権力を持つと腐敗するが、それは周りの環境にもよるよね
※ 権力を持つと腐敗するが、それは周りの環境にもよるよね
俺は誰にも傅かない。たとえ相手が王だろうが、膝をつくことはない。高いところから見下ろすのはまあ構造上仕方がないし、別にそのあたりは気にならないが、権力があるというだけで偉そうにするやつは普通にイラッとする。
そういった不敬とも思える態度にもかかわらず、帝の周りにいる偉そうなやつらは何も言ってこないし、帝自身も何も言わなかった。隣のフレイはそういったことを伝えていたのだろうし、何かあれば殺すという程度の殺気を放っている。
「それで何用だ?」
という問いに、帝は答えた。簡単にいえば、フレイ経由で俺の正体を知って一度その神話に出てくるエンシェント・ドラゴン・レペンを見てみたいという子供地味たものであった。まあそれはそれでわからなくもないが、面白くもない。会いたいならそっちがこればいいではないか。
「ご足労、ありがたき幸せ。どうかごゆるりとなされるとよい」
平にご容赦下さいとまでは流石に言わなかったが、ほぼそう言っているくらいの態度であった。
まあ退屈しのぎにはなったが、帝の元から立ち去り城下町をぶらぶらしているところで俺は追跡者をどうするか、と考えていた。
「フレイ。追跡者の方は殺しても問題ないか?」
「えっ、それは少し……いえ私が話をつけてきます」
フレイも気付いていたが、追跡者を気にするほどではない存在だと思って放置していたのだろう。フレイは一瞬で消えて30秒もしない間に帰ってきた。
「話はついたのか?」
「ええ」
はやっ。フレイがいない30秒で俺は近くの団子屋で団子を買って食ってた。城下町から警告を込めて串を少し強化して帝に向けてぶん投げておく。動かなければ当たらないが、動いたら大怪我をするだろう。1キロ弱の飛行をした串は見事に壁という壁を突き抜け帝の頬を掠め更に壁を突き抜け、城の裏にある山に消えていった。
ドラゴンの千里眼で見通せないものはないのだ。
フレイと別れ、俺は異界ダンジョンの方に向かった。当然、フレイには観光するとだけいって別れたわけだが、嘘をついているわけではない。俺に取っては異界ダンジョンも観光の内だ。
迷宮ダンジョンと異界ダンジョンの違いはそれほど無いとも言えるが、迷宮ダンジョンの方は世界がガラッと変わる階層が少なく、異界ダンジョンの方はまさしく世界が変わる異界に挑むというものである。冥界や魔界や天界といった異界にも行けることもあるが、異界ダンジョンの方は入るまでどの世界に行くかは不明であるし、モンスターの強さもランダムである。またダンジョンという名前がついているので入り口があり出口もある。時の流れはほぼ同じらしいが、大きく異なる場合も無きにしもあらずといった感じだ。
ということで、俺は異界ダンジョンに入り込んだ。
そこは魔界だった。久しぶりに魔王がいるかもと思って大暴れした。異界ダンジョンの方は力を開放しても元の世界に影響がない。というか、異界ダンジョンの入口を使わずとも俺は異界を行き来できる。異界を渡り歩いて数千年とか異界放浪をしたこともある。まあ異界ダンジョンは毎回世界が変わるらしく同一の異界に入るということは稀らしい。とはいえ、元のドラゴンの姿だとなかなか相手にしてくれないし、力も開放しすぎると普通に威圧だけで死んでしまうので、人型状態で2割程度の力しか開放していないが、それでも脅威度で言えば現在の基準でも100万を超えるだろう。たぶん、きっと。
広域探知してみても、脅威度の平均値は高いので少しは楽しめそうだ。
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