プロローグ
※ プロローグ
ファンタジー最強生物といえばドラゴンがトップに入ってくるだろう。
俺は40歳を手前に不慮の事故で死んだ。そして神様みたいな存在に異世界に転生させると言われたのだ。それ自体は生前によく見かけた異世界転生ものに出てくるテンプレだ。
転生特典は転生する生物を指定できるというもので、俺は人間からその転生先の最強の生物を指定した。そしたらドラゴンに転生していたのだ。
神の差配か知らないが、その異世界の常識や知識は転生して自我を自覚した際に頭に入っていたのはありがたかったが、この異世界のドラゴンというのはだいぶヤバい生物らしい。
まず、生まれた瞬間の強さからして異世界基準ではあるが、脅威度みたいな基準があり生まれたてのドラゴンの脅威度は100近くにもなるらしい。ちなみに脅威度1はこの異世界の人類の戦闘経験、戦闘訓練をしたことのある成人男性程度だという知識が入っている。
脅威度が1000を超えるとそれは一つの国家の軍事力と同等だと言われている。人類の中には英雄と呼ばれる存在や勇者と呼ばれる存在がおり、その存在たちの脅威度は1000を超えることもあるらしい。
成人したドラゴンの脅威度は1万を超えることもあり、人類にとってはかなりの脅威になるが、実のところ脅威度が高くともその存在を倒す術はある。弱点をついたり罠に嵌めたりなどなど工夫次第でなんとか倒せるというのが現実だ。
つまり最強の生物でも死ぬ可能性は高い。なので俺はこの異世界のドラゴンの特性を最大限に利用することにした。ドラゴンはトレーニングをしなくても年を重ねるごとに勝手に強くなっていく。そして寿命はなく年々成長して強くなるという存在である。だからこそ人類はその脅威に立ち向かうべく世界を守るために強くなる前に倒してしまおうと手段を取っている。
モンスター、魔獣などと呼ばれる人類に対して牙を向いていくる生物たちを探し出し、対処する組織が異世界転生物語によく出てくる冒険者という存在だ。冒険者ギルドが対処できないものは軍に任せることにもなるが、基本的には冒険者ギルドに所属している冒険者たちがモンスターをどうにかするのである。
俺は死にたくないし戦うのもそんなに好きではない。なので、人類に発見されることなく年を重ねて強くなっていくということを目標に、人類が足を踏み入れることのできない厳しい自然環境の地域を転々としつつ、色々な魔法を覚えていくつもりである。魔法の中には結界魔法や空間魔法もあり、魔法を駆使して長年隠れ続けることができれば敵はいなくなるだろう。
ドラゴンは最強生物である。その理由はいくつかあるが、たとえ深海だろうがマグマの中だろうが普通に生きられることも理由の一つになるだろう。
とりあえず俺はドラゴンの成人とされる100年を生きるためにひたすら隠れることにした。
古代のドラゴン、またはエンシェント・ドラゴンと呼ばれるドラゴンは千年以上を生きるドラゴンに備わる呼称であるが、歴史上その存在が確認されたのは数度である。
彼らの敵は人類ではなく神族や歴戦の巨人族などでありそれらは神々の時代の伝承に残っている。中でもエンシェント・ドラゴン・レペンは畏怖される存在であり、数多くの神殺しを達成した伝説のドラゴンである。レペンは物語の中盤頃に突如として登場してくるドラゴンであり、どこで生まれどう過ごしていたのかは不明ではあるが、強さという一点においては最強と言っても過言ではないドラゴンである。
神を殺したり神を食べたり原初の魔法を使ったりとその活躍は残忍なものあれば、ある時はぶつかり合う勢力のどちらかに加担したり英雄を導いたりなど活躍の様は数多く残されており、信仰される時代もあった。
伝説の存在ではあるが、神代と呼ばれる時代から現代まで生きているとも噂されている。その理由が、実際にその神代から生きている存在が、少数ではあるが現代でも生きているからである。