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異世界の最強ドラゴンに転生したら年を重ねるだけで無敵になって無双できるようになってた  作者: 多聞天
第二章 数少ないダンジョン攻略配信者をやってみる編
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フリークス事件後編

 第二章 数少ないダンジョン攻略配信者をやってみる編


  ※ フリークス事件後編


 餌場だ。フリークスはそう感じた。既に数名を捕食した。それだけで飛躍的に強さを得たのだ。

「捕食された者より弱い方々は私の結界の中へ。これ以上相手を強くさせてはいけません」

 キュクー・レインの冷静な言葉に反発心を抱くほど未熟な者はいなかった。アレはまずい。多くの者がそう感じた。

 結局、フリークスと戦えるのは数名だ。今もなお結界に逃げ込んでいる者たちを守るために足止めをして戦ってくれているボーン・ナイトは元、騎士でありその役割を完璧にこなしている。古代格闘戦士ミノタウロスはキュクー・レインの防御結界魔法の使用とほぼ同時にフリークスが逃げれないように迷宮結界を張っていた。当然、味方である者たちは逃げれるものであるが、その理由はミノタウロスが死のうともその効果が切れないようになっている。それは命をかけているという覚悟の現れでもあるが、同時に相手の強さを認めているということになる。

 ボーン・ナイトの戦い方は、防戦一方であるがそれは逃げる者たちを守るための戦い方であり、また相手の手の内を調べるものでもある。周囲の数名はそれを即座に察知しておりフリークスの注意がボーン・ナイトに向かうように動いていた。

「知性はある。強さもスピードも桁外れだ。だが、戦闘経験は殆どない。特に知能を持つ相手と戦った経験は数少ない」

 一気に畳み掛けるか? 勇者王サトウの言葉にミノタウロスは首を横に振った。フレイも同感であった。あれは、隙きを作っている。不用意に近づくと本性を出す。

「餌の選別ね。ボーン・ナイトさんが防戦一方なのを理解してそれに合わせている。知性はかなり高いわ」

 フレイが言う通り、ボーン・ナイトとの攻防でフリークスは多少傷を負っているが、かすり傷程度である。周囲の気配を探っているとフレイは感じている。 

 数分もしない間に、餌の整理がすんだ――。


 ――咆哮。何も効果のないただの叫びであったが、開幕の合図であったのは確かである。フリークスの動きは本性を表した。

「ハッ!」

 気合を入れるような声と共に、勇者王サトウは力を開放した。ミノタウロスやフレイも、戦っていたボーン・ナイトも遅れることなく全力を出していた。ボーン・ナイトの攻撃は人智を超える。それをいとも簡単に躱し、反撃して盾ごとボーン・ナイトを後方に吹き飛ばした。だが、即座の連携で一斉攻撃を行いそれが見事にフリークスに直撃した。しかし、そのダメージは軽傷だ。全力で倒すつもりで攻撃したのにも関わらず――。

 一時間もせず、フリークスと戦っていた数名はぼろぼろになっていた。死んでいない、食べられていないのは奇跡と言えるだろう。

「ハアハア、くそ、勇者の覚醒と成長速度を持つモンスターとか反則だろ……」

 人間としてはよくやったほうだ。フリークスと戦っていた数名は素直にそう思う。戦っている最中に急激に成長して強くなる。それは勇者の特性でもあるが、敵もそれを持っているのだ。

 悪夢だ。もう、一対一どころか、一対多でも勝てない。たかが一時間足らずでいまここにいる中の頂点は、フリークスなのだ。


 フリークスはそれに気付いた。だが、遅かった。

「よう。あれ? 死にかけじゃん」

 フリークスの片腕が無くなっていた。それを見た数名は呆れるしかなかったが、実行者がレペンだったので納得した。失った片腕から絵を消すが如く、徐々に切られた箇所から消滅が進行していた。

「フリークス相手になかなか善戦したな。まだまだ弱いけど、頑張ったんじゃない?」

「フリークス……それがあのモンスターの名前ですか」

「放置していたら星をも食らう怪物だ」

 そう言われたフリークスは驚いた。

「なぜそれをしっている」

 ここに来て、初めてフリークスが口を開いた。凶悪な笑みのようなものを貼り付けていただけだった上に、顔には目以外ないのにも関わらず、言葉を発したのだ。

「口がないのに喋った?!」

 勇者王サトウの素直さだった。

「そりゃ食べる口があるんだから喋れるだろ」

 ハハッと軽く笑った俺はフリークスの脚を消した。無詠唱魔法に適応出来ていないので、"このフリークスは"まだ弱い方だ。この消滅魔法は徐々に切られた箇所からウイルスに侵略されるが如く細胞レベルでこの世から存在そのものを消滅させていく代物であり、指先をほんのちょっと消しても時間とともに全身にそれは広がる。

「質問に答えよう。フリークス。お前のことは知っている。別世界のモンスターだ。そして、お前が最後のフリークスだ」

 徐々に消えていく中でフリークスは言った。

「お前は、強すぎる」

 フリークスは完全にこの世から消滅した。


 世界を移動する方法はいくつかある。ダンジョンもある意味で世界を移動しているわけで、それを紐解けば世界の移動、異世界への転移方法は見つかるだろう。とはいえ、俺は別の方法で異世界転移をした。方法さえわかればキュクーやフレイくらいならできなくもない。

 異世界に転移したのは、フリークスを滅ぼすためだ。闘技場で籠城していた間に俺はフリークスの正体をつかもうと動いていた。餌場に気付いたフリークスだがそれ以前に俺に捕捉されていたし、気付かれないように解析魔法で存在を解析もしていた。そのうえで、今後のためにもフリークスを滅ぼすことにした。

 神を食えば神に至る。それがわかったのが滅ぼす最大の理由である。実際に、別の世界では神を食って神以上の存在になっていた。別世界の神々まで殺し尽くすつもりはない。ただし、俺が住んでいる世界にまで来て俺を滅ぼそうとするのであれば話は別だが。殆ど一瞬で勝負を決めていったので、問題は無いと思う。たぶん。


 後日談。フリークスの被害者たちは戻ってこないものの、驚異となる存在は消えたことで世界に平和がもたらされた。だが、その驚異に対して、対抗手段があり、用意もしていたが、バックアッププランの責任問題で動けなかった世界政府の軍部に対して猛烈な抗議が世界中から寄せられているという。

 そしてフリークス事件と名前がついたこの事件のあらましと結末は事実とは異なる。フリークスはダンジョンから生まれたが、元を辿ると異世界のモンスターであること、そのモンスターが被害者を出していたこと、そしてそのモンスターは闘技場にいた者たちが力を合わせて倒したこと……これが伝えられた事実である。



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[一言] スは首を横に振った。フレイも同感であった。あれは、隙(き)を作っている。不用意に近づくと本性を出す。 誤字報告です!
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