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四話 冒険開始

 自分がここまで広い自然を生で見たのは、これが初めてだろう。目の前に広がる草と土。茶色が混ざった草の間からところどころ見える地面が、人によって整備されたものではないことを物語っている。遠くに草原を囲うように森が広がっているのが分かる。グルリと辺りを見渡せば、後ろに山が立っていた。自然の中に一人という状況に、孤独さを感じて少し心がモヤモヤとした。


 後ろのほうから犬の遠吠えのようなものが聞こえて、再び草原のほうを見た。よく見ると黒や茶の四足歩行の獣が何匹か草の中にいた。獰猛な生物なのか気になって、小脇に挟んでいた例の本を思い出し開いてみた。


 立っているのも忘れて、それの説明を探した。図鑑は載っていなかった(もっともあっても使いようがないことに後で気づいた)が、モフィシアにある国の法律について書かれた頁で全ての国に共通したことがあった。


 難しく書かれていたが、大体こんな感じだ。

「人は動物を飼う際に分かりやすいように首輪などをつけること。」

「人に危害を加える生物であれば、殺しても構わない。」

「危険生物を倒した後、その遺物の売買は自由である。」


 つまり、襲ってきた敵を倒せればお金が手に入るということだ。今、僕は一文無しである。武器も持っていないが、お金を稼ぐならそれが一番だろう。ということで、僕は町を探しながらあれの実験をすることにした。


 向かう方向は割とすぐ決められた、山を背に左側だ。細い道が一本山に沿うように伸びていて、その左の先で草原を囲う山と森が切れていたからである。


 長い時間歩き続けるのは、いつ以来だろう?最近は外に行くのに車や自転車を使っていたから、徒歩移動には慣れていない。いつまで続くか分からない道を歩き続けるのは、少し苦痛だ。


 しばらく進むと、山のほうから現れた不思議な方と出会った。緑色の皮膚をして黄色の角をはやした方だ。試しに使った測定によると、モフィシアに来てから11387s最初の現地民との遭遇である。


「こんにちは」


 僕は精一杯明るい声でそう言った。一寸見た目にうっときたが、僕はこの世界の住人がどのような姿をしているのかまだ知らない。もしかしたらあれが普通で、僕の見た目のほうが異常なのかもしれない。だとしたら、相手に良い印象を与えるようこちらも努めるべきだろう。


 実は僕の測定で長さを測るには、その両端を一度認識する必要があるらしい。だから、この先の町までの距離や行き方などが聞けるととてもありがたい。


「コンニチハ?」


 あちらの方も振り返って、挨拶を返してくれた。内は礼儀正しいのだろう、やっぱり人を見かけで判断しちゃ駄目だな。随分と使い込まれた斧を手に持っている、この辺で木こりでもやっているのだろうか?


 その方は振り返ってから、驚いたように赤い目でじっとこちらを見てきた。僕が声をかけるまで僕に気付かなかったようである。


 そうして何故かその方は斧を持ち上げると、僕に突っ込んできた。どうやら道は聞けそうにない。


 僕は待っていたとばかりに阿の文字を言った。

 測定に関する部分を「一度見る必要がある」から「一度認識する必要がある」に変更しました。今後も物語に関係のない部分は、報告なく修正します。ご了承ください。

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