一閃」
渚は地面を蹴り、弓を持ったスケルトンをなぎ倒しながらボルケーノスケルトンに突撃していく。そしてそのままボルケーノスケルトンの魔法壁も突き破り、剣を上に構える
「じゃあな」
そのセリフを叩きつけたあと、渚は剣を振り下ろす。イルネミアには、今起こったことが理解できなかった。渚が走り出した次の瞬間、4体のスケルトンすべてが泡に包まれたからだ。
「お前…何したんだ?」
渚に聞いた瞬間渚の髪がもとの赤髪に戻る。
「あれ?なんかスケルトンいなくなってる。まぁいいか」
渚は、まるで今起こったことが別人によることだったようにあっけない返事をした。イルネミアは自分がやったことではない。と考えながら馬を連れて渚とともに川を下り、平野の道を馬で走り、西へ向かった。
「よし、じゃあ行こう!」
イルネミアは口にはしないが、渚はあのときなぜスケルトンが倒されたのか、未だに理解していなかった。