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時には妥協も必要だ

 第三章 異世界召喚されてしまう編


  ※ 時には妥協も必要だ


 異世界の魔法に対抗するためには、異世界の魔法を知る必要があるが、そもそも多数存在する異世界の魔法を全て知るのは無理だ。召喚された瞬間にその世界の魔法を探ることは可能だ。眷属化や奴隷化は格上の存在に対しては難しいという条件は異世界でも似たようなものでそれが可能だと、仮に異世界の神を召喚できてしまえば、眷属化や奴隷化が可能となってしまう。異世界の神々としても他世界の神々と事を構えることになるのは望まないだろう。

 また、召喚される異世界はおそらくだが似たような世界が多いと思われる。魔法が根本から異なる場合、そもそもこちらの世界に干渉することも出来ないだろう。

 現実逃避をしつつ、現状として今回は初となるクラス丸ごと召喚に巻き込まれたようだ。意味がわからん……。

 

 一人を召喚するならばまだわかるが、クラス丸ごと召喚に巻き込まれるとは謎だ。魔法の名残からして世界干渉系かつ空間指定といった感じなのだが、それに俺が巻き込まれる意味がわからない。世界の意思か? いや、この世界の神々の意思なのか?

 毎回ある召喚の説明の時間で俺は帰還する魔法を構築。そして、この世界を滅ぼした。クラス丸ごと召喚にあったおそらくは日本の高校生であろう若者たちも消滅してしまったが、おそらく帰れないし多くは魔王討伐までの過程で死ぬだろうし、俺には関係ないしという状況だった。それに何が起こったかもわからないまま消滅したのでむしろ感謝してほしいレベルだ。

 前世の人間だった頃の倫理観や人間性というものは、ドラゴンに転生しても未だに少しだけ残っている。普通のドラゴンであれば人間のことは多くいる下級生物の一つでしかないし、相手のことを考えるドラゴンというか、モンスターはいないだろう。野生動物が人間の事を考えて行動しないと似ている。

 

 異世界を消滅させるのが日常的になってきているが、その代わりにというか、滅ぼした世界が増えるほど召喚される頻度も高まるという謎の規則性が表面化してきた。おそらくだが、世界の数というのを管理している存在がいるのかもしれない。世界が減ると均衡が崩れてしまうので新しい世界を創造する……みたいなことをしている可能性が出てきた。創造神みたいなものがいるのかもしれないが、世界を滅ぼす存在がいるというのは、そういった世界を管理している側からみれば厄介な存在にはなるだろう。そして、度重なる異世界召喚をされる理由はその世界の消滅の増加を防ぐためなのかもしれない。

 つまり、世界を消滅させるという対応が間違えで、逆説的にその世界を救い継続させることが異世界召喚に巻き込まれない対策になるのかもしれない。


 ――その世界は魔族、亜人族連合と、人族、巨人族同盟が戦う世界だった。両者の戦いは長く続いており、8年前の大戦で敗北した人族、巨人族同盟は窮地のままである。当時、双方に大きな人的被害を出したために現在は休戦状態ではあるが、小競り合いや小規模な局地的な戦闘は行われている。同盟がなんとかもぎ取った連合側の重要拠点を返還するが、その条件が休戦交渉であり休戦期間は10年間という話でまとまったが、大戦からの回復期間としては充分なものであり、そろそろ連合側が宣戦布告をしてきてもおかしくない、という状況である――。

 同盟も8年間である程度は回復したが、それ以外にも何か切り札がないかを徹底的に調べ上げた結果、勇者召喚に行き着いた。

 勇者召喚は遥か昔に存在した伝説の魔法であり、失敗するか成功するかは賭けであった。数少ない情報によると、特別な力を持っている者が勇者として召喚されるという……。藁にもすがる思いであった勇者召喚が成功したが、果たして助けてくれるのか、協力してくれるのか、どういった人物なのか――。

 

「――非情に切迫している状況です。召喚に応じて頂いた"勇者様達"に全面的に協力いたしますので何卒、この世界を救って頂きたいのです」

 この国と言わないところがポイントだな。……自分たちの認識している範囲内のことを自分たちの世界だと言ってしまうことはわかる。しかし妙な違和感もある。自分たちの国を救って欲しいと言わないのは、勇者を救世主扱いしたいからなのか、それとも天然で言ったのか、その真意は不明だ。

 実験と検証は必要だ。俺の仮説は世界を救った場合、どうなるのかというものであり、それを確かめる実験と、その結果が再現性があるかということを確かめる検証をしてみる。消滅させ続けても召喚されることは体験済みだが、実験と検証の結果次第にもなるが、召喚され世界を救ってもその世界から召喚されなくなるだけで、別の異世界召喚が続く場合、それは終わりがないという証明になってしまうのではないか、という懸念もある。

 しかしやってみなければわからないというのは確かなので、今回はサクッと世界を救ってみることにした。


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