八話 第一人脈
目の前にいる人は三人だ。三、四十代と思われる女性と鎧を着た若い男それとまだ幼い少女、家族だろうか?
3mぐらいまでに近づいたところで先頭を行く男が振り返った。偶然なのか足音に気付いたのかは分からないが、男が立ち止まってしまったことに気付いて残り二人もこちらを見た。
大人二人の顔にまず浮かんだのは驚きだ、それから気味の悪そうな顔でこちらを見てくる。少女の方はただ黙ってこちらを見ていた。
「何者だ。」
男の方がそう尋ねてきた。敵かどうか気になるといったところか?
「道に迷った旅の者です、今は喉が乾いて水場を探しています。どこか知りませんか?」
男は腰に差した剣を抜いて言う。
「それよりそいつはなんだ。事と次第によっては――。」
「ワレハ、カレノ、オトモ、ダ。」
「・・・ヘ、サ、ショアベッター!」
僕より早くワグが答えた。
ところで、日本語化の魔法は大丈夫なのか?急に目の前の人が日本語じゃない言葉を喋ったのだが。
すると、今度は女の方が言う。
「そんなことある筈無いでしょう。彼らを力づくで従えたとでもいうのですか?」
「まさか、この頃ドドスザ達が激しく暴れ始めたのは貴様の仕業か!」
男が詰め寄って聞いてくる。
「それは濡れ衣だ!それに仲間はこいつだけだ!」
いきなり変な疑いをかけられたことに、僕は怒鳴った。
「では何故道に迷った!まずここは一本道だ、それにこの辺りに何もないのは割と有名だ、何の準備もなしに町を移動しようとは思わない筈だ!」
むこうも怒鳴り返してくる。だがどうしよう、神様に転移させられたらここだったとは言いたくないし・・・。
「どうした!」
「・・・いや。ここに連れてきた仲間に置いて行かれたのだ。昔から影の薄い奴と言われ、度々あったのだよ。」
因みに以前そうしたことがあったのは事実である。理由? 知らんな。
「・・・そ、そうか。水―だったよな?かみさん頼みます。」
男が剣を収めて隣の女に目配せすると、その女はこちらを手招いた。近付くと、指先から水を出し始めた。僕はこの世界で初めて見る魔法らしい魔法に少し感動したのだった。
で、僕らは次の町まで共に行くことになった。勿論、ワグも一緒だ。彼らは人を襲うものを魔物と呼び倒すが、何故人とドドスザの対立が起こるようになったかなど知りはしないらしい。悲しいことだ。
その頃、研士達が向かっている町は緑に囲まれていた。
家族が紅白を見ている間に何とか書き上げられました。アニソンメドレーがあれば私もそこだけ見るのですがねハハハ。
では、来年もよろしくお願い致します。