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人助けはしないけど邪魔者は排除する

 第一章 ドラゴン放浪記編


  ※ 人助けはしないけど邪魔者は排除する


 光の大聖堂にいる教皇、キュクー・レインは神殺しを達成した際に不老の呪いを受けた聖職者である。神を信仰すると破壊を司る神にも等しい存在のドラゴンが破滅をもたらすという伝承があり、人類はあるときから神を信仰することを禁忌とした。そのため、魔法そのものを信仰するという形になっているが、魔法を信仰することで魔法そのものが神格化されるのではないか、という考えもあるが破壊を司るドラゴンは訪れていない。否、いなかったという表現が正しく、現時点で、光の魔法を信仰する教皇のキュクー・レインの隣には破壊を司るドラゴンがいる。ドラゴンとはいえその姿は魔法で人型に変わっており、誰がどう見ても超絶美少女と表現してしまうような美しい顔を持つ少女なのだが。

 表面上の、見た目、魔力量などからではその真意は汲み取れない。魂の強さとも言うべきか、そういったものを感じ取れるレベルに達していないと、そう簡単にレペンの正体はつかめない。それこそ超一流の領域に達した者でもその正体を見破るのは難しいといえる。

 キュクー・レインは数百年を生きているが人間である。その実力はかなりのものであり、呪いを受ける前で既に英雄や勇者と呼ばれる存在に近い実力を持っていた。それでもレペンに傷を負わせることすらできないのだが。彼女は人の領域を超えた存在なのだ。

「夜王が動き出した、というのは本当のようですね」

「夜の大陸って大陸ごと滅ぼしたような、滅ぼしてないような……」

 キュクーが生まれる前のことである。俺は確かに夜の大陸という呼ばれる大陸を灰燼に帰し、ただの更地にした記憶がある。600年以上前の話なので、あの更地の大地にまた人間たちが住み着いたのか、それとも別の種族が住み着いたのか。

「……レペン様が不在時の話ではありますが、夜王が統べる地域のことを夜の大陸という呼び名にするというのが300年ほど前に人間社会で決まったのです」

「へー。今は"そう"なってるのか」

 夜王、別名で不死王とも呼ばれる不死の存在であり、死者を操り死者を増やし死の軍勢を率いて生者たちを襲ってその勢力を爆発的に拡大させていく人類の敵である。夜王と呼ばれる所以は彼らは基本的に夜に行動するからである。そして昔は夜王が生まれる大地は同じであったのだが、現在は変わっているようだ。

 夜王を滅ぼした理由は単に夜王が死神として信仰され神格化し始めており、そのまま放置しておくと死神となり得たからである。千里眼と探知魔法で探ってみたが、今回の夜王はそうでもないようだが、結構な勢力になっていた。


 俺の知る地球の地図でいえば、ロシアのモスクアあたりに夜王がいることになる。まあ地球とこの異世界では広さが異なるし、地名も異なる。とはいえ転生前に地球の世界各地を飛び回るということをしてないので、比較は難しいところだ。だが、北の大地と呼ばれる地域はロシアにしか思えない国家があるし、文化も似ているっぽいが。

 地理的、環境的に似ていれば似たような生活になるのでおそらくはそういうことなのだろう。そして地域的に極寒とされる地域なのだが、ある程度であれば魔法で防寒は可能だが、魔法を使うよりも現代品の防寒着を着用した方が早い。

「特別相談役を引き受けていただけるのはありがたいのですが、暇つぶしですよね? 完全に……」

 夜王の発生を知ってから短い期間で早期的に招集されたキュクーが率いる教皇親衛隊と対魔物専用部隊を率いて、夜王討伐に向かっている。キュクー側は千人弱であり相手側は数万の単位である。戦力差はあるものの、数は多いが死人自体はそれほど強くはない。問題は脅威度の高い幹部クラスが数百はいるということであるが、それも親衛隊の方でなんとかなるという判断を伝えている。夜王自体はキュクーが相手すれば手こずるということはない。

 早期発見すればそれなりに楽に対応できるが、遅くなるとかなり厄介になってくるだろう。昔は移動手段のせいで、移動時間がかかり時間経過により大きな勢力になっていたが、今では移動手段は様々あり、転移魔法装置を使って長距離移動を短時間で済ませることが出来る。また、夜王という人類種から見れば敵そのものであり、その敵が国家機関で確認されているのもあり、国境を超える際にも緊急事態であることからすんなりと進軍の要請は通る。

 進軍前に助言はしているものの、戦闘となればその時々で臨機応変に対応しなければならないので、相談役としてついてきてほしいみたいなことを言われたので俺は暇だったのでついてきたわけだ。当然、キュクーは俺を戦力として使うということは考えていない。そんなことをすれば簡単に自分たちが滅ぼされてしまうと考えているようだが、そんなことは時と場合によるが、基本的にはしない。転生前の人間のときの理性はあるものの、考え方や感じ方はドラゴン歴のほうが長いので基準はドラゴンになっている。人を殺そうが、人が死のうが知ったこっちゃないのだが、人間だったときの感性はある程度残っているので人間と話したり交流するのは楽しいと思う部類には入っているが、嗜好品に近い感覚になっている。

 

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[良い点] めっちゃ面白い。シンプルイズベストって感じの小説
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