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はじまり

ふわっと思いついたネタを書いてみました。

がらんとして何もないひび割れた石畳に神が描かれたステンドグラス。

パッと見はどこかの教会のようだが使われた様子はなく廃墟のようなものだとわかる。


「…スゥ…スゥ」


そこには絹糸のような柔らかな白髪を持ち白い肌の美少女が白く大きなシーツを体に巻きながら寝ていた。ステンドグラスやひびの入った天井の隙間から漏れる光の柱が彼女の周りを映し出し、まるで空から降りてきた天使のようにも見える。


「……んん」


白いシャツにハーフパンツをはいたどこか旅人のような服を着た少女は寝返りを打つと日の下へと出る。するとステンドグラスを通した色鮮やかな光が彼女の白い肌に映し出し…


じゅっ…


その身を焦がした。


「いったああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああっ!」


人のいない廃墟と化した教会に悲鳴が響いた。










日焼けで赤くなった肌に触られたような痛みが走り、私は目を覚まして辺りを転げまわる。

痛みですっかり目を覚ましてしまったので起き上がって辺りを確認すると


ここ…どこだ…?


見渡す限り廃墟、どこかの教会のようにも見える。

体には白いシーツのようなものがあるしここで寝てた…というか…


これは…私の体じゃない


私は20代前半の普通の成人男性だったはず。なのになんでこんな十代前半の女の子ような姿になっているんだ…?

視界の端にうつる白い髪にびっくりするほど白い肌。どこかに自分の姿を見るために鏡がないかを探してみると大きな姿見があり端がひび割れた姿見の前に、立ち自分の姿を確認する。


日向には出てないのにキラキラと反射する綺麗な白髪に宝石みたいな赤い眼、しかもすごい美少女

しかも口元を引っ張ってみると鋭く伸びた犬歯が見える、見た目も相まって吸血鬼のようだ。

というかさっき日に当たったら皮膚が焼けたな、もう治ってるみたいだけど…肉が焼ける音まで聞こえたのに。そういえば女吸血鬼って最近は銀髪赤目が多い気がする、金髪赤目も多い気がするけど。


閑話休題


どうしてこんなことになっているのだろうかと不思議と冷静な頭で思考する。これは別の世界に行ってしまったというファンタジーみたいなものなのかな。そうなるとそもそもなぜ女吸血鬼になってるんだって話だけど、意味が分からない。


何をしてたかを思い出そうとするけども思い出せるのは年齢と性別だけで他はもやがかかったかのように思い出せない。というかここはどこだ、教会みたいだけど。外の様子を見に行きたいがまた肌が焼けるのは避けたい。日傘とかないかな。

教会内を漁ってみると一冊の本と一枚のホワイトボードのような軽い板、そして埃の被った妙に真新しい黒いローブがあった。見てみるとほつれや汚れもない、疑問に思いながらも埃を払い袖を通すと少し大きかったが全身がすっぽりと隠れるようになってる。これなら日の光も浴びずに行動できるだろう。


外へ移動しながらふとこれからの目的を考える。

とりあえず人がいるところに行きたい…こんな吸血鬼めいた姿で元の日本とは思いにくいけどもしかしたらここは地球のどこかかもしれないから…とまぁ違うと思いながらも一応仮説として置いておく。

フードを再度深くかぶり外に出ると強い風が顔を撫でる。そして辺りを見渡すとかなり広い草原が見え、かなり遠くに城壁に囲まれた街らしきものが見える。

とりあえずはあそこに向かうのが先決かな、結構大きそうな街だ。流石に人がどのくらいいるかまではどうかは分からないけど…

そして先ほどの本や板を見に戻ろうと教会に戻り、本を開いてみるとチャリンという音と共に金色の硬貨が地面に落ちる。この世界の硬貨だろうか、無一文だしありがたくもらっておこう。

そして再度開いた本を見てみると…


…白紙だ。何も書かれてない

どのページもめくっても何も書かれてなく何だろうこれと思いながら腰を下ろそうとすると地面に下した手に痛みが走る、慌てて確認するとどうやら尖った石があったらしく僅かに血が流れていた。

するとまるで消えるように傷口が治る、さっきの日に当たった時もそうだけどなんでこんなに治るのが…

再生能力みたいなやつだろうか…考えていると指先に流れていた血がぽたりと垂れ、血は白紙のページにつくと染み込むように血が消えた。すると文字が浮き出てくる。


浮き出てきた文字は日本語ではなく何かの記号のような文字だったが何故か理解できるし文字を書いてみよう宙に指を走らせてみると問題なく書けるということが分かった。

再度本に目を落としてみると【シノンフェード・ヴァンヴィーラ】と書かれていることが分かった。

シノンフェード・ヴァンヴィーラ…?この本の持ち主の名前とか…?

するとその名前らしき文字が消えるとそのページがびっしりと文字で埋まる、驚いて思わずのけぞると突然その文字が光出した。


「うぐっ」


思わず声が漏れて頭を押さえる、急に情報が流れ込んできたせいか頭痛が起きたようだ。

理解できた知識は魔法と魔力という力の詳細に詠唱呪文の内容、流石に全部は覚えられなかったが本を見たら呪文と詠唱呪文が書いてあるから問題はなさそうだ。

正直ワクワクした、魔法とかそういうのが使えると知ると私はいそいそと立ち上がり外へと口元に笑みを浮かべながら手を向ける。


「火よはn…え」


自分から出た声に思わず詠唱を止める。


「声…めちゃくちゃ低い…」


そして思い出す。これは私が男の体だった頃の声だ。

待ってこの美少女の姿でこの声ってミスマッチってレベルじゃないぞ。声帯どうなってるのこれ

どうにか混乱を落ち着けて再度手を向ける、とりあえず気になることはあるけど魔法の威力は見ておかなくては…


「『火よ放て 火球(ファイヤーボール)』!」


手の少し先から炎の塊が現れて前方に射出され、なかなかの速度で近くの岩にぶつかり小さく爆ぜた。

2mぐらいの岩だったのだが9割ほどえぐれている。かなり高威力なようだ。

私は自分の手を見て口元が大いに緩む


「すごい、本当に魔法だ…!」


だけども詠唱が必要なのが…人前で声出すと滅茶苦茶注目されそうだし喋らないほうが良いかなぁ

よくある無詠唱とかできないかな


その後いろいろ試してみてたが無詠唱は出来るけど威力が半分ほどになるみたい。

平均の威力は分からないけど結構強い方なんじゃないだろうか。

というか少し疲れたな、精神力とかを消費するとかかな。能力がゲームみたいに数値化されてば分かりやすいんだけどなぁー


「本も漫画本サイズだし持ち運びやすいけど…そういえばこの板はなんだろう」


とホワイトボードのような石板のような板がある、大きさは12インチぐらい…? タブレットみたいだ。

こういうのは魔力を流すと何かある! と思い板に手のひらを当てて魔力を流してみると


「手のひらの跡が…」


石板には手のひらの形をした黒い跡が出来ていた。再度手でなぞるとなぞったところの黒い跡が消える。

なるほど…魔力で文字を書くことが出来るんだ。これは喋らなくてもいいから便利…


…というかなんでこう欲しいと思った時に欲しいものがあるんだろうか。って考えても仕方ないか

とりあえずあることはありがたいし持って街に向かおう


街に向かいながら試行錯誤しているとわざわざ指でなぞらなくても念じるだけで書けることが分かった。少し練習しておこう

いくら確認してもミスってるような気がして不安

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