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十三話 殺傷決意

 自分が手に持つ斧には、自分と同じ色の血がべっとりとついていた。されど、この血は自分の流したものではない。たった今殺した茶色の犬が流した血だ。気の弱い人なら、これで生き物を殺傷してしまったと罪悪感を感じるところだろう。


 だが


「容赦は無駄。」


 そう呟いて、次の一番に飛び掛かってくる黒犬を見据える。なんかさっきのより一寸デカいな、自分の腰ほどまである。仲間を殺されたせいか、その表情から怒りが感じられる。


 幸いにして跳躍距離が長く、軽く横に避けて斧の一撃を叩き込む。長い跳躍は滞空時間も長い。滞空中はできることが限られる、故に隙といえる。


「ガウゥ、グァッ」


「うっ」


 さっき倒した奴と同程度の傷を負わせたにも関わらず、即座に反撃された。一応想定内だが厄介だ。冒険者さんも頑張って倒しているが、まだ五体程度だ。後詰めもすぐそこまで来ている。こいつは一対一の内に倒したい。


「おうりゃ!」


 掛け声と一緒に、黒犬を蹴って引き離す。すると、黒犬はすぐさま距離を取って体勢を立て直す。


(ただ攻めるだけじゃないということは、結構賢い?)


 まだ一対一で戦えるな、とそのまま追撃する。すると、黒犬の前が直径1m半程の円形に何故か光り始めた。


(魔法か?確か―――)



「あの、陽地犬の特長を教えてもらえませんか。個々では弱いのに、群れると強いってどういうことです?」


 森の中を移動しながら自分は質問する。


「それはな、アレが一つだけ使える魔法のせいだよ。アレはな、砂地獄化の魔法を使うんだ。自身の視界内に砂地獄を出現させるって魔法でな、相手は砂に足を取られて徐々に体力を奪われるんだ。まぁ、範囲が子供の身の丈程で、発動前にその範囲が光るからそこに入らないようにすればいい。だから、動き続け易い単体では弱いんだよ。逆に群れに囲まれたりされたら、動きづらいし、魔法の数も増える。だから、群れると厄介なんだ。」


 その後も陽地犬についていろいろと聞いた。曰く、陽の当たらない開けていない場所を極端に嫌うことから、陽地犬なんだとか。



 黒犬は接近する自分を油断なく見据えている。


(砂地獄化だな、範囲も言ってた通りだし。ま、この距離なら問題なく飛び越せるな!)


 自分は斧を構えて、黒犬に飛び掛かった。その瞬間、黒犬が何故か嗤ったように感じられた。



 跳躍による滞空中はできることが限られる、故に隙といえる。


 黒犬は、一度横に跳んでから、自分の真横から突撃してきた。



 跳躍による滞空中はできることが限られる、故に隙といえる。但し、人間の手のように着地動作に使わない器官をもっていれば、ある程度のことはできる。


 自分は、敢えて低く構えた斧を、横に薙ぎ払った。



 刃こそ入らなかったものの、黒犬は仰向けになって倒れた。完全に予想外だったのだろう。僕が近づいても、仰向けのままもがき続ける。なかなか狡猾な奴だった、殺さずに仲間に加えたいとさえ思うが、キッチリとどめを刺さねば。


 いまだもがき続ける黒犬に斧を振り上げる。


〔い゛ーや゛ーずぁーーー〕


 突然に、駄々をこねる爺さんのような叫び声が頭の中に響き、クラッときた。

 最近、将棋にはまっておりまして、執筆を半ば忘れておりました。すみません。

 昔、後手より先手のほうが有利だと聞いて、そんな違わないだろうと思っていました。だけど、自分の勝率が先手の時のほうが高くて、否定できなくなってきました。もはや勝率は全部で五割超えてりゃいいやと思っています。矢張り、定石を覚えた方がいいのかな。

 あと、あのAI搭載キャラは強すぎましたね。

 何はともあれ、楽しければいいですよね。いつか、小説にボードゲーム要素を取り入れようと思っています。今後の展開をお楽しみに。

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