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第2話 クラス召喚

 次に花海が目を開けた時、どこかの宮殿だった。


「うわー綺麗! すっごい大きい〜」


煌びやかな装飾の壁や天井が、その部屋の美術的価値をこれでもかとアピールしていた。


「な、なにこれ!?」

「どこだここ!?」

「学校にいたよな」

「むにゃ……ここどこ? 夢かな?」

「起きろ田中!!」

「今日遠足だったかにゃ〜?」

「ダメだ寝ぼけてる!?」


『静まれえぇえええええい!!!!!!』


ビクッ。玉座の方から聞こえてきた知らない声に全員が縮こまる。巴田 勉が叫んだ。

「一体なんなんだ!?」


 それに応えるものが一人。

「なんだかんだと煩いが、答えてあげるが《《余の情け》》。宰相アブドゥルよ、答えてやれ」

「うわっ!? 人が居たよっ!?」


「諸君らは我らがディスプレイ王によって召喚された勇者である! 今この国は魔王ディザイアによって非道な侵攻を受けており、既に幾つかの村が占領されているッ! この画面(ディスプレイ)を見るのだ! これは占領された村を遠視した画像だ!」


 映し出されたのは燃え盛る屋敷、ゴブリンに食べられている女性やオーガに男性が串焼きで食べられかけている写真だった。


「魔王軍は強大である。特に『十三傑衆』と呼ばれる魔物達は、我が軍の最高戦力でも勝てるかどうか。そこで! 世界の平和を守る為、異世界から勇者を召喚したのだ!」


「ねえ、私たち闘う力なんて持ってないよ!」


 そう言ったのは花海。勿論嘘であるッ! 流石エイミー・ハーボックに勝利しただけはある。周囲に剣や槍を持った兵士たちがいるのに強気だ。魔法少女の経験が活きた。就活には書けないが。


「そのような事はない。異世界の住人はこの世界に来る際、極めて強力な『スキル』を得るのだ。そして魔物を倒し『レベル』を上げればいずれ魔王をも倒せる力が手に入るのだ。

勿論この世界にいる間は国賓待遇で従者も付けよう。大抵の望みの物は用意する。どこでもフリーパスだ。


そして魔王を倒した暁には、諸君らを元の世界に帰すよう約束しよう。約束を履行しなかった場合に罰則を強制する魔法である『契約』を使っても良い」


「勝手に拉致しておいて随分上から目線ね! 強制労働なんて奴隷と一緒じゃない! 私たちは奴隷じゃないよ!」


 小鳥の声にそうだそうだ! と勢いづくクラスメイト達。これは収集がつかない。


「王!?」


 見かねた王が立ち上がり、玉座の階段から降りてきた。そしてクラスの目の前まで来ると……土下座した。


「このピアー・ディスプレイが直々に皆さんへ請願するッ! 魔王討伐の暁には余を煮るなり焼くなり好きにして構いませぬ! どうかこの『神国ディスプレイ』をお救いくださいッ!」




 静まるクラス。


 暫くして、お調子者の難波芳樹(なんばよしき)が口を開いた。


「皆、このまま嫌だ嫌だって言ってても、どうせ帰れない訳だし、魔王を倒さないか? 王様もここまで言ってるし……」


 皆、困惑している。今までなんとなく身につけてきた常識は、この王様を助けてあげたいと言っている。でも理性は……情報が少なくてよく分かっていないのが正直なところだった。


「うーん……仕方ないかな……」

「そうなのかなー? 魔王を倒したら帰れるなら今帰れるんじゃない?」

「でも……単純に助けてあげてもいいかも……」


 国王が土下座したままニヤリ、と笑みを浮かべた。

 下を向いていたので、それに気づいたものは誰一人としていなかった。


 クラスはこの国の人々を助けるのが良いのではないかという雰囲気になった。仲良しクラスだ。皆、目配せでその雰囲気を感じ取っていた。


「(これでいいのかなぁ……)」

 こうして、花海のクラス+小鳥はディスプレイ王国を守るために訓練をすることになった。

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