ダンジョンって遊園地だよね
※ ダンジョンって遊園地だよね
ダンジョンは、ダンジョンコアと呼ばれるものを破壊すると数時間から数日以内に崩壊する。ダンジョンコアは殆どの場合ダンジョン最奥部にあることが多く、ダンジョン攻略というのは基本的に最奥部を目指すことにある。というのが世界的な常識だが、ヒノモトだとダンジョンコアを見つけた場合でもコア破壊は禁止であるのだ。
ダンジョンを破壊する理由はダンジョンに湧き出すモンスター、魔獣、魔物たちが一定以上になるとダンジョンから溢れ出てくるので、放置していると非常に危険なことになるからである。
しかし、ダンジョンの恩恵というのもある。まずはダンジョン内でモンスターたちを倒すとそのモンスターの素材や珍しい金属や魔法を含む結晶体が手に入り、それらは昔は貴重品であった。現代ではその代替品はあるので、命をかけてまでそれらを手に入れてお金を稼ごうという考えを持つ者は少数派であるが。
ヒノモト以外の国でも戦闘訓練場所として活用している国もあるにはあるが、それも少数派である。その理由としてはダンジョン内のモンスターの強さは毎回ランダムであり最奥部に近づくほどモンスターは強くなるのだが、入った瞬間にいきなり強いモンスターに鉢合わせするという突発的事故も少なくないのだ。
つまり入った瞬間に脅威度1万を超えるモンスターにあう可能性もあるのだ。
「どえらい別嬪さんじゃの」
「……」
フレイがどうしてもというのでダンジョンにはチームで挑むことになっていた。俺は別に一人でも大丈夫なのだが。
一人は女性のエルダードワーフ、もう一人はニンジャらしい。
「二人共、レペン様に失礼のないように」
フレイは軽装に見えるが完全装備状態であり、なかなかいい感じの防具を身に着けていた。俺は上下ジャージで手ぶらだ。武器関係は魔法で収納してある。二人にどこまで事情を伝えてあるかしらないが、少なくとも俺を見て何も感じていないらしいので、フレイの古くからの知り合い程度の紹介しかしていないのか、それとも全ての事情を伝えていてもこうなのか。まあ気にしてないけど。
「こちらがエルダードワーフのユミィール、こちらがニンジャのカワサキです。二人共実力はたしかです」
「ふーん」
「二人共、こちらがレペン様よ」
ユミィールの方が、驚愕しており、カワサキの方は目元しか見えないが、目元の表情は変わらなかった。
「えーと、フレイよ。あのレペン様なのか?」
ユミィールの問にフレイは頷くことで答えた。あの、とはどのことを言っているのかは知らんが、俺は気にするなという感じの顔を作っておいた。
早速ダンジョンに入り、しばらくするとセーフゾーンという安全地帯を見つけたのでフレイが休憩にしようと提案してきたので承諾した。最も俺は特段疲れているわけでもないが、フレイたちはそうでもないらしい。
「おかしいのじゃ……ダンジョン内モンスターの強さはランダム。それはいい。じゃが、入った瞬間から脅威度5万を超えるモンスターがいるのは過去に前例が……」
「その後も、脅威度4万、6万、あげく、10万……」
声でわかったが、ニンジャのカワサキは女性らしい。脅威度の話になっているが、現代の脅威度の話であり、俺がよく活動していた時期で言えば脅威度は1万もいかないモンスターばかりだった。
古代巨人族が出てきたのは少し意外だったが、まああの程度なら時と場合によって脅威度1万になるかもしれないが。
ダンジョン内の戦闘は基本的に俺以外が戦って、三人ではどうしよもない強敵が現れたら俺が動くという感じではあったが、入った瞬間のでかい蛇は俺が反射的に殴って瀕死にさせてしまったし、古代巨人族は三人がヘルプを求めてきたのでフレイから購入した刀を使って細切れにしておいた。
「にしても、じゃ。さすがはレペン様じゃ」
「というよりも、昔に比べて脅威度が10倍くらいになってね?」
「神々の時代に比べられましても……確かに当時と今では……人間の基準で脅威度は決まるので、それに昔のように強い英雄、勇者はなかなか現れませんからねぇ……」
とはいえ、ダンジョン内のほうが強いモンスターに出会える可能性は高いなぁと考えたが、別に強さを求めているわけではない。ただの強者と戦いたいという本能だ。
フレイが集めたメンバーはそれなりに強い。脅威度8万くらいまでなら三人でもなんとか倒せるだろう。それ以上となると誰かが犠牲になるかそれ相応のリスクを取る戦い方をしなければ厳しいといったところか。ダンジョンは、まあ遊園地程度のアトラクションと思えばそれなりに楽しめるだろう。
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